新築住宅を建てる際は住宅会社選びから引渡し後までの間にさまざまな注意すべきポイントが存在します。
知識ゼロのまま家を建ててしまうと、後悔するだけでなく、大きなトラブルに見舞われる可能性もあるでしょう。
そこで新築住宅を建てる際に押さえておきたい10の注意点をご紹介します。
新築住宅を建てる際の注意点
新築住宅を建てる際の注意点は以下の10点です。
1. 住宅会社の選定に時間をかけすぎない
2. 土地選びは慎重に行う
3. 耐震性・耐久性に不安がないか
4. デザイン性に偏り過ぎない
5. 仕上げ材のサンプル確認を怠らない
6. 収納・配線・動線をよく考えているか
7. 間取りの計算は入念に行う
8. 住宅ローンの返済予定に無理がないか
9. 不具合は内覧会で漏れなくチェック
10. メンテナンス計画を立てておく
家づくりの進捗度と合わせて注意点をまとめました。あなたは今どのタイミングにいるかを見極めて注意点をチェックしてみてください。
住宅会社の選定に時間をかけすぎない
新築戸建てを建てるための第一歩は住宅会社選びです。
住宅会社の選定に時間がかかると、家づくりが先に進まず疲れてしまいます。選定にはあまり時間をかけすぎないように注意しましょう。
スムーズに住宅会社を選ぶコツは、あなたの理想が実現しやすい会社かどうかで判断することです。
たとえば耐震性を第一に優先したい方は耐震性能に強みを持っている会社で絞れます。
また家のデザインに関してはSNSやインターネットなどで建築実例から探すと、イメージ通りの家を建ててくれる会社に出会えます。
あなたやご家族の理想を最も実現してくれそうな住宅会社に絞ると、住宅会社の選定がスムーズになるでしょう。
土地選びは慎重に行う
パートナーとなる住宅会社が決まったら、土地選びをはじめましょう。
土地には都市計画法に基づくさまざまな建築制限が存在します。代表的な制限は以下の通りです。
- 用途制限
- 建蔽率・容積率
- 日影制限
- 宅地造成規制
こうした制限が土地に設定されている場合、望み通りの家を建てられるかどうかは専門的な知識がなければ判断できません。
場合によっては購入した土地では建築不可なこともあるでしょう。そのため住宅会社を先に決めてから土地を探すのが賢明です。
上記制約以外にも、土地を購入する上で重要なポイントが存在します。
具体的には以下のポイントが重要です。
- 最寄り駅までの距離などの交通の便
- 医療施設や学校の有無、距離感
- スーパーやドラッグストアなどの周辺環境
- 自然環境の多さ
- 日当たり
- 地盤の状態
土地選びは、その後の家づくりにも影響するステップです。住宅会社のノウハウを有効活用しながら慎重に土地を決めましょう。
耐震性・耐久性に不安がないか
耐震性・耐久性は住宅だけでなく、あらゆる建物にとって重要なポイントです。
現在日本では南海トラフ地震の発生を警戒しています。南海トラフ地震は今後30年以内に70~80%の確率で発生すると予測されており、死者数は最大32万人を超えるとされています。この死者数は東日本大震災をはるかに上回る規模です。
また過去には熊本地震、北海道胆振(いぶり)東部地震のような最大震度7を記録した大地震が発生しています。
このように日本はいつ、どこで大きな地震が発生するか、わかりません。
耐震性・耐久性の基準や性能はあらかじめ住宅会社に聞いておくことをオススメします。
デザイン性に偏り過ぎない
「マイホームを建てるなら、デザインにもこだわりたい」
初めて家を建てる/新築住宅を購入される方の中には、このように考える方が多いでしょう。しかし、デザイン性にこだわりすぎると後悔することになるかもしれません。
たとえば大きな窓が欲しいからと言って壁一面窓ガラスにしてしまうと断熱性が低下し、冷暖房が効きにくくなります。加えて壁のバランスが崩れることで、耐震性・耐久性の低下を引き起こす恐れもあります。
他にも大きな吹き抜けに憧れてオーダーしたものの、吹き抜け上部の窓の手入れが出来ないなど、メンテナンスの面でもデメリットが発生するケースもあるでしょう。
もちろんデザインの優れた空間は生活や心を豊かにしますが、住みやすさを兼ね備えた家であることが条件です。
仕上げ材のサンプル確認を怠らない
「仕上げ材」とは名前の通り、家の天井や床、壁などの最後の仕上げに使用する材料のことです。
仕上げ材は色合いの微妙な違いが見た目に影響を与えます。仕上げ材のサンプル確認はしっかりと行うようにしましょう。
サンプル材を確認する際は以下の点に注意が必要です。
- 大きめのサンプルで確認する
- 外装材のサンプルは日光に当てて色味を確認する
色には面積が大きいほど鮮やかに見えたり、光の色によって色味が変わって見える特徴があります。この特徴によってサンプルと現物との間に色合いのズレが生じてしまいます。
ズレを少しでも小さくするために上記のような方法でサンプル確認を行いましょう。
収納・配線・動線をよく考えているか
家づくりで後悔するポイントとしてよく挙げられるのが、収納、配線、動線の3つです。
こうした後悔をしないために、それぞれ代表的な失敗例をご紹介します。
【収納】
- 収納スペースが足りない
- 収納したいものが入らない
「いざ住んでみると収納が足りなかった…」
このような後悔は比較的発生しやすいです。必要な収納スペースを確保できないと新たに家具を買い足したり、余計な出費につながったりする恐れがあります。
原因は新居に持ち込む荷物や家具のイメージができていないことです。
間取りを確定させる前に家にあるものをリストアップして、処分するか持っていくかを選別しましょう。用途に合わせて収納を計画することで、引っ越し後に物が溢れることは、なくなるでしょう。
【配線】
- コンセントが足りない
- 使いたい場所にコンセント、スイッチがない
コンセントの配置に後悔している方も多いです。入居後に増設すると引渡し前よりも割高になります。現在使用している家電をリストアップして適材適所に設置しつつ、かつ全体的にコンセントを多めに取り付けしましょう。
【動線】
動線とは家の中における人の動きを表したものです。動線計画移動距離を短くし、家事動線と家事以外の動線との交差を極力避けることが基本となります。
動線計画で後悔しやすいポイントを例に挙げると以下の通りです。
- 洗濯物を干すためにリビングのテレビ前を横切る
- キッチンの通路を通らないとリビングへ入れない
- キッチン、洗濯機置き場、物干し場それぞれの距離が長い
一度動線をイメージしながら間取りを見直してみましょう。
間取りの計算は入念に行う
間取りの打ち合わせに入ると各部屋のイメージや広さ、窓の配置などを決めていきます。ここでも注意すべきポイントが存在します。
部屋ごとに注意点をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
収納
先にも述べましたが収納は家づくりで後悔しやすいポイントです。
- 家族にあった収納量を確保する
- 大きな物も収納できるスペースも確保する
家の収納量は収納率(収納スペース/建物の総床面積)で表されます。一般的な戸建住宅の収納率の目安は10〜15%程度です。間取りが出来上がったら一度確認してみましょう。
また収納スペースはもちろん、収納する物のサイズに合った空間が必要です。
間取り打ち合わせの前に新居に持っていくものをリストアップし、収納の位置やボリュームを決めると良いでしょう。
子供部屋
子供部屋は家づくりで多くの方が悩むポイントです。
子供の数や性別に応じて、部屋の数やプライバシー、収納の大きさなどを考慮する必要があるためです。
最近では、将来的に個室が必要になったら子供部屋を仕切るという家庭が増えています。
しかし、子供の性別が違ったり年が離れていたりすると比較的早い時期から個室が必要となる家庭もあります。
子供部屋は家族構成や将来を考慮しながら、臨機応変に計画しましょう。
水回り
水回りの計画で注意すべきポイントは、プライバシーと家事動線、メンテナンスのしやすさを考慮することです。
具体的には以下の点について考慮しましょう。
- 排水音に配慮して設計する
- 水回りは極力まとめる
- トイレは玄関から見えない位置に配置する
- 水回りと居室の間に収納スペースを設け防音対策をする
玄関
玄関は家の顔でもあります。広く明るい空間にしたいと感じている方は多いです。
しかし玄関の広さを優先しすぎたあまり、使いにくくなっては意味がありません。
玄関は広さ、明るさのほかに収納力も求められます。
- 靴
- 傘、雨具
- 上着、季節小物
- ベビーカー
- スポーツ用品
- 自転車
など生活スタイルによって収納するものが変わります。
あなた自身の生活スタイルを想像しながら、玄関を計画すると良いでしょう。
寝室
寝室の計画で気をつけるポイントは音、光、広さの3点です。
具体的には以下の点に注意しましょう。
【音】
- トイレや子供部屋とは隣接させない(やむを得ない場合は収納で挟む)
- 車通りの多い道路面に配置しない
【光】
- 枕元に朝日が差し込む位置に窓を配置しない
- ダウンライトなど直接目に光が入る照明は避ける
【広さ】
- ベッドサイズに合った広さで計画する
- 夫婦別の部屋が必要かを検討する
LDK
LDKは家づくりの中で最もこだわりが反映される部屋です。
おしゃれなアイランドキッチンや開放的な吹き抜けなどに憧れる方は多いでしょう。しかし、これらにはデメリットも存在します。
具体的なデメリットは以下の通りです。
【アイランドキッチン】
- 来客時にキッチンが丸見えになるため常に綺麗に保つ必要がある
- リビングの床に油や汚れが付着しやすい
- 匂いが拡散しやすい
【吹き抜け】
- 冷暖房の効率が悪くなる
- 音や匂いが他の部屋に伝わりやすい
- 高所の手入れがしにくい
デザイン性を追求するあまり生活しにくくなる事態に陥らないよう、デメリットを理解した上でLDKを計画しましょう。
住宅ローンの返済予定に無理がないか
住宅ローンを利用する際は、返済が問題なく行えるかどうかもチェックしておく必要があります。
「自分たちにはどれくらいの予算の家が建てられるのか」など、自身に合った家づくり計画を考えていきましょう。
マイホームを建てたいあまりに、無理な返済計画を立ててしまうと、計画通りに返済ができなくなる可能性もゼロではありません。
また、月々の返済可能額や返済期間によって、借入可能額も変動するほか、総支払額も大きく変わってきます。これらの点も考慮したうえで、無理のない返済計画を立てましょう。
不具合は内覧会で漏れなくチェック
新築住宅の8割には大なり小なり施工ミスがあると言われています。施工ミスに気づかず放置してしまうと、時限爆弾式に大きな不具合が生じる恐れがあります。
内覧会は引渡し前の最終チェックの場です。漏れなくチェックを行い、不具合は引き渡しまでに修繕してもらいましょう。
具体的なチェックポイントを知りたい方は別の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください
【参考記事】https://www.sakurajimusyo.com/guide/10839/
とはいえ「自分のチェックだけでは不安」と感じる方も多いことでしょう。そんな時はさくら事務所の「新築戸建て住宅診断」サービスの利用がオススメです。
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内覧会当日は、調査を実施したスタッフが診断結果を住宅会社にも報告するため「気になる点があっても相手の顔色が気になって言いにくい…」といった方でも安心です。
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メンテナンス計画を立てておく
一戸建ての修繕費は、建築費の1%に築年数をかけたものが一つの目安になります。
【建築費2000万円、築15年の場合】
2000万円×0.01(1%)=20万円
20万円×15年=300万円
築年数や工法、立地条件、それまでの修繕履歴などによってかなり変わるのであくまで参考ですが、上記程度のメンテナンス費用が将来的にかかることをしっかり理解しておきましょう。
部位ごとのメンテナンス期間も目安があります。興味がある方は以下の記事をチェックしてみてください。
【参考記事】
https://www.sakurajimusyo.com/guide/9149/
ホームインスペクションの導入で確かな安心を手に入れよう
初めて家を建てる際の注意点は、住宅会社選びから引渡し直前まで、さまざま存在します。
注意点で共通していることは、具体的にマイホームのイメージを描けているかどうかです。
こんな家に住んでみたいといった理想のイメージだけでなく、家族の生活スタイル、将来の人生設計、持ち込む荷物など現実的なイメージも必要です。
もちろんすべて自分で考える必要はありません。家づくりはパートナーとなる住宅会社の力を借りながら進めていくものです。遠慮なく相談しましょう。
内覧会での仕上がりチェックも同様で、必ずしもあなた一人で行わなくてもOKです。少しでも不安があるならばホームインスペクションでプロの力を借りると良いでしょう。