建売住宅の寿命を徹底解説!注文住宅との比較や長寿命化のポイントもご紹介

  • Update: 2023-05-01
建売住宅の寿命を徹底解説!注文住宅との比較や長寿命化のポイントもご紹介

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「建売住宅は寿命が短い」と考える人もいるでしょう。建売住宅は比較的安い価格で販売されているため、気になる人も多いかもしれません。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?

そこで本記事では、建売住宅の寿命について解説します。注文住宅との違いや寿命を延ばすポイントも紹介しているので、併せて参考にしてください。

建売住宅とは建物と土地をセットで販売する住宅を指す

建売住宅とは、土地と建物がセットで販売されている住宅のことです。不動産会社などが土地を仕入れて建物を設計してくれるため、買主はデザインを見たうえで購入するかどうかを判断できます。気に入った物件があれば、即購入することも可能です。

建売住宅は寿命が短いって本当?

「建売住宅は寿命が短い」と聞いたことのある人もいるでしょう。しかし、本当に寿命は短いのでしょうか?ここでは、建売住宅の寿命について解説します。

注文住宅と大きな寿命の差は無い

建売住宅の寿命は、注文住宅と大きな違いはありません。なぜなら、同じ建築基準法に沿って建てられているため、一定の品質を担保しているからです。

また、戸建て住宅を建築する際には、公共機関の検査を受ける決まりがあります。これは建売住宅にも適用される決まりであるため、検査を受けた物件は一定以上の品質があるとの証明にもなるでしょう。

つまり必ずしも「建売住宅だから寿命は短い」「注文住宅のほうが品質の高い住宅を購入できる」とは言えないのです。

新築住宅は品確法によって保証される

新築住宅は、住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によって品質が引渡しから10年間保証されています。これは住宅の見えない部分(構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分)に不具合や欠陥が見つかった場合、10年間は無償で修理や損害請求を行えるものです。

住宅品確法があることによって建築側に多大なペナルティが課せられるため、手抜き工事をする業者が激減したともいわれています。

実は構造・工法別に見ても寿命に差は無い

建売住宅は、構造や工法別に見ても寿命に差はないといえます。なぜなら住宅の寿命は立地や施工の条件、メンテナンスなどによって左右されるため、いくらでも延伸できるからです。

建物は何年もつか

引用:建物は何年もつか

実際、建物の寿命を比較した調査結果では、表のとおり大きな違いは見られません。つまり、同じ条件のもとに建てられた建売住宅であれば、構造による寿命に大きな差はないと判断できます。

寿命と耐用年数は考え方が異なる

寿命と似た耐用年数といった言葉が存在します。一見同じ意味に捉えられそうですが、実は寿命と耐用年数は考え方が異なります。寿命とは、住宅を建ててから解体されるまでの期間のことです。つまり、建物が建っている期間を指します。

一方、耐用年数とは、住宅が建物として機能を果たすとされている目安の期間のことです。木造の場合は22年、鉄筋コンクリート造・鉄筋鉄骨コンクリート造の場合は47年などと決まっており、構造によって左右します。一般的には寿命よりも耐用年数の方が短いのが特徴です。

なお、耐用年数については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
「木造住宅の耐用年数!建売住宅の寿命や長寿命化のコツも紹介」
https://www.sakurajimusyo.com/guide/29220/

建売住宅の寿命が左右される3つの重要ポイント

建売住宅の寿命を左右するポイントは、主に以下の3つです。

  • 施工品質
  • 使用材料
  • メンテナンス

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

施工品質

建売住宅の寿命には、施工品質が大きく関係しています。たとえ優れた材料を使用しても、施工の品質が伴っていなければ住宅性能は低くなるでしょう。建売住宅の場合は、完成後に初めて建物を見るケースも多いため、自分では構造に関わる内部までチェックできないかもしれません。そのため「どのような建築工程だったか」などを売主などに確認しておくのがおすすめです。

使用材料

建売住宅に使用する材料も、寿命に関与しています。品質の悪い材料を使えば、その分劣化するスピードも早くなるでしょう。そのため、建売住宅を建設中、もしくは完成後には「どのような建築材料を使ったか」を売主などに確認してみてください。

メンテナンス

建売住宅を少しでも長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスは欠かせません。例えば、築5年ごとに防蟻処理を施したり、築10年前後で外壁や屋根の補修工事を行ったりすることで住宅寿命を延ばせます。メンテナンスには点検する手間や修繕費用が発生するため、後回しにしてしまう人もいるでしょう。しかし、日頃から丁寧に暮らしておくことで長く快適な生活が送れるようになります。

注文住宅と建売住宅の違い

ここまで建売住宅の寿命について解説してきましたが、結論は建売住宅だからといって寿命が短くなるわけではありません。

「じゃあ建売住宅と注文住宅の違いにはどんな点があるの?」と感じた人も多いのではないでしょうか。

そこで注文住宅と建売住宅の違いについても解説していきます。

それぞれの違いは大きく分けて以下の3つがあります。

建売住宅 注文住宅
価格 安く購入できる 予算オーバーしやすい
自由度 低い 極めて高い
入居するまでの時間 早い 時間がかかる

建売住宅は住宅のデザインをパッケージ化しており、材料費の仕入れ価格や人件費などを節約できます。そのため、注文住宅よりも安く物件を購入できるのがメリットです。一方、注文住宅は建売住宅よりも費用がかかるものの、その分自由度の高い物件を建てられます。間取りや使用する材料などにもこだわれるため、より質の高い住宅を建てることも可能です。

また、建売住宅はすでに建設されていることも多く、すぐに入居できる物件も存在します。すぐにでも新居へ引っ越しをしたい人にもおすすめできるでしょう。反対に、注文住宅は土地探しから始めるため、入居まで時間がかかります。

長寿命のポイントを理解して長く快適に暮らそう

建売住宅の寿命は、自由に設計できる注文住宅と大差はありません。一定の基準に沿って建築されているため、安心した暮らしを手に入れられるでしょう。

また、建売住宅の寿命を延ばすには定期的なメンテナンスを行うことが大切です。日頃から丁寧な暮らしを心がけることで、長期間に渡って住み続けられます。

なお、施行品質の見極めには、ホームインスペクションの活用がおすすめです。ホームインスペクションとは、住宅に関する専門知識を持ったホームインスペクターが、第三者の視点で住宅の不具合や欠陥の有無などをアドバイスすることです。外からは見えない箇所もチェックするため、一定以上の品質を担保した住宅を購入できます。より寿命の長い住宅を購入したい場合は、ぜひさくら事務所のホームインスペクションを利用してみてください。

ホームインスペクター 田村 啓
監修者

さくら事務所 執行役員
さくら事務所 プロホームインスペクター
さくら事務所 住宅診断プランナー
だいち災害リスク研究所 研究員

田村 啓

大手リフォーム会社での勤務経験を経て、さくら事務所に参画。
建築の専門的な分野から、生活にまつわるお役立ち情報、防災の分野まで幅広い知見を持つ。多くのメディアや講演、YouTubeにて広く情報発信を行い、NHKドラマ『正直不動産』ではインスペクション部分を監修。2021年4月にさくら事務所 経営企画室長に、2022年5月に執行役員に就任。