梅雨時期の新築戸建て工事は、この3カ所に要注意

  • Update: 2023-06-16
梅雨時期の新築戸建て工事は、この3カ所に要注意

関東甲信では6月8日、そして東北北部では6月11日に梅雨入りが発表されました。これからしばらく、全国的に雨の多い日が続きます。

いま新築工事中なんだけど、大丈夫かな?——そう思う方は多いのではないでしょうか。資材が雨に濡れてしまうといけないのではないか、梅雨時期の工事は控えたほうがいいのではないかと、不安は尽きません。

そこで今回は、特に木造の新築戸建てに絞ってお話をしていきます。結論としては、雨が多い時期だからといって、そこまで神経質になる必要はありません。……が、これは、あくまで条件付きでのお話。特に重要な「基礎」「床」「壁」のそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①基礎

コンクリートを流している途中での雨は基本的にNG。
流し終わった後の雨は問題なし

建物を支えるコンクリートの部分を「基礎」と呼びます。基礎に関しては、工程によって考え方が変わります。

まず、コンクリートを流す段階。この段階での雨は基本的にNGです。というのも、コンクリートは水とセメント、それと骨材(こつざい)と呼ばれる石を混ぜて作られているのですが、そこに雨水が入ってしまうと配合が変わり、コンクリートが部分的に弱くなってしまう可能性があるからです。ひび割れが起きやすくなることもあります。

では、コンクリートを流し終わった後はどうでしょう。この段階での雨は、コンクリートが急激に乾燥することを防ぐため、恵みの雨だと言えます(コンクリートは短時間で乾燥させるとひび割れを起こすことがあるのです)。
ただし、流し終わった直後でまだコンクリートが固まり始めていないタイミングだと、上記同様に注意が必要です。

また、基礎の上に雨水が溜まってしまった場合には対処が求められます。雨水をそのままにして床張りなどの工事を進めてしまうと、床下にカビが繁殖してしまう原因になります。よって、きちんと排水処理をしてから次の工事を進めなくてはなりません。

②床

雨に濡れたとしても、しっかり乾燥させれば大丈夫!

次に、「床」です。ここで重要になるのは、床といっても仕上げのフローリング材ではなく、そのフローリング材を支える合板(ごうはん)と呼ばれる板。特にこの板が濡れてしまうと心配になってしまう方が多いのですが、雨で濡れたとしても、乾燥させれば強度上の問題はありませんので、ご心配には及びません。

ただし、「乾燥させれば」です。ごく稀に、木材を手で触って「これなら大丈夫そうですね」と工事を進めてしまうケースが見受けられますが、これはダメ。木材がどのくらいの水分を含んでいるか、含水率計を用いてきっちりと確認することが必要です。数値が20%を下回っていれば乾燥した状態と判断することができます。

仮に水分を含んだまま工事を進めた場合、フローリング材が湿気を含んで変形してしまったり、床鳴りがしやすくなってしまったり、床下にカビが繁殖してしまったりという不具合を引き起こす可能性があります。

また、床下の断熱材が一緒に濡れてしまった場合には、状況により断熱材を部分的に交換する必要が出ることもあるため、床下の状態を合わせて確認した方が安心でしょう。

③壁

床と同様、乾燥させれば問題なし。
ただし、床以上にこわいリスクに繋がることも…

そして3点目が「壁」です。柱も含めた壁面全般に言えることですが、基本的な考え方としては、床と同じです。濡れてしまったとしても、きちんと乾燥させてから使用すれば問題はありません。

濡れたまま工事を進めた場合に起こり得るのが、「結露」です。結露というと、冬場に窓ガラスに水滴がつく、あの現象をイメージされる方が多いと思います。空気には水分が含まれているのですが、暖房などで温められた室内の空気が冷たい窓ガラスに触れることによって、その表面が水滴になって出てくる、あの現象です。

壁の中で起こり得る結露というのは、いわゆる「壁内結露」「夏型結露」と呼ばれるもの。水分を含んだ木材を使って工事を進め、外側は壁材、室内側は石膏ボードで塞いでしまうと、水分を含んだ空気が壁の中に閉じ込められた状態になります。

夏場は日中の温度が高いため壁の中の空気が温められ、その空気がエアコンで冷やされた室内側の壁に触れて、壁の中で結露が発生してしまう……というわけです。

床の場合はフローリングの変形や床鳴りなど、住み始めてから比較的短い期間の中で気づくことができるのですが、壁の中の結露には、なかなか気づくことができません。ようやく気づいた時には壁の中が腐ってしまっていた、ということも起こりえます。

もちろん、ブルーシートなどでしっかり養生して木材を雨から守るのがベストではありますが、いざ濡れてしまった場合は、しっかり乾燥させること。そして、乾燥状態を数値で測ること。これが大切です。

インスペクションが抑止力につながるという利点も

上記のような点にしっかり気を配っている現場がある一方で、そうでない現場もあります。私たちのような第三者機関がインスペクションに入ることで現場にピリッとした緊張感をもたらし、抑止力につながることもあります。そうした意味でも、インスペクションをうまくご活用いただけるとうれしいです。

工事中に不安に思った点があればもちろん、住み始めて何か気になる点が出てきたら、随時お問い合わせください。すぐに現場を見に駆けつけます!