中古マンションの購入を検討するにあたり、失敗しない物件選びは重要です。初めてのマイホーム購入において、何に注意すれば良いのか、どのような物件を避けるべきか迷うこともあるのではないでしょうか。
この記事では、中古マンションを選ぶ際にあたり、失敗を防ぐための3つのポイントを紹介します。中古マンションは新築とは異なり、管理状況や修繕履歴のチェックが重要です。これらのポイントを理解すれば、後悔のない選択ができるでしょう。買ってはいけない物件の特徴や、築年数別の後悔事例も詳しく解説するので、中古マンションの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
中古マンション購入で失敗しないための注意点
中古マンションを購入する際には、いくつかの注意点があります。
まず、管理状況が適切であるかどうかを確認しましょう。長期修繕計画がしっかりと立てられ、修繕周期や収支が適切に計画・管理されているマンションは安心です。また、築年数が古い物件ほど、見えない部分の劣化が進んでいる可能性が高いため、とくに給排水管や外壁の劣化状況やメンテナンス履歴のチェックが重要です。
ここからは、中古マンション購入で失敗しないための以下3つの注意点を詳しく解説します。
- 中古マンション購入時の資金計画は念入りに
- 固定資産税をはじめとした維持費を把握しておく
- 立地条件や生活環境を調べておく
中古マンション購入時の資金計画は念入りに
中古マンションを購入する際には、資金計画をしっかりと立てることが重要です。
貯蓄額や年収から、購入可能な予算を正確に見極める必要があります。綿密な資金計画により、購入後の生活に無理が生じない範囲でのマンション選びが可能となるでしょう。
また、初期費用や諸費用も念頭に置くことが大切です。マンションの契約時には手付金が必要であり、購入後にはリフォームや家具の購入などのまとまった資金も必要になる場合があるためです。
これらの資金需要を考慮した上で、総合的な資金計画を立てることで、後悔のないマンション購入が実現できるでしょう。より具体的な購入目安を把握するためには、専門家のアドバイスを受けることも有効です。適切な資金計画を立てることで、中古マンション購入時のリスクを大幅に軽減できます。
固定資産税をはじめとした維持費を把握しておく
中古マンションを購入する際は、購入後に発生する維持費も十分に理解しておく必要があります。
固定資産税は毎年発生するもので、物件の評価額に基づいて計算されるため、購入前におおまかな額を確認しておくと安心です。
また、毎月支払う管理費や修繕積立金も重要な要素です。管理費は共用部分の維持管理に充てられ、マンションの快適な居住環境を維持するための費用です。修繕積立金は将来的な大規模修繕に備えるための資金であり、築年数が古いほど高額になる傾向があります。
その他住宅ローン、保険、駐車場などの維持費を総合的に考慮して資金計画を立てることで、後悔のないマンション購入が可能になるでしょう。
立地条件や生活環境を調べておく
マンションの立地条件や生活環境の良し悪しは、住みやすさに大きく影響します。
そのため、自身や家族の希望条件を具体的に洗い出し、その条件に合致する物件を選ぶことが重要です。たとえば通勤・通学の利便性、周辺の買い物環境や医療施設の充実度、公園や自然環境の有無など、日常生活に直結する要素を考慮しましょう。その上で、実際に現地に足を運んで周辺環境の確認が不可欠です。この確認でインターネットや資料だけではわからない雰囲気や利便性を実感できます。
立地条件や生活環境は、住みやすさだけでなく、物件の資産価値にも大きく影響します。将来的に住み替えを考える際、立地が悪いと売却時に思いのほか売却価格が希望を下回る/希望通りに売却できないがあるため、注意が必要です。そのため、購入前に将来の資産価値も見据えて物件を選びましょう。適切な立地条件と良好な生活環境を備えた物件を選ぶことで、快適な暮らしと安定した資産価値の両方を手に入れることができます。
買ってはいけない中古マンション物件の特徴
中古マンションを購入する際、注意が必要な物件があります。まず、立地条件が悪い物件です。たとえば交通の便が悪く、最寄り駅から遠い場所にあるマンションや、周囲に騒音源となる施設がある物件は避けましょう。また、近隣に必要な生活施設が少ない場合も問題です。スーパーや病院、学校などの施設が遠いと、日常生活に不便を感じることがあります。
ここからは、上記以外に買ってはいけない中古マンション物件の特徴を5つ紹介します。
- 管理費・修繕積立金の滞納者がいる
- 大規模修繕工事が適切に行われていない
- リノベーションの制約がある
- 旧耐震基準の建築物にも関わらず耐震補強が行われていない
- 戸数の少ないマンション
管理費・修繕積立費の滞納者がいる
中古マンションを購入する際にとくに注意すべき点は、管理費や修繕積立金を滞納している入居者がいる物件を避けることです。
なぜなら管理費や修繕積立金が適切に徴収できていないマンションは、管理体制に問題がある可能性が高いためです。このようなマンションでは、必要な修繕が計画通りに行われず、建物全体の状態が悪化するリスクがあります。
万が一購入した住居の前所有者が管理費や修繕積立金を滞納していた場合、原則としてその支払い義務が購入者に引き継がれることがあります。このような事態が起こると、予想外の費用負担が発生する可能性があるため、事前に管理組合に確認し、滞納状況を把握しておくとよいでしょう。
大規模修繕工事が適切に行われていない
大規模修繕工事が適切に行われていない中古マンションには、とくに注意が必要です。適切な修繕が行われていないマンションは長期修繕計画が未整備、または更新されていないために、積立金の金額に根拠がないケースもあります。結果として、修繕費が不足し、一時金として修繕費の追加徴収が行われたり、修繕積立金が急に値上がりするリスクがあります。こうした資金面の問題は、将来的な維持管理に大きな影響を与えるだけでなく、住民にとっても予想外の出費となり得るでしょう。
さらに、大規模修繕が行われていないマンションは、建物の寿命が短くなる傾向があります。定期的なメンテナンスが行われていないと、外壁の劣化や給排水設備の老朽化といった建物全体の劣化が進行しているためトラブルのリスクも高くなるためです。。このような物件は資産価値の低下が避けられず、将来的な売却時に不利になる可能性があります。
購入を検討している物件が大規模修繕工事を適切に実施しているかどうかを確認するには、長期修繕計画が定期的に更新・実施されているかなどのチェックが重要です。
リノベーションの制約がある
中古マンションを購入する際、リノベーションの制約がある物件に注意が必要です。
給排水管がスラブ貫通配管になっている物件では、配管の移動ができず、交換などのメンテナンスの際は、階下の住戸の天井を解体する作業が発生します。このようなケースでは、階下の住戸への影響が出ることも少なくありません。
また、すべての部屋にエアコンの配管がない物件も避けたほうが良いでしょう。エアコンの取り付けが困難な場合、快適な住環境を維持するのが難しくなります。さらに、構造上解体できない壁が存在する物件も注意が必要です。リノベーションの計画が制限されるため、自分の理想の住まいに近づけることが難しくなるためです。
管理規約上、リフォーム範囲を制限している場合もあります。とくに、共用部分に影響を及ぼすような大規模なリノベーションは許可が下りないことが多いため、事前に管理規約を確認してリフォーム範囲の制約について把握しておきましょう。
旧耐震基準の建築物にも関わらず耐震補強が行われていない
旧耐震基準の建物で耐震補強が行われていない中古マンションは、購入を避けるべき物件のひとつです。旧耐震基準とは1981年6月に新耐震基準が施行される前の基準で、震度6強以上の地震に対する具体的な対策が含まれていません。新耐震基準では、震度6強から震度7程度に対して、人命に危害を及ぼす倒壊等の被害が生じないように設計されています。
しかし旧耐震基準のまま、その後の耐震補強が行われていない物件は、安全性に大きな懸念があります。
購入を検討する際には、建物の耐震診断結果や耐震補強が行われているかの確認が不可欠です。耐震補強が行われていない場合、その後の改修工事には高額な費用がかかることが多くみられます。購入前に耐震補強の有無を確認しておけば、安心して住み続けられるでしょう。耐震性は最優先事項としてチェックしましょう。
戸数の少ないマンション
中古マンションを選ぶ際、戸数の少ないマンションには注意が必要です。マンションの管理費や修繕積立金は、全住戸で均等に分担されるため、戸数が少ないと、管理費や修繕積立金の負担が大きくなる可能性があります。
一般的に戸数の多いマンションでは一戸あたりの負担が軽減され、経済的な負担が少なくなるケースがあります。たとえば100戸以上のマンションでは、修繕費用の積立も多くの住戸で分担するため、1戸あたりの負担が少なくなります。一方で30戸未満のマンションでは修繕費用の積立が限られ、将来的な大規模修繕時に住民一人ひとりの負担が大きくなる可能性が高いでしょう。
戸数の少ないマンションでは、住民の意見が管理組合に反映されやすい一方で、意見の衝突や意思決定が難航する恐れがあります。こうした点を考慮し、購入前にマンションの戸数や管理状況の確認が重要です。
築年数ごとの後悔事例から学ぶ中古マンション購入の注意点
中古マンションを購入する際には、築年数によって発生しやすいトラブルが異なるため、それぞれの築年数ごとの注意点を理解しておくことが重要です。
ここからは、築20年、30年、40年、それぞれの中古マンション購入における後悔事例と注意点を紹介します。
築20年マンションの後悔事例・注意点
築20年の中古マンションは、市場に流通している中では比較的築年数が浅いほうになります。しかし新築と比べるとそれなりに劣化が進んでいることは認識しておく必要があるでしょう。具体的な後悔事例と注意点は、以下です。
- 内装や設備の劣化が目立ちはじめる
- 建物全体の修繕積立金の不足が問題になることがある
- 見えない部分の問題が潜んでいることが多い
築20年を迎えると、キッチンやバスルームの設備が古くなり、見た目や機能性に不満を感じる人も少なくありません。また配管の老朽化による水漏れや詰まりが発生しやすく、これが原因で住み心地が悪化するケースもあります。
築20年程度のマンションでは、大規模修繕が必要となるタイミングです。ただし積立金が十分に確保されていない場合、修繕費用が一時金として住民に請求されることがあります。万が一このような事態になると思わぬ出費が発生し、後悔する結果となるでしょう。
購入後に見えない部分の不具合が見つかったケースは、実際にあります。築20年を超えると、設備や配管の問題が出やすくなるためです。通常、給湯器やエアコン、空調などの寿命は約15〜25年と一般的には見られるケースが多いため、建築当時から一度も交換していない場合、購入時期と不具合の発生が重なることがあります。
配管は構造の関係で取り替えが難しく、費用がかさむことがあります。そのため、築20年程度の物件では、購入後すぐに設備や配管の不具合が発生する可能性を考慮し、購入前に状態を確認したり、予算に組み込んだりすることが重要です。
築30年マンションの後悔事例・注意点
築30年の中古マンションを購入する際には、修繕積立金の高さやリフォーム費用が嵩む点に注意が必要です。築30年を超えるマンションでは、大規模修繕が必要となることが多く、修繕積立金が十分に確保されていない場合、その費用を住民が一時金として徴収される場合があります。これが予想外の大きな出費となり、購入後に後悔につながります。
リフォームで注意したい点としては、築30年以上のマンションは配管の交換費用が嵩む点です。配管の交換や修理が大掛かりになり、リフォーム費用が跳ね上がってしまう事例が見られます。場合によっては、配管の交換自体が困難なケースもあるため、注意が必要です。
築40年マンションの後悔事例・注意点
築40年の中古マンションを購入する際には、管理問題が顕著に現れる点に注意が必要です。築40年が経過すると、大規模修繕が必要となることが多い一方で、修繕計画が建てられていなかったり、計画通りに修繕を実行していなかったりなどにより、管理不全に陥っているマンションも見られます。このような管理不全を見抜けずマンションを購入してしまうと、後悔につながりかねません。
また管理がしっかり行われているマンションにおいても、修繕積立金の値上がりが行われ、毎月の負担額が大きくなります。マンションの価格だけで購入を判断してしまい、修繕積立金のコストで後悔してしまうことも考えられるでしょう。
さらには築40年を超えるマンションは性能が現在のマンションと比べて劣るため、要注意です。1981年5月以前の旧耐震基準で建てられたマンションの場合、耐震補強が行われていない場合があり、安全性に懸念が生じます。築40年以上のマンションは購入前に耐震補強が行われているか、今後行う予定があるかなども確認しておきましょう。
中古マンションにはもちろんメリットもある
中古マンションを購入する際には、ここまで紹介したような注意点がありますが、メリットもあります。
ここからは以下4つの中古マンションのメリットについて、詳しく解説します。
- 新築よりも安く購入できる
- 管理状況が確認できる
- 日当たりや周辺環境の確認ができる
- 交通の便が良い物件が見つかりやすい
新築よりも安く購入できる
中古マンションは新築マンションに比べて建物の価値が下がっているため、購入価格が安くなるケースがほとんどです。一般的には築年数が経過するほど価格は低下し、同じ立地条件であっても新築と比べてお手頃な価格で購入可能です。
さらに中古マンションは、価格交渉がしやすい点もメリットです。売主の事情や市場の状況によっては価格交渉が成立しやすく、希望する条件で購入できる可能性が高まります。価格交渉が可能になることで購入者は、予算内でより良い物件を手に入れやすくなるでしょう。
ただし立地条件が良く、需要の高いエリアにある物件は、この限りではありません。とくに駅近や人気エリアの中古マンションは需要が高いため、価格があまり下がらないことがあります。そのため、購入を検討する際には、立地条件や周辺環境の確認が重要です。
管理状況が確認できる
中古マンションの大きなメリットのひとつは、実際の管理状況を確認できる点です。新築マンションでは管理が開始されてからの状況が分かりませんが、中古マンションでは、すでに運営が進んでいるため、管理の実態をある程度把握できます。
実際に住むまえに管理状況を確認できることで、安心して購入を決断できる点は大きなメリットです。たとえば共有部分の清掃状況や居住者の雰囲気を現地で把握したり、管理規約や大規模修繕計画など管理運営に関する資料を入手して修繕の履歴、管理組合の活動状況などのチェックにより、物件の維持管理が適切に行われているかを確認できます。
管理状況を確認する際は、プロの第三者にチェックしてもらうことも有効な方法です。
さくら事務所のマンション管理インスペクションでは、住宅の専門家であるホームインスペクターがマンションの管理状況を詳細に調査し、客観的な意見を提供します。ホームインスペクションの実施により、自身だけでは見落としがちな点もカバーでき、より安心して中古マンションを購入できるでしょう。
日当たりや周辺環境の確認ができる
中古マンションのメリットのひとつが、実際に完成している物件を内見できる点です。新築マンションの場合、購入を決める際にはパンフレットやモデルルームのみを参考にすることが多いため、未完成の場合は実際の日当たりや周辺環境がどのようなものかを正確に把握できません。
一方で、中古マンションはすでに建っている物件なので、内見の時点で実際の日当たりや周辺環境を確認できます。
中古マンションでは、すでに入居している住民の様子も確認できます。たとえば同じマンションにどのような人が住んでいるのか、管理がどのように行われているのかなどを実際に見られるため、生活環境をイメージしやすいです。
そのため中古マンションの購入を検討する際には、日当たりや周辺環境の確認をしっかり行うのがおすすめです。実際の物件を見ることで、住んだ後の後悔を軽減できるでしょう。
交通の便が良い物件が見つかりやすい
中古マンションのメリットのひとつが、交通の便が良い物件が見つかりやすいことです。基本的に新築マンションはディベロッパーが新たな土地を見つけて建築するため、都市中心部よりも郊外のエリアに多く見られます。そのため都心部で新築マンションを探すのは難しく、選択肢が限られるのです。
一方で中古マンションはすでに存在する物件のため、都心部でも多くの選択肢があります。とくに公共交通機関へのアクセスが良い場所に位置する物件が多く、通勤や通学に便利な立地を選びやすいでしょう。中古マンションは地域の住環境や施設の充実度も確認しやすく、実際の生活イメージを持ちやすいのも魅力のひとつです。
都心部で便利な場所に住みたい方や、通勤・通学の利便性を重視する方にとって、中古マンションは魅力的な選択肢と言えます。
中古マンション購入の注意点を押さえて後悔や失敗を避けよう!
中古マンションの購入は、この記事で紹介したように、新築とは異なる観点からのチェックが必要です。建物の老朽化や修繕履歴を確認し、現在の状態を把握する必要があります。しっかりとしたチェックを行わないと、購入後に予期せぬトラブルが発生し、後悔につながりかねません。
しかし、すべての問題点を自分で発見するのは難しいことがあります。専門的な知識や経験が必要な場合も多く、見落としがちなポイントも存在します。中古マンションの購入に際して、不安なことがある場合は、住宅のプロの手を借りることを検討しましょう。たとえばさくら事務所のマンション管理インスペクションや中古マンションホームインスペクションサービスを利用することで、中立的な第三者の専門家による詳細なチェックを受けられます。
プロによるインスペクションでは、建物の構造や設備、管理状況を詳しく調査し、購入前にリスクを明確にしてくれます。これにより購入後のトラブルを未然に防ぎ、安心して中古マンションを選ぶことができるでしょう。初めてのマイホーム購入で失敗したくない方や、後悔しないためのポイントを知りたい方は、ぜひ専門家の意見を取り入れてみてはいかがでしょうか。