マンションに暮らす上で最も気になるのが「音」の問題。
上階からの音、隣地からの音、外からの音…。
自分の家から出る音によって、外部へ迷惑をかけていないかどうか?も把握しておきたいですよね。
「音」の問題でストレスを抱えることのないように、まずは購入前にしっかりとチェックしてみましょう。
どこまで聞こえる!? 「床」の音をチェック
マンションに住んでいると特に気になるのが、子どもが走り回るときに聞こえる「ドンドン」というような、上階の床からの音です。
床の遮音性能がどのくらいあるかは、L値で示されます(L=floor impact sound Level)。
これは、実験室で上階の床に与えた床衝撃音(JISで規定される衝撃源)が、下階にどのくらい聞こえるかを測定したもので、コンクリートの厚み(スラブ)は150mmを基準にして測られています。
このL値には種類が2つあります。
・人が飛び跳ねるなどの、重くて鈍い音を示すLH(Heavy weight=重量床衝撃音)
・スプーンなどの軽い物を落とした場合の、比較的軽くて高い音を示すLL(Light weight)
ちなみに、日本建築学会が望ましい住環境として推奨しているレベルは、LH-50、LL-45程度。
数値が小さいほど、防音性は高くなりますので、マンション購入の際には、この2つのL値をチェックした上で、上階の音がどのくらい聞こえるのかを調べておきましょう。
* なお、この表示は、2008年に改正されて、「ΔLH(デルタエルエイチ)等級」「ΔLL(デルタエルエル)等級」という表示に変更になっていますが、実 際は未だにもとのL値で表示されているものが多いです。Δデルタ表示は1~5級に設定されており、等級の数字が大きいほど、床衝撃音低減性能が高くなって います。
空気中を伝播して壁越しに聞こえる音
個体音である床の音の次は、空気音。
隣の部屋から伝わってくる音をチェックしてみましょう。
遮音性能を表す数値としては、D値で示されます(D=sound pressure level Difference)。
これは、隣の部屋で発生したオーディオの音や話し声などが空気中を伝播して、壁越しにどのくらい聞こえるかを表しています。
こちらも、日本建築学会より推奨されているD値の基準があります。
集合住宅の居室の場合、標準でD-50、最低限でD-40、特別仕様でD-55。
数値が高いほど、隣の音が聞こえにくいです。
下記は日本建築学会の「建築物の遮音性能基準と設計指針」より、一般住宅における遮音等級と聞こえの関係(抜粋)です。
・遮音等級
D-65 ピアノ・ステレオ等の大きな音がほとんど聞こえない
D-55 かすかに聞こえる
D-50 小さく聞こえる
D-40 曲がハッキリ分かる
D-30 大変良く聞こえる
D-20 かなりうるさい
音のトラブルは後々厄介なことになるので、ここも購入時にしっかりヒアリングしておきましょう。
サッシの遮音性能
最後に押さえておきたいのは、サッシの遮音性能を示すT値です。
T値は、数値が大きいほど性能が高いことを意味しています。
T-1 = 25等級 およそ25db低減 (単層ガラス)
T-2 = 30等級 およそ30db低減 (単層ガラス)
T-3 = 35等級 およそ35db低減 (防音合わせガラス)
T-4 = 40等級 およそ40db低減 (二重サッシ)
窓一枚でも明らかに遮音性能が違うので、生活環境は大きく左右します。
希望するマンションが幹線道路沿いや線路脇などの立地の場合は、T-3以上が望ましいでしょう。
後で後悔しないためにも、音に関する問題はマンション購入時にしっかりチェックしておくことをおすすめします!