「木造住宅の耐用年数ってなに?」
「木造住宅は長く住み続けられるのだろうか?」
耐用年数と寿命の違いが把握できずに、混乱している方もいるでしょう。
なお、木造住宅の寿命はメンテナンス次第で延ばすことが可能です。しかし、その事実を知らないまま過ごしていると、後悔したり早いタイミングでの建て替えが必要になったりします。
そこで本記事では、木造住宅における耐用年数の概要や寿命との関係性を解説します。寿命を延ばす方法や建て替えの判断基準についても解説しているので、併せて参考にしてください。
木造住宅の耐用年数は3種類

建物を評価する際に重要視される耐用年数ですが、まずは「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」の定義について、詳しくみていきましょう。
法定耐用年数
一般にいう耐用年数は、厳密には「法定耐用年数」といいます。これは、課税の公平性を担保するための税法上の指標です。
法定耐用年数は、建物の構造・用途・規模に応じた期間が規定されており、木造住宅は新築から22年となっています。
固定資産である建物も、時間の経過とともに価値が失われる「減価償却資産」とみなされ、法定耐用年数に基づく減価償却費、すなわち資産の価値に応じて、課税額が算定されます。 これまでは、住宅ローンの担保価値を評価する際には、法定耐用年数が考慮されていましたが、2022年の税制改正により”事実上撤廃”となりました(*1)。
このほか、耐用年数に達するまでは、所有した建物を賃貸する場合に減価償却資産として経費に計上することができます。
(*1)長嶋修「住宅ローン控除「築年数緩和」の重すぎるリスク――築年数要件は事実上撤廃、中古の利点と問題点」東洋経済ONLINE(2022/2/18)
物理的耐用年数
物理的耐用年数は、経年劣化をする建物の主要構造材(柱や梁など)が、本来の性能を維持できる期間です。建物の寿命に近い意味合いを持つといえるでしょう。
木造住宅の劣化を促す要因には、施工技術の精度、木材の品質、雨水・湿度・大気中の汚染物質・害虫といった気候や環境のほか、メンテナンスの状況などがあげられます。このため、立地や施工の条件が異なる建物に、物理的耐用年数という一律の指標を設定するには限界があり、あくまでも目安として捉える指標になります。
経済的耐用年数
経済的耐用年数は、不動産市場で建物の資産価値を維持できる期間です。新築されてからこの期間内に売買が成立すれば、建物の価格が不動産評価額に反映されやすくなります。
不動産鑑定では、木造住宅の経済的耐用年数を、法定耐用年数に基づき20~25年程度とし、築25年を超えると評価額はゼロと査定するのが慣例化しています。この背景には、築20年を超えた木造住宅は担保価値が失われ、住宅ローン控除や登録免許税軽減の適用外になることがありました。
しかし、経済的耐用年数は、立地や間取り、デザイン、仕様、メンテナンスの状況なども含む指標であるため、税法上の法定耐用年数をベースにした指標でありながら、市場の需要に応じて変動する要素をもちあわせる点に特徴があるともいえます。
2022年の税制改正では、法定耐用年数に関わらず、中古住宅の住宅ローン控除の適用範囲が緩和されましたが、これにともなって経済的耐用年数にも影響が及ぶものとみられます。
木造住宅の耐用年数=寿命ではない
木造住宅の耐用年数と寿命はイコールではありません。ここからは木造住宅の寿命について、以下2つの観点から解説します。
・【最新情報】木造住宅の平均寿命は69年
・そもそも「何年住めるか」は人が決めるもの
順に見ていきましょう。
【最新情報】木造住宅の平均寿命は約69年
早稲田大学の小松幸夫先生の建物の寿命に関する最新の調査結果によると、2021年に算出されたあらゆる木造住宅等の平均寿命は68.81年です。
参照:日本建築学会計画系論文集 第90巻 第836号 「2021年における建物寿命の推計 小松幸夫、堤洋樹」
この調査では寿命の定義を「建物が竣工してから解体されるまでの期間」としているため、住める状態で解体された建物も含まれています。
また、築年数やメンテナンスの程度もさまざまなため、最近の建物や適切にメンテナンスされている建物であれば、より平均寿命は長い可能性が高いです。
同調査は1997年・2006年・2011年にも実施されており、それぞれの結果は以下の表のとおりでした。
|
調査年 |
1997年 |
2006年 |
2011年 |
|
木造住宅の平均寿命 |
43.53年 |
54.00年 |
65.03年 |
表を見てわかる通り、木造住宅の平均寿命は増加傾向です。
その要因としては、作って壊すのが主流だった時代から古いものを活かす時代へと社会的な風潮が変わっていることが考えられます。
また、建設技術や品質管理の向上により、建物のクオリティが上がっていることも大きな要因と言えるでしょう。
そもそも「何年住めるか」は人が決めるもの
「住み続けられる年数」は、日常のメンテナンスや修繕によって変わってきます。
一般的な在来工法による木造の場合は、住宅の構造躯体である柱さえも入れ替えられるため、仕様や工法によっては100年以上もたせることも可能です。
そのため、現実的に修繕できる範囲での劣化や不具合であること、修繕費用を用意し続けられることが前提にはなりますが、「何年住めるか」は「どこまで修繕して住み続けたいか」が大きなポイントになると言えるでしょう。
しかし寿命を短くするのも「その住宅に住む(管理する)人」です。仮に耐久性の高い木造住宅を購入したとしても、何もメンテナンスしていなければトラブルが発生しやすく寿命を縮めてしまいます。
木造住宅の寿命については下記動画でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
木造住宅を長持ちさせるメンテナンス方法と費用

木造住宅を長持ちさせるためには点検やリフォームなどのメンテナンスが非常に重要です。ここでは実際にどのようにメンテナンスをしていけばよいのか、以下3つに分けて紹介します。
・メンテナンスの頻度
・具体的なメンテナンスの内容と年数
・メンテナンスの費用の目安
順に見ていきましょう。
メンテナンスの頻度
建物は劣化状況に応じて、部位ごとにメンテナンスをすることになりますが、一般的には15年ごとのサイクルが目安とされています。
つまり、15年・30年・45年・60年のタイミングで、必要なメンテナンスを計画的に実施することが重要になり、60年が経過する頃には、大規模なリフォームがともなうメンテナンスが必要になる可能性が高くなります。
そのときには、建て替えるのか、あるいはリフォームするのかという判断を迫られるタイミングになるでしょう。
具体的なメンテナンスの内容と年数
木造住宅で必要な具体的なメンテナンス(リフォーム)内容と年数の目安は以下の表のとおりです。
|
メンテナンス内容 |
修繕の目安(年数) |
|
外壁・屋根の塗装 |
15 |
|
水回りの設備交換 |
15 |
|
ベランダの防水 |
15 |
|
給排水管の入れ替え |
30 |
|
クロスの張替え |
30 |
|
建具の張替え |
30 |
|
地盤や土台、基礎の補修 |
45 |
上記の表は、あくまでも15年単位を目安に部位ごとのメンテナンス内容を想定したものです。実際には、仕様や環境により修繕の目安にはばらつきがあります。
現在の住宅性能であれば、69年程度ならリフォームしながら住み続けられます。とはいえ、メンテナンスを継続して実施することは必要で、そこにコストをかけることが長寿命化するポイントになるでしょう。
メンテナンス費用の目安
前項で紹介したメンテナンスをしっかり行った場合の費用について、さくら事務所が独自で算出した結果、30年もたせるのには1,000万円前後、50年だと1,100~1,300万円前後が相場でした。
当然、住宅の大きさや劣化状況などによりメンテナンス費用は異なりますが、定期的なメンテナンスを怠り雨漏りなどの問題が生じてしまうと、上記の金額をはるかに超える修繕費がかかります。
極論ですが、住宅が寿命を迎えるのは修繕費が尽きたときです。なるべく費用をおさえながら住宅を長く維持していくためには、定期的なメンテナンスが重要になります。
木造住宅の寿命を延ばすコツ

「雨漏り」・「水漏れ」に注意する
木造住宅の寿命を延ばすためには、雨漏りや水漏れには細心の注意が必要です。木造住宅にとって水分は大敵で、雨漏りや水漏れによって水分が付着すると、カビが発生したり木材が腐朽したりします。
とくに建物にとって重要な構造部分の木材が腐食している状態は、強度に影響を及ぼし、耐久性が著しく低下する可能性が高まるため危険です。さらに雨漏りや水漏れで湿度の高い状態が続くとシロアリや害虫が発生し、建物に甚大な被害が生じる恐れも高まります。そのため、木造住宅に長く住み続けたい場合は、雨漏りや水漏れに細心の注意を払い、定期的にメンテナンスしましょう。
瑕疵担保責任の期限が切れる前に点検する
また、雨漏りについてもうひとつ重要なポイントとなるのが、瑕疵担保責任の期限が切れる前の9年目のチェックです。
瑕疵担保責任とは、欠陥や不具合が見つかった場合に売主が負わなければならない責任のことで、法律により引き渡しから10年間を保証期間として定められています。
つまり瑕疵担保責任の及ぶタイミングで雨漏りが発見できれば、売主の責任で修理してもらえるというわけです。
ただし、10年以内に水染みの跡が見つかっても、継続的に雨漏りが生じている状態が明らかでないと補修対応してもらえない場合もあるため、第三者による調査や経過観察などの余裕をもって点検期間を準備しておくことをおすすめします。
ホームインスペクションを活用する
ホームインスペクションとは、雨漏り・シロアリ被害・建物の傾きといった劣化状況や新築時の施工不良などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが診断するサービスです。
新築住宅の工事中からホームインスペクションを入れて、プロの専門家にチェックしてもらうこともできます。
実は2019~2020年にかけて、大手ハウスメーカーや地元の工務店の新築工事を幅広く集計・分析した結果、おおよそ8割近くで不具合が発生していることがわかりました。
中古住宅の場合は、初期の不良に加え経年劣化も生じているため、見えない場所で深刻な状況に陥っていることも少なくありません。
ホームインスペクションを入れると、この先どのようなメンテナンスをすれば何年程もつのか、メンテナンスにいくらかかるか、までアドバイスしてもらえます。
住宅を長持ちさせたい方は、ホームインスペクションを積極的に活用していきましょう。
木造住宅の建て替え時期の判断基準

木造住宅は適切なメンテナンスを行っていると寿命を延ばせますが、状況に応じて建て替え時期を判断する必要があります。
建て替え時期は、木造住宅の状態や修繕コストを考慮した上で判断しましょう。たとえば、構造部分に大きなトラブルが見られない場合は、リフォームを選択したほうがコストを抑えられる可能性が高いです。気になる部分だけをリフォームすると、費用を抑えながら快適な暮らしを取り戻せます。
反対に「建物の築年代が1981年5月以前である場合で、なおかつ耐震基準に適合していない場合」や「構造部分に劣化が見られるとき」、「耐震性だけでなく建築性能を現代レベルと同等にしたい場合」は、建て替えも検討しましょう。
ただし接道条件などの法的な制約があり、再建築できない場所も稀にあります。また、建築計画やリフォーム内容によっては建て替えの方が合理的な場合もありますが、建て替えは耐震補強を含む大規模なリフォームよりもコストが高くなるケースが多いです。
そのため耐震性・費用対効果・法的な制限などを踏まえた総合的な判断が必要になります。
リフォームするのか建て替えるのか、悩んでいる場合には、ホームインスペクションなどで専門家に構造躯体の劣化具合などを確認いただいたうえで、判断するのが理想といえるでしょう。
新築でも8割に欠陥!ホームインスペクションで長く住める木造住宅に

木造住宅の耐用年数と寿命は別物です。寿命を延ばすためには、初期の不良を最小限におさえたうえで適切にメンテナンスしていくことが大切です。
そして「そもそも新築だから施工ミスはゼロ」といった事実はありません。ホームインスペクションで専門家に検査してもらうことが大切です。
私達さくら事務所が提供している新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスでは、建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が工事段階から複数回の検査を行います。
中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)では、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などの改修アドバイスまでサービスに含まれます。物件価格の約0.2%の費用追加でリスクヘッジができるため、ぜひご利用を検討ください。
下記動画でも木造住宅の寿命について詳しく解説しています。
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