60%以上のご依頼が築3年未満!意外と多い築浅物件の不具合とその対策

  • Update: 2023-02-22
60%以上のご依頼が築3年未満!意外と多い築浅物件の不具合とその対策

一般に戸建て住宅のイメージとして、「新築や築浅は不具合が少ない」「築年数の古い住宅ほど不具合が多い」というイメージをお持ちの方が多いかと思います。

当社では新築戸建ての居住前から居住後のホームインスペクションまで承っていますので、2020年~2022年の3年間にご依頼をいただき、実施をした居住後の「自宅一戸建てホームインスペクション(住宅診断)」について、築年別の傾向を分析してみました。その結果、当社へのご依頼数は年々増加しており、特に築浅である3年未満の物件は、2年前と比べて167%に増加していたことがわかりました。

【表1:築9年未満自宅一戸建てホームインスペクション依頼数(2020年~2022年)】※. 対象は、既に引き渡し済みの物件

自宅点検依頼があった物件と築年数

当社に頂いたご自宅の住宅診断の内訳をみると、築3年未満のいわゆる「築浅の家」が最も多く、2022年は全体の約6割を占めています。また、依頼理由を見ると、こちらもその6割以上が建築当初からの施工不良に起因しています。

下記の円グラフでは、ご依頼に至ったきっかけとして、62.5%の方が物件引渡し後に気付いた施工不良、26.6%の方が売主や建築会社の保証期限が切れるタイミングであったことを示しています。

【表2 :築3年未満の自宅一戸建てホームインスペクション依頼理由(20221月~12月)】

施工不良・不信感の具体的事例  (築3年未満の物件)

10年以上の戸建て住宅の場合、経年劣化による天井や壁からの雨漏り、配管の水漏れ、カビ、シロアリ等の不具合が発生しやすくなりますが、上記の表を見ると、こうした不具合は築浅の物件でも施工不良に起因して見られることが分かります。中には引渡し前に確認ができていれば、トラブル予防できた可能性があるものも含まれます。

築3年未満の物件で見られた具体的な不具合事例をご紹介します。

サッシが傾いている

事例①:サッシに傾きが生じている。

 

排水管からの漏水

事例②:排水管の固定が不十分で、漏水が生じている。

 

配管金具の固定不良

事例③:配管の金具の固定不良。後に配管の外れや勾配不良を引き起こしかねない。

上記はほんの一例ですが、漏水や基礎に関する不具合は気付かずに進行してしまうと、住宅の寿命を大きく縮めてしまう可能性もあり、また、補修しようと思っても、アフターサービスの保証期間でも入居後の使用方法が原因などと見なされ、無償では補修対応してもらえないというケースも中にはあります。

修繕費に100万円以上のかかることも!

保証の対象外、または保証期間を過ぎると当然のことながら、修理・修繕は有償になります。不具合が相次いで見つかると、修理・修繕の費用はばかになりません。期間内に生じていた不具合が悪化してから見つかり、ことのほか費用がかさんでしまった…という話も聞かれます。

たとえば、給排水管からの漏水などがあった場合、被害範囲によっては数十万円かかるケースも。床暖房のフローリングの床鳴りを補修する際、床材だけでなくその下の温水マットまで交換するケースでは、リビングの広さや床材のランクによっては100万円程度かかることもあります。しかし、引き渡し前にこういった不具合が発見できていれば費用の発生も防げます。

予防策としておすすめなのは、引き渡しの前にプロのホームインスペクター(住宅診断士)の目で対象箇所について、不具合の有無を点検してもらうことです。

予防策としてしっかりと引渡し前チェックを実施する

余計な出費を防ぐためには、引渡し前の施主検査にて、施工上の不具合を明確にし、建築会社の責任として補修が完了した上で、引渡しを受けることが重要です。住まい手自身で確認をするという選択肢もありますが、慣れていないと不具合が見つかりにくかったり、見つかってもそれが売り主負担で直してくれる範囲内なのか判断が難しいことは確かです。

ホームインスペクター(住宅診断士)が実施する「新築戸建て引渡し前チェック」の場合、対象箇所だけでなく住宅全体を検査します。不具合を的確に見つけるだけでなく、保証の範囲かどうか迅速に見極め報告します。

さらに、売り主から提示された不具合の修繕方法の妥当性や、適切な修繕がなされたかどうかアドバイスを受けられるのも大きなメリット。引渡し前チェックであれば、基本的には調査結果をその場で売主や施工者にもご報告いたしますので、こうしたやり取りにおいても安心です。

インスペクション・データの書類を作成し、それを提示しながらの交渉も可能です(弊社では料金別途)。これは後々、住宅資産価値を維持するための「住宅履歴書」としても有効活用できます。

住宅に長く快適に住まい続けるには、引渡し前の点検と修繕がカギ。ぜひご検討ください!