【間違えやすい!】住宅購入診断士と住宅診断士の違いとは?正しい専門家の選び方

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【間違えやすい!】住宅購入診断士と住宅診断士の違いとは?正しい専門家の選び方

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

住宅購入を検討する際、専門家のサポートを受けたいと思う方は多いでしょう。しかし、「住宅購入診断士」と「住宅診断士」という似た名称の資格があることをご存知でしょうか。名前が似ているため混同しやすいのですが、実は役割や業務内容が大きく異なります。

住宅購入は人生最大の買い物の一つであり、間違った専門家に相談してしまうと、本来必要なサポートが受けられない可能性があります。資金計画の相談をしたいのに建物診断の専門家に相談してしまったり、建物の不具合が心配なのに資金相談の専門家に依頼してしまったりする可能性も否定できません。

本記事では、住宅購入診断士と住宅診断士の違いを明確に解説し、どのような場面でどちらの専門家に相談すべきかを具体的にご説明いたします。また、類似する資格との違いや選ぶ際の注意点も含めて、安心して住宅購入を進めるための専門家選びの指針をお伝えします。

記事を読み終える頃には、ご自身の状況に最適な専門家を正しく選択できるようになり、より安心して住宅購入を進められるでしょう。

【間違えやすい!】住宅購入診断士と住宅診断士の違い

住宅購入診断士と住宅診断士は、名前は似ていますが専門分野と業務内容が大きく異なります。まずは両者の特徴を比較して理解しましょう。

住宅購入診断士と住宅診断士の比較

項目

住宅購入診断士

住宅診断士(ホームインスペクター)

主な専門分野

住宅購入支援

建物の構造・設備診断

主な業務内容

住宅購入者に対し生活レベルに見合った住宅ローンプラン、住宅メーカーおよび工務店の選定、金融機関の紹介等

建物調査、欠陥チェック、劣化診断

主な相談のタイミング

購入検討初期〜ローン選択時

物件決定後〜契約前
※物件契約後やお引渡し後でも対応可能

住宅購入診断士とは

住宅購入診断士は、住宅購入時の資金計画や住宅ローン選択に関する専門的なアドバイスを行う資格です。購入予算の設定、住宅ローンの比較検討、返済計画の立案など、お金に関する側面から住宅購入をサポートします。

建物の構造や品質をチェックするのではなく、購入者の経済状況に合わせた最適な住宅選びをサポートするのが主な役割となります。年収や家族構成、将来のライフプランを総合的に考慮し、無理のない住宅購入計画を提案してくれるでしょう。

具体的には、「年収に対してどの程度の価格帯の物件が適正か」「変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか」「頭金はいくら準備すべきか」といった、住宅購入に関わるお金の相談に対応します。

住宅診断士とは

住宅診断士(ホームインスペクター)は、住宅の構造や設備の状態を専門的に調査・診断する資格です。建物の劣化状況、欠陥の有無、修繕が必要な箇所の特定など、物理的な建物の品質をチェックします。

中古住宅の購入前や新築住宅の完成時に、第三者の立場から客観的な診断を行い、購入者が安心して住宅を取得できるようサポートするのが主な業務となります。専門的な調査機器を使用し、目視では確認できない部分まで詳細に調査することが可能です。

「床の傾きや壁のひび割れは大丈夫か」「雨漏りの痕跡はないか」「給排水設備に問題はないか」といった、建物の物理的な状態に関する不安を解消してくれる専門家といえるでしょう。

他にも似た名前の資格や職業が存在するため注意!

住宅業界には、「住宅診断士」や「住宅購入診断士」以外にも、似た名称の資格や肩書きが多数存在します。「住宅アドバイザー」「住宅コンサルタント」「ホームアドバイザー」など、各団体が独自に認定している民間資格も多く、その内容や信頼性にはばらつきがあります。

これらのうちには国家資格ではないものや、資格要件が曖昧なものも含まれるため、サービスを依頼する際は慎重な判断が必要です。「その資格が何に基づいていて、どんな業務が可能なのか」「どの団体が発行しているのか」といった点を、しっかり確認することが大切になります。

特に住宅診断士についても、それ自体は国家資格ではなく、様々な背景を持つ方が名乗っている場合があります。住宅診断士に相談する際は、一級建築士や二級建築士などの国家資格を保有している有資格者かどうかを確認することをおすすめします。建築士資格を持つ住宅診断士であれば、より専門的で信頼性の高い診断を期待できるでしょう。

また、業界団体への所属状況や実績、口コミなども参考にし、信頼できる専門家を選ぶことが重要です。安易に肩書きだけで判断せず、実際の経験や専門知識を総合的に評価して依頼先を決定しましょう。

こんな不安があるなら「住宅診断士」への相談が正解です

住宅診断士への相談が適している具体的なケースをご紹介します。建物の物理的な状態に関する不安がある場合は、住宅診断士の専門的な調査が有効でしょう。

中古住宅を買う前に構造や劣化が心配

中古住宅は築年数の経過により、構造部分の劣化や設備の老朽化が進んでいる可能性があります。外見からは判断できない構造的な問題や、将来的に大規模な修繕が必要になる箇所の有無を事前に把握することが重要になります。

住宅診断士による専門的な調査により、購入後のリスクを最小限に抑えることができます。特に築15年以上の中古住宅では、屋根や外壁、給排水管などの主要部分の劣化状況を詳しく調査することで、購入後の予期しない修繕費用を回避できるでしょう。

調査結果によっては、売主との価格交渉や修繕要求の材料としても活用できます。問題が発見された場合でも、修繕費用を事前に把握できるため、総合的な購入判断が可能になるでしょう。

壁の中や床下など見えない部分が気になる

一般的な内見では確認できない壁の内部や床下、天井裏などの隠れた部分に不具合が潜んでいる可能性があります。シロアリ被害、配管の水漏れ、断熱材の状態など、住宅診断士の専門的な調査機器と技術により、見えない部分の問題も発見できます。

これらの確認により、入居後のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。特にシロアリ被害は構造部分に深刻な損傷を与える可能性があり、早期発見が重要です。また、給排水管の水漏れも建物の構造に影響を与えるリスクがあるため、事前の確認が欠かせません。

住宅診断士は専用のレーザー墨出し器や含水率測定器、赤外線カメラなどの機器を使用し、目視では確認できない箇所を含めた調査まで行うことができます。科学的根拠に基づいた診断により、安心して住宅購入を進められるでしょう。

契約前に欠陥がないか第三者にチェックしてほしい

売主や不動産会社とは利害関係のない第三者の立場から、客観的な建物評価を受けたいという方に最適です。住宅診断士は中立的な立場で建物の状態を評価し、発見された問題点については修繕の必要性や費用の目安もアドバイスが可能です。

契約前にこうした情報を得ることで、より安心して購入決断を行うことができます。不動産会社の説明だけでは不安が残る場合や、高額な物件を購入する際の最終確認として活用されることが多いでしょう。

第三者機関による客観的な評価は、購入後のトラブル回避だけでなく、適正価格での購入にも役立ちます。建物の状態を正確に把握することで、物件の真の価値を見極めることができるでしょう。

安心して購入するための判断材料が欲しい

住宅購入は人生最大の買い物の一つです。感情的な判断だけでなく、客観的なデータに基づいた判断材料が欲しいという方におすすめになります。

住宅診断士による詳細な調査報告書は、建物の現状を正確に把握するための重要な資料となり、購入の可否や価格交渉の材料としても参考にされる方も多いです。家族会議での検討材料としても有効でしょう。

まとめ

住宅購入診断士と住宅診断士は、名称は似ていますが専門分野と役割が大きく異なります。住宅購入診断士は資金計画や住宅ローン選択などお金に関する相談の専門家で、住宅診断士は建物の構造や設備状態をチェックする建物診断の専門家です。

住宅業界には類似する名称の資格が多数存在するため、依頼する際は資格の根拠や業務内容を十分に確認することが重要になります。特に住宅診断士については、一級建築士や二級建築士などの国家資格を保有している有資格者を選ぶことで、より信頼性の高いサービスを受けられるでしょう。

中古住宅の購入で建物の状態が心配な場合、見えない部分の不具合が気になる場合、第三者による客観的な評価が欲しい場合は住宅診断士への相談が適しています。一方、購入予算や住宅ローンに関する相談は住宅購入診断士が適しているでしょう。

適切な専門家を選ぶことで、住宅購入時の不安を解消し、より安心して理想の住まいを手に入れることができます。それぞれの専門性を理解し、ご自身の状況や相談内容に最適な専門家を選択することが、成功する住宅購入の鍵となるでしょう。

もし住宅診断について迷われた際は、豊富な実績を持つさくら事務所にご相談いただくのも一つの選択肢です。

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ホームインスペクター 友田 雄俊
監修者

さくら事務所 執行役員CCO

友田 雄俊

大手リフォーム会社にて、木造戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。
外壁塗装などのメンテナンス工事から、フルリノベーションまで幅広く手掛ける。
その後、株式会社さくら事務所に参画。

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