あなたはたった1つの真実を見破れるか?本当にあった新築工事にまつわるウソ

  • Update: 2024-04-01
あなたはたった1つの真実を見破れるか?本当にあった新築工事にまつわるウソ

新築戸建ての着工が増加する4月。施工会社さんや設計会社さんとのやりとりも増えてきているのではないでしょうか。ほとんどの方が良い信頼関係の中で家づくりに臨まれているかと思います。

しかし、さくら事務所に寄せられるご相談の中には、「施工側のうやむやな説明やごまかしから、トラブルに発展してしまった」というご相談も少なくありません。

今回は、住宅にまつわる10個のトピックを紹介しますが、実はこれらのうち9つは「ウソ情報」になります。一見すると説得力がありながらも、誤解や間違った常識に基づいており注意が必要です。
さて、正しい情報は次のうちのどれでしょう?この機会にぜひ、あなたの真実を見極める力を試してみてください!

  1. 【ウソ?ホント?】基礎の1㎜程度のヒビであれば問題ないです。

    解説:1mmと聞くと小さいものをイメージされるかもしれませんが、実は基礎のひび割れで幅1mm程度ある場合には、程度としては比較的大きなものとなります。一般的に、幅0.5mm以上のひび割れの場合には、早めに補修していただいた方が良いものと見なしますので注意が必要です。0.5mmのシャープペンの芯が入る場合は補修した方が良い、と覚えておくと良いでしょう。

  2. 【ウソ?ホント?】新築工事中の断熱材、雨に濡れましたが湿気に強いので大丈夫です。

    解説:使用している断熱材の種類にもよりますが、一般的によく使用されているグラスウールなどが雨に濡れると、断熱材の中のガラス繊維そのものが水を吸うことはないものの、その繊維同士の隙間に水滴が留まってしまいます。「完全に乾燥させれば」とは言っても、そのままの状態で完全に乾燥をさせることが難しく、また乾燥をしたことの事実確認もまた難しいので、先ずは濡れないようにすることと、雨に濡れてしまった際には、状況に応じて交換を検討した方が良いことに注意しましょう。

  3. 【ウソ?ホント?】新築工事中の木材、雨に濡れましたが十分に乾いているし変形などもしていないので大丈夫です。

    解説:特に梅雨時期や台風シーズンにご相談をいただくことが多いご質問ですが、実は正解です。屋外で工事を行う以上、梅雨時期に関わらずどこかでのタイミングで一定の雨濡れを起こしてしまうことはよくありますが、その後きちんと乾燥させていれば基本的には問題ないです。ただし、時には乾燥する過程で材料が部分的に変形してしまうことがあったり、乾燥しにくい状態まで工程を進めてしまうといったことには注意が必要です。

  4. 【ウソ?ホント?】4月の着工は、年度初めで毎年業者が混み合うので一時的に工事中断しちゃうんです。

    解説:事前の断りや説明がなく工事が中断している場合には、事前の段取り不足の可能性が高いと考えた方が良いでしょう。中には、基礎工事の後の大工さんの段取りを失念されていた…、といった事例もあります。出来るだけ、着工前に完成までの工程表を出しておいてもらうと、こうした進捗の異変に気付きやすくなります。

  5. 【ウソ?ホント?】壁量が1.5倍なので、住宅性能評価申請していないだけで耐震等級3と同じ強さです。
    解説:この説明は、実は間違いです。住宅性能評価で耐震等級3を取得する場合には、壁量以外にも考慮しなければならない構造的な条件が複数あります。耐力壁のバランスや、柱や梁など材料の接合部、床の仕様など複合的な観点で建物の強さを確保する必要がありますので、壁量だけで説明がされている場合には注意をしましょう。
  6. 【ウソ?ホント?】ペアガラスなので断熱性が高く結露しません。

    解説:ペアガラスでも結露をする場合があります。例えば、窓はガラスの部分と枠の部分とがありますが、ガラスに種類があるように、枠の部分にも種類が幾つかあり、アルミ製の枠の場合は熱が移動しやすくなるため、樹脂製の枠と比較して枠部分で結露が発生しやすくなります。また、外気温と室内温度の差が大きい場合や、室内の湿度が高い場合には、ペアガラス表面でも結露が発生しやすくなりますので、ペアガラスだから結露がしないというわけではないのです。

  7. 【ウソ?ホント?】注文住宅はデザインにこだわった分だけ将来的にも高く売れます。

    解説:不動産を売却する価格は、立地条件や築年数などによって大きく異なるということと、万人に受け入れられにくい間取りやデザインの個性が強い場合には、それを好む買主の数も相対的に少なくなる可能性がありますので、資産価値としてはマイナスの影響に働く場合もあります。こだわって建てること自体には何物にも代えがたい価値がありますが、将来的に高く売れる確証には繋がりません。

  8. 【ウソ?ホント?】太陽光発電はランニングコストがかかりません。

    解説:太陽光発電は、屋根などに載せる太陽光パネル(モジュール)と、そこで発電した電気の流れを制御するためのパワーコンディショナーといった機器で構成されます。このパネル自体が鳥の糞などで汚れることで発電量の低下や故障の原因になる場合があったり、パワーコンディショナーは10~15年程度での交換が必要となりますので、こうしたメンテナンスを行う際には数万~数十万程度の費用がかかることには注意をしましょう。

  9. 【ウソ?ホント?】壁の中の断熱材の厚みや性能は、サーモグラフィカメラを使って図面通りか確認したのでご安心ください。

    解説:サーモグラフィーカメラを使用することで、材料表面の目には見えない温度差が分かるようになり、上手に活用することはとても大事です。ただし、温度差が色の違いとして見えるようになる一方で、どんな材料を使っているのかだったり、壁の中の断熱材の厚さまでは分かりません。こうした仕様に間違いがないかどうかは、壁を塞ぐ前に目視確認を行う必要がありますので、サーモグラフィ―カメラで必ずしも目視確認以上のことができるわけではない、ということに気を付けましょう。

  10. 【ウソ?ホント?】断熱材は良いものを使っているので暖かい家になります。
    解説:これは、半分正解ですが半分間違いです。断熱材の性能が高いものを使用することは暖かい家づくりをするうえで大事な観点のひとつですが、暖かい家・冬に寒くない家の環境をつくるためには、断熱材のほかに気密性や換気方法、熱源の計画等も必要になってきます。どれだけ高性能なダウンジャケットでも、それをそのまま寒い冬の屋外に置いておいても勝手に暖かくなることはないのと同じですね。日射を上手く取り入れたり、暖まった室内の空気が逃げないようにすることもセットで必要なのです。