戸建住宅の売買で注意したいのは隣地との境界線

  • Update: 2019-03-18
戸建住宅の売買で注意したいのは隣地との境界線

不動産の取引は売主と買主の間で大きなトラブルが起きやすく、未然に防ぐためには事前の準備が大切です。戸建住宅の取引で特に注意しなければいけないのは、隣地との境界問題。内見するときに多くの人が建物の外観や間取りに関心が行きがちとなってしまうものです。建物外観や間取り同様に隣りにどんな人が住んでいるのかは多くの人が当然に気になる点でしょう。

それと同じくらい重要なのが境界問題。

「自分の所有権の範囲となる敷地がどこからどこまでなのか」ということはとても重要なポイントです。
建てられる建物の大きさが変わってくるかもしれませんし、これから始まるご近所さんとのお付き合いにも関係してくるかもしれません。広告に載っている簡易図面だけではもちろん不安ですが、ずいぶん前に作成された測量図も現状とは違っている可能性があります。

 

今回は、土地の境界と測量図について解説します。

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契約前に確認したい「境界標」があるか

不動産売買契約では、残代金を支払うまでに、「売主は買主に対して、土地の境界点・境界線を明示する」とうたわれています。
これは、売主から買主に対して、「私が売る土地の所有権の範囲はここからここまでですよ!」と説明するというものですが、もっと言えば、隣の人などの第三者から文句を言われない排他的な所有権の範囲を示すための行為と言えます。
ですから、実際に土地の境界点と境界線の明示を受けるときは、お隣さんから文句を言われない土地である証拠を見せてもらわなければなりません。
その証拠の一つとなるのが、境界標です。(境界杭、境界プレート、境界鋲とも言われます。)

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売買契約をする前にぜひとも確認しておきたいのですが、契約前に売主の敷地に入って境界標の有無を確認することはなかなかできないので、不動産業者を通じて、杭やプレート、鋲などが土地や塀などに設置されているかを確認しましょう。境界標が見当たらない場合、土の下に埋もれていることもあるので、シャベル などで掘り起こしてもらいます。
もし、境界標がない場合は、売主に境界標を設置するよう依頼しましょう。
ただし、売主が境界標を設置する場合は、隣地所有者と立ち会いのうえ、資格ある測量士等が測量を行い、境界標を設置する必要があります。
これには売主に一定の費用がかかるため、売主がこの作業を拒否する場合もあります。
境界標を確認できたら、隣地からの越境物や、取引対象となる敷地から隣地に越境しているものがないかどうかも確認しましょう。

 

測量図は3種類ある

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もうひとつ、契約前のチェックとして大切なのは、敷地範囲の証拠となる測量図があるかどうかということです。

測量図には、

  1. 隣地所有者の境界承諾印のある境界承諾書付きの「確定測量図」
  2. 法務局に登録された「地積測量図」
  3. 売主が自分の敷地と思っている部分を勝手に測量した「現況測量図」

があります。

もし、契約前に見せてもらった測量図が「現況測量図」である場合、この測量図は隣地の方の同意を得た敷地範囲でない可能性がありますので、実際の境界点と境界線はどこにあるのか契約前にはっきりさせておくことが大切です。
「地積測量図」は、隣地との立ち合いを経た境界承諾書がある測量図をもとに法務局に登録しますので、一定の安心感はあります。しかし、作成された時期によって証拠力が変わってきます。
少なくとも平成5年以降、できれば平成17年以降のものであれば、安心できると思います。隣地所有者の境界承諾印のある境界承諾書付きの「確定測量図」ならば、よりいっそう安心です。

土地付一戸建て、土地を購入するときは、測量図があるからといって必ずしも安心できるとは限りません。建物であれば後から手を入れてどうにかできる部分もありますが、土地はそうはいきません。
長いおつきあいになる近隣の方との良好な関係のためにも、念には念を入れて確認されてはいかがでしょうか。

境界線のトラブルリスクを回避するために

一般的にはこうした「境界標」「測量図」が指標とにりますが、仲介業者から「隣との境に塀が建っています」「境界標が存在しているから問題ありません」と説明があってもこれだけでは安心できないのです。

購入前にやるべきことをしておかずに購入後に隣地所有者と交渉するのはとても大変なストレスと手間がかかります。都内の場合数センチの境界のズレは、数百万円にも相当します。

ご購入、ご売却をお考えの方は、まずさくら事務所にご相談ください。経験豊富な不動産コンサルタントが客観的にアドバイスしますので、後にトラブルが起きるリスクを減らすことが出来ます。