新築の住宅を購入し、いよいよ完成間近。
その頃に行われるのが「竣工検査(しゅんこうけんさ)」です。取引が最終的な局面、引き渡し前に行われる重要な検査として、おおよその意味をご存じの方も多いかもしれませんね。
一方で、立ち会いにあたり「具体的に何に注目すべきかわからない」との声も聞かれます。長い時間を過ごす「我が家」の施工状況などをチェックする大事なイベントですから、事前に知識を入れた上で検査に臨みたいものです。
1点、怖い話をしますと…ご依頼実績68,000件(業界1位)をこえる、さくら事務所の過去のご依頼者様宅では、内覧会同行(引渡し前チェック)サービスご利用時に、給水管水漏れによる床下の水たまり、換気扇ダクトのつけ忘れ、断熱材の外れを発見するなど、新築とはいえど施工ミスが後をたちません。
※驚くことに、2019~2020年にかけて、大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く集計・分析した結果、工事時点ですでに『8割以上』の住宅何かしらの施工ミスが発見されていることもわかっています。
一般の方が、すべてを完璧にチェックをするのは難しいことも事実ですが、本コラムでは、多数の施主検査に立ち会ってきたさくら事務所のプロのホームインスペクター(住宅診断士)が
- 類似する言葉「施主検査」との違いや基礎知識
- 検査スケジュールの決め方や、施工会社への事前準備
- 当日に確認必須の事柄
- 引き渡し前に指摘事項を直してもらえないケースの対処法
以上、引渡しで失敗しないための必須チェックポイントと共に、多数の竣工(施主)検査・内覧会に立ち会ってきたプロのホームインスペクター(住宅診断士)が網羅して解説いたします!ぜひ、参考にしてみてください。
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※新築でのホームインスペクションの必要性はこちら
まずは、「竣工検査」と「施主検査」の違いを正確に理解しよう!
まずは、新築住宅が完成した際によく耳にする「竣工検査」の概要について解説します。似た用語である「施主検査」との違いについても解説しているので、併せて参考にしてください。
「竣工検査」とは工事完了後に実施する検査
竣工検査とは、工事が完了した際に建築主が責任者とともに実施する最終確認検査のことです。「設計書どおりの施工が行われているか」「不具合が生じていないか」といった基本的なチェックのほかに、機器の動作なども確認します。
「施主検査」は工事の依頼主による検査
施主検査とは、工事を依頼した「施主」が行う検査のことです。施主が発注したとおりの住宅が建設されているかどうかをチェックします。この施主検査は建設途中に実施されるものと、工事が終わって引渡しを行う前に実施されるものの2種類があります。
竣工検査の事前確認ポイントは?
竣工検査(内覧会)を行う際、事前に確認しておきたいポイントは以下のとおりです。
- 検査日程には余裕を持とう
- 開始時間は午前中がおすすめ
- 当日立ち会い者の確認をしよう
- 検査をスムーズに進めるための事前準備
それぞれの事前確認ポイントについて詳しく解説します。
検査日程には余裕を持とう
竣工検査は、引き渡しの2週間以上前に設定するのがおすすめです。もし竣工検査で不具合が見つかった場合、引渡しまでに修繕してもらう必要があります。悪天候などによって工事が延長した場合の予備日も含めて、余裕を持った日数を確保しておくと安心でしょう。
開始時間は午前中がおすすめ
竣工検査の開始時間は、9時~10時を目安にするのがおすすめです。入居前の住宅を検査するため、照明器具が揃っていない部屋もあります。そのため、自然光を利用して検査しなければいけません。
また、庭やカーポートといった外構をチェックするためにも、明るい時間帯に竣工検査が終わるように早めの時間に開始するのがいいでしょう。竣工検査は建築士でも2時間程度は必要です。季節によって異なるものの、遅くても13時には開始できるようにスケジュールを組んでおくと安心です。
なお、しっかりと時間をかけて調査を行うホームインスペクター(住宅診断士)が同行する場合は、午前中のスタートがマストとされています。
当日立ち会い者の確認をしよう
竣工検査を行う際は、当日の立ち会い者が誰なのかを確認しておきましょう。竣工検査で不具合が見つかったとき、売主(不動産会社)や施工会社の担当者が立ち会っていなければ手直しを依頼する職人さんに正確な情報を伝えられません。もし不具合の伝え漏れがあれば、修繕されないまま引渡しに至る可能性もあるでしょう。
そのため、竣工検査を行う際は売主(不動産会社)もしくは施工会社の担当者が立ち会ってくれるかどうかを確認しておきます。なお、竣工検査に建築士やホームインスペクターが同行する場合は、その旨を先方に伝えておきましょう。
検査をスムーズに進めるための事前準備
竣工検査をスムーズに進めるためには、以下の内容を施工会社の担当者に依頼しておきましょう。
- 床下や屋根裏・天井裏を確認したい旨を担当者へ伝える
- 水道・ガス・電気を使える状態にしてもらう
- 仮設照明をつけてもらう
それぞれの事前準備について詳しく解説します。
床下や屋根裏・天井裏を確認したい旨を担当者へ伝える
竣工検査を行う際は床下や屋根裏、天井裏を確認したい旨を担当者に伝えておきましょう。高所での作業が必要になるため、脚立の準備も依頼しておくと安心です。これらの進入口はドライバーなどの器具がないと開けられなかったり、高所で外しにくかったりとスムーズに点検しにくい場所です。破損を回避するためにも作業に慣れた施工会社の担当者に依頼をするのが望ましいでしょう。
水道・ガス・電気を使える状態にしてもらう
竣工検査を行う前に水道やガス、電気を使える状態にしてもらいましょう。ライフラインは実際に使用してみないと不具合を把握できないため、照明器具を点灯したり、キッチンやトイレなどの水回りで水を流してみたりといったチェックを事前に行っておくと安心です。
ただし、ガスは入居のタイミングでしか開栓できないことも多いため、ダメ元で「使いたい」とリクエストしてみてください。
仮設照明をつけてもらう
竣工検査を行う際は、仮設照明をつけてもらえるか確認しましょう。部屋が薄暗いと仕上げ表面の傷や汚れ、そのほかの状態も見えづらくなります。特に、廊下やトイレの天井に埋め込まれたダウンライト以外は、引渡し後に照明器具を取り付けないと部屋に灯りがつけられないことがほとんどなので事前に依頼してみましょう。
仮設照明を設置できなければ、施工会社に持ってきてもらえるようにお願いするのも一案です。照明が難しい場合は、電池式の明るいランタンや懐中電灯、スマートフォンなどを持参すると暗い場所でもチェックしやすくなります。
竣工検査のチェックポイント
図面との整合チェック
契約時にもらった図面と建物をよく見比べましょう。間違って施工されていないか、取り付け忘れているものはないかの確認からスタートです。
<ドアの開閉方向>
- 引き戸と開き戸が間違いはないか
- 開く方向が内側・外側、右側・左側で間違っていないか
- 鍵つきの場合、施錠・開錠はスムーズか
<壁や窓、収納の位置>
- 図面より窓が小さくなって壁が大きい(又はその逆)場所はないか
- 収納が図面より小さいなどの変更がないか
- 窓は引き違い窓なのか、上げ下げ窓なのか、縦すべり窓なのか
- 足元までの掃き出し窓が腰高窓に変更されていないか(またはその逆)
- 窓の鍵はきちんと施錠・開錠できるか
- 窓を閉めた時にすき間ができないか
<照明器具の位置と数>
- ダウンライトの数に間違いがないか
- 後付けの照明器具の取り付け位置が図面と大きく異なっていないか
<コンセント・スイッチ等の位置と数>
- コンセントや照明などのスイッチの数や位置、形や色などの仕様に間違いがないか
(コンセントはテレビの端子と一体型、LAN端子と一体型、差込口が複数あるものなど種類が多数存在) - アースが必要な家電の設置場所にアース端子付コンセントはあるか
- インターネット回線や電話回線の設置場所と位置、数に間違いはないか
屋外(外周り)のチェック
- 外壁や基礎表面のひび割れやキズ、欠けがないか
- 外構工事に終わっていないところがないか(完成時期を確認)
- 土地の境界が明示されているか
- 隣地所有者と共有物になっているものの有無
- 入り口の門扉の開閉確認、門灯・庭灯の点灯確認
- エアコンの室外機の場所などもチェック
- 見える範囲で樋の様子も確認しておきたい
- テラス・ベランダの防水排水処理、手すりの強度確認
室内のチェック
- 床のキズ、へこみ、汚れのチェック(和室の場合、畳縁の合わせ部分に段差なども確認)
- ドア・窓・収納扉の開け閉めはスムーズにできるか
- キッチン・洗面所・浴室・トイレの水がきちんと出せて流れていくか、おかしな音はしないか
- 床下点検口から見える範囲で水漏れが起きていないか
- 床下内部に多数のごみがないか
- 歩くと床や階段から変な音がしないか
気になる場所に、目立つ色のマスキングテープなどを貼っておくと、後々確認しやすいのでおすすめです。幅広のマスキングテープなら、書き込みもできます。また、採寸のためメジャーもあると便利です。
不具合のある箇所を記録するため、カメラがあってもいいでしょう。もちろんスマートフォンなどでも代用できます。
また手鏡があると、見づらい箇所が見やすくなります。
天井裏(屋根裏/小屋裏)のチェック
- 点検口からライトで照らして見える範囲に雨染みのようなものはないか
- 断熱材が剥がれ落ちている場所はないか
- 換気扇などにダクト(配管)はつながっているか
- 脚立にのぼっての確認は、転落するおそれもあります。無理をしないように気をつけましょう。
- 内部に入ると天井が抜けてしまうことも考えられますので、点検口からのぞくだけにしておきます。
指摘箇所の修繕完了時期の確認と確認会の日程設定
引き渡し前には全項目の修繕は完了しているのが基本です。内覧会の指摘項目が直る時期を確認後、万が一、引き渡し前には完了しないと回答された際には、売主・施工会社に「残工事リスト」の提出を依頼しましょう。「残工事リスト」には、工事内容、完了予定時期を記載します。
さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 施主検査のチェックリストを大公開!PDFでダウンロードも可能【2023年最新】
準備しておくと良い持ち物
竣工検査の際に準備しておくと良い持ち物は、以下のとおりです。
- 図面・筆記用具
- メジャー
- 水平器
- マスキングテープ
竣工検査は住宅の隅々をチェックしなければいけません。そのため、おすすめの持ち物を参考に必要な準備を行いましょう。
図面・筆記用具
竣工検査に行く際は、設計図面と筆記用具を必ず用意しましょう。住宅をチェックしているときに、気になる箇所があれば図面に書き込んでおけます。あらかじめ図面をコピーしておけば、汚れを気にせず書き残せるのでおすすめです。
メジャー
メジャーがあれば、設計書の寸法と合っているか確認できます。100円ショップでも購入できます。5mほどの長さがあると便利です。
水平器
水平器は床や階段などの水平をチェックします。100円ショップでも購入できますが、スマートフォンのアプリでも代用可能です。
マスキングテープ
住宅の不具合で気になる箇所があれば、マスキングテープで印をつけておきましょう。粘着力の弱いマスキングテープだと、貼っても跡が残りにくいのでおすすめです。壁紙と同化しない色を選んでおくと、その後の見落としがなくなります。
粘着力が不安であれば、あらかじめ施工会社に依頼しておくと適切なテープを用意してもらえることもあります。
また以下の動画でも内覧会のチェックポイントについて、住宅診断のプロが詳しく解説しています。 気になる方はぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=-Fh8UHZTr2o
その他、よくある質問・疑問について
竣工検査に関する質問や疑問をまとめてみました。あらかじめ気になる問題を解決しておくと、竣工検査での失敗やトラブルを未然に防げるでしょう。
竣工検査を行う際の参考にしてください。
天気予報はチェックするべき?
晴れるのがベストですが、どんな天候でもチェックは可能です。極端に風雨にさらされるような状況では、窓が開けられないですし、積雪すると外構が見えないなどのトラブルも考えられます。やはり事前に確認しておくのが無難でしょう。
台風など警報が発令され、交通トラブルが予測されるようなケースでは開催できない場合もあります。予報によっては代替日も確認しておきましょう。
指摘すべきか悩んだ時はどうすれば?
竣工検査で気になる箇所があれば、遠慮なく担当者へ伝えましょう。契約者は契約内容と異なるものがあれば、直してもらう権利を持っています。
契約者は専門的な知識や経験が少ないため「指摘するほどおかしいのかわからない」と感じてしまうことも珍しくありません。その結果、気になることを確認できずに終わってしまうケースも。
しかし、引渡しが終わった後に指摘しても、アフターサービス保障項目を除き「工事完了を認めた」として、無償での修理を拒否される可能性があります。そのため、どんなに些細なことでも気になる箇所があれば竣工検査の時点で伝えるようにしましょう。
子供の同席は可能?
竣工検査は、基本的に子供が同席しても問題ありません。幼稚園児以上の子供であれば、一緒にチェックすることも可能でしょう。ただし、竣工検査に集中できるように、臨機応変な対応が求められます。子供と一緒に竣工検査を行うためのポイントを以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
専門家が教える!お子様と一緒に内覧会を楽しむための5つのコツ
発見されるよくあるトラブルケース
施工会社に具体的な指摘箇所を伝えるのが難しいため、「もう少し丁寧に工事できるのではないか」と修繕を依頼してもやんわりと断れてしまう場合もあります。職人の手作業ですから、もちろん限界もあります。ただ、抽象的な修繕内容では、お互いに意思疎通が難しいものです。
実はもっと丁寧に仕上げられるのに、施工会社担当者の個人の感覚で「この程度、いいじゃないか」と考え、あたかもどの工事でも普通であるように「こんなものです」と答えていることもあります。何をどう修繕してほしいか、希望を具体的かつ専門的に伝えることができないため、双方が上手くコミュニケーションを図れず、トラブルにつながる可能性があります。
どんな規模のやり直しも依頼可能?
雑な工事だと明確な時や注文と異なる仕上がりが見られるという場合に限り、修繕依頼は可能となります。場合によっては、一部解体を伴うような大がかりなものでも依頼できるでしょう。
一方で、住宅づくりの基本は職人の手作業です。工場などで作る機械的な製品とは異なり、ほんのわずかなすき間などが生じることも念頭においておかなくてはなりません。あまり細かいものまで「不具合」として指摘しても、よりベストな状態になるとは限らないからです。修繕前より目立つ結果となることも。
発注内容に間違いがなく、機能面で問題がないようなものはあえて修繕しない方がいい場合もあります。ケースバイケースで柔軟に対応していくような心がけも大切です。
ホームインスペクターに依頼すれば、漏れなく調査ができる
施主検査のチェック内容について、「こんなに自分でチェックできるか心配…」「見落としがありそう…」と不安を感じた方も多いのではないでしょうか?特に、床下や屋根裏内部の状態、構造材の施工不良などは、建築知識がなければ「見たのに気付かなかった」ということも多くあります。
そのような方におすすめなのが、住宅診断のプロであるホームインスペクター(住宅診断士)に内覧会同行をしてもらい診断・アドバイスを受けることです。
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