新築一戸建てにおける不具合指摘率を分析!考えられる原因についても解説

  • Update: 2023-01-31
新築一戸建てにおける不具合指摘率を分析!考えられる原因についても解説

さくら事務所の調べによると、2022年の新築一戸建ての不具合指摘率は最大88%となり、2019年から2022年までの過去4年間を比べてみると、概ね右肩上がりであることがわかりました。中でも基礎・構造・断熱に関わる重要箇所の指摘率は、2022年に過去最大値となりました。

この記事では、新築一戸建てにおける不具合指摘率や原因について解説します。新築一戸建てを購入する際のポイントも紹介するので、併せて参考にしてみてください。

新築一戸建てにおける不具合指摘率

新築一戸建てにおける不具合指摘率は、以下のとおりです。

配筋検査とは、基礎コンクリートの中に鉄の棒を網目状に組んでいるタイミングで行う検査のことです。過去4年間、不具合指摘率は概ね横ばいで、昨年は約7割の新築一戸建て住宅で不具合が見つかっています。

〔写真:配筋検査〕


型枠検査とは、コンクリートを流し込む前に行う検査のことです。2021年に不具合指摘率が約5割に下がったものの、2022年には7割を超える結果となりました。4年間の指摘率を並べてみると、右肩上がりの傾向です。

〔写真:型枠検査〕

 

構造検査においては、2019〜2021年の指摘率はほぼ横ばいであったものの、2022年には約9割に上昇しており、不具合指摘率が上昇傾向にあるといえます。

〔写真:構造金物検査〕

 

防水検査では、過去4年間においてほぼ約8割と横ばいです。2022年には少し指摘率は下がっているものの、改善しているとは言い切れません。

〔写真:防水検査〕

 

断熱検査においては、2021年に一度指摘率が下がっていますが、2022年には約9割までに上昇しています。過去4年間の不具合指摘率を比較すると、右肩上がりになっています。

〔写真:断熱検査〕

 

以上のことから、新築一戸建て住宅における不具合指摘率は全体的に上昇しているといえます。

不具合指摘率が上昇する理由

不具合指摘率が上昇している背景は、主に以下のような理由が考えられます。

  • 建設業界の深刻な人手不足
  • コロナ禍で増える不確定要素
  • 属人的な生産システム

建設業界の深刻な人手不足

まず、建築業界の人手不足が深刻な状況です。少子高齢化によって若い働き手が少ないことや、建築業界への魅力が感じられないことで人手を確保できなくなっています。そのため、今いる現場監督や職人だけではミスをカバーしきれず、見落としやすくなるのです。

コロナ禍で増える不確定要素

加えて、新型コロナウイルスの蔓延も影響しています。発熱をはじめとする体調不良によって、現場監督や職人が現場へ行けず作業できないこともあります。また、物流の滞りが世界的に発生し、資材がなかなか入ってこなかったり、価格が高騰したりと、予定外の事が次々と発生するなど、様々な問題を抱えているのが現状です。

属人的な生産システム

建築業界においては、DXによるシステム化や機械による自動化が進んでいない点も問題の要因となっているでしょう。

こうした様々な要因はここ数年間続いており、業界の共通課題となっています。現場が疲弊している一方で、営業受注は好調を続ける一途です。2021年の新築戸建ての着工数は、2020年比10%増(国土交通省「新設住宅着工数」より)であり、首都圏の分譲マンション価格はバブル期を超えるなど、住宅市場は右肩上がりの傾向が続いています。こうした営業受注の増加に、現場が追い付いていない状況は、今後も継続すると考えられます。こうした、様々な要因が複雑に絡み合い、不具合の発生率が上昇していると判断できます。

新築一戸建てを購入する際のポイント

新築一戸建てを購入する際のポイントは、以下のとおりです。

  • 社内検査に同行する
  • ホームインスペクションを活用する

それぞれのポイントを解説します。

社内検査に同行する

新築一戸建てを購入する際、あるいはこれから引渡しを迎える方は、施工会社の「社内検査」を確認すること、できれば、同行することをお勧めします。現場によっては、施主に正確な日時を伝えない場合もありますので、施主側から予め「現場監督さんが現地に行ってチェックするタイミングはいつですか?」と、聞いて頂きたいと思います。

加えて、検査報告の有無についても確かめておきましょう。検査後の報告とは、現場でどういうことが起きているか確認するためのものです。「不具合があったからダメ!」という事ではなく、不具合があれば適切に直せば良いだけです。ですから、施主側としては、現場で起きていること、適切な対処がされていること、それを知りたいということを現場監督にしっかり伝えましょう。こうしたコミュニケーションが取れていれば、施工会社との信頼関係につながります。

ただし、社内検査のタイミングで自身が現地へ行くときは、必ず事前に現場監督の許可を取ってください。現場監督は現地の安全を守る存在であるため、施主に何かあったら責任をすべて背負わなければいけません。そのため、事前に現場監督の許可を取っていただき、できれば同行してもらうと安心です。

大切な自分の家がどうやって作られるのか、写真を撮影したり、様子を見に行くことで思い出を作ることも、とてもいいことだと思います。現場に行かれる際には、さくら事務所の動画「自分でできるチ検査ポイント」をぜひご活用ください。

新築一戸建て 工事中の検査ポイント! – YouTube

ホームインスペクションを活用する

「専門的な知識がない」「自分たちで確認するのは不安」と感じたり、新築住宅を確実にチェックしておきたい場合は、ホームインスペクションを活用しましょう。ホームインスペクションとは、住宅に精通した専門家であるホームインスペクター(住宅診断士)が住まいを守るために行うアドバイス業務のこと。

例えば、施工会社の検査では心配、社内検査を実施してもらっても「報告書の内容がわからない」「説明を聞いても不安が解消されない」といった場合に、第三者視点からのアドバイスを行います。ホームインスペクションを活用すれば専門的な内容も理解しやすいように説明してくれるので、不安を解消しやすいでしょう。

また、より安心した暮らしを送るためには、工事期間中から検査を実施する「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービス」を活用するのがおすすめです。施工段階から利用しておけば、欠陥にいち早く気づきます。