さくら事務所では、昨今、住宅の湿気やカビに関するご相談が急増しています。
2024年9月は昨年同月に比べて、湿気のご相談が3.5倍、カビのご相談が2.5倍にも増加していました。築3年前後の戸建てにお住まいの方からの相談が多いため、新しい住宅だからといって安心できない状況です。
さらに結露やカビは、目に見えるところだけで発生しているわけではないことにも注意しなければいけません。
そこで本記事では、結露やカビが発生しているかチェックする方法や対策、カビの掃除方法について解説します。
カビが発生するメカニズムについてもわかりやすく紹介するため、今現在お悩み中の方はもちろん、未然に防ぎたい方もぜひ参考にしてください。
湿気(結露)でカビが発生するメカニズムとは
まずは湿気(結露)でカビが発生するメカニズムについて解説いたします。
論点を整理すると、ポイントとなるのは以下の2点です。
- 結露は「温度差」と「湿度(湿気)」で起こる環境
- カビが好む環境のひとつに「結露」がある
これらのポイントについて詳しく見ていきましょう。
結露は「温度差」と「湿度(湿気)」で起こる
結露が起こるのは2つの要素が関係しています。
- 建物内外の温度差が大きい
- 室内の湿度が高い
空気中には、ある一定量の水蒸気を含むことができ、限界となる水蒸気量を「飽和水蒸気量」といいます。
「飽和水蒸気量」は温度によって変化し、温度が高いほど量が多く、また温度が低いほど量が少なくなることが特徴です。
そのため多くの水蒸気を含んだ空気が急激に冷やされると、蓄えられる限界量を超え押し出されるように水滴となって現れます。
この空気中の水蒸気が、温度の低下によって水滴となって現れる現象が「結露」です。
暖房された室内で湿度が高まると、空気は多くの水蒸気を含んだ状態になります。しかし窓周りのような外気温の影響を受けて温度が急激に下がる場所は飽和水蒸気量が少なくなるため、水蒸気が限界量に達して結露が生じてしまうのです。
温度差が大きいほど水滴の量も増えることから、建物内外の温度差が大きくなる冬に結露が生じやすくなるというわけです。
カビが好む環境のひとつに「結露」がある
カビ菌はあらゆる場所に潜んでいますが、繁殖しやすい環境には4つの要素が条件となります。
- 栄養分がある
- 酸素がある
- 適度な温度
- 水分がある
以上4つの要素が揃うことでカビは繁殖します。
したがって「栄養分」「酸素」「温度」「水分」のうち、いずれかを排除することがカビ対策として有効です。
ただし、これら要素のうちコントロールすることが難しいものがあります。
コントロールが難しいものとは、「栄養分」「酸素」「温度」です。
カビは、ほこりや食べかす、木材などあらゆる物質を栄養分にするため完全には排除できません。
酸素は空気中に存在するものです。
またカビが繁殖しやすい温度は、人間が生活を送るうえで適温でもあるため、この要素を排除することも難しいでしょう。
唯一コントロールが可能なものは「水分」です。その「水分」を供給する原因のひとつが「結露」のため、
「結露」を防止することが、カビ対策として効果が高いといえます。
結露は2種類ある
住宅で起こる結露は2つの種類があります。
- 表面結露
- 内部結露
表面結露とは窓周辺部など表面に現れる結露で、内部結露とは視覚的に確認できない壁の内側で起こる結露です。
表面結露は、放置するとカビの繁殖につながり、ハウスダストアレルギーの原因になるなど健康被害を引き起こすことがあります。
内部結露は、放置するとカビの繁殖はもちろん、断熱材の効果を損ねたり、構造を腐朽させたりするなど、ときには建物に大きなダメージを与える現象です。
結露は目に見える範囲だけでなく見えない部分にまで影響を与えるため、知らないうちに症状が進行していることもあります。
カビを発見したら、表面結露だけでなく内部結露が起こっている可能性もあるのです。
内部結露の原因は多岐にわたりますが、内部結露を避けるために大切なのは、建物本来の性能仕様(断熱層・気密層・通気層に配慮した計画になっている)とそれが適切に施工されていることになります。
まずは物件の状態を確認するためにも、ホームインスペクションや第三者の検査が非常に重要です。
夏も注意!湿気とカビに関する相談が急増している理由

結露やカビの相談が急増している理由は、高気密・高断熱の住宅性能や昨今の猛暑・ライフスタイルの変化(在宅ワークの増加など)が関係していると考えられます。
2025年4月に新築住宅の省エネ基準適合が義務化されたこともあり、これまでよりも気密性・断熱性の高い住宅が求められるようになりました。高気密・高断熱な住宅は、どうしても壁の中に湿気がたまりやすい特徴があります。
また、昨今の猛暑や「暑いときは我慢せずエアコンを活用しよう」という考え方が広まったことにより、夏でも建物内外の気温差が大きくなったことで、壁の中や床下で結露が生じやすくなっているのです。
とくに基礎が出来上がって間もない築浅の住宅は、湿気を放出し続けているため、床下の湿度が高まりやすくなっています。床下に水たまりができるほど深刻な結露が生じている住宅もあるため注意が必要です。
夏の結露については、下記動画で分かりやすく紹介しているため参考にしてください。
結露やカビが発生しているかチェックする方法

結露やカビのチェックに大切なのは、以下のように五感を働かせることです。
・目に見えるカビがないか
・水滴が落ちる音が聞こえないか
・手で触って濡れていないか
・かび臭くないか
クローゼットや物入れの隅など、空気の通りが悪い場所はカビが生えやすいです。隅に置いてあるものを一旦出してチェックしてみてください。
また床下や屋根裏など普段目にしない場所は、定期的に点検口から覗いて確認します。天井の点検口が見当たらない場合は、押し入れや物入れなどの天井部分にないか見てみてください。
床下の点検口は収納になっていることもあるため、その場合は収納を取り外して点検しましょう。臭いや音など違和感があれば、専門家に調査してもらうことをおすすめします。
効果的な結露・カビ対策は「換気」と「窓などの断熱強化」
結露やカビ対策として効果的なのが「換気」と「窓などの断熱強化」です。
どちらも結露が起こる要素を排除することを目的としています。
換気
換気は結露が起こる要素である「室内の湿度が高い」状況を排除することを目的とする方法です。
換気により、暖房で暖められた多くの水蒸気を含んだ空気を外部に排出することで、室内の湿度を下げます。
ただし換気は、「熱交換器」がついていないタイプだと外部温度の影響を受けるため、暖房効率は下がります。
したがって、ストーブなど燃焼系暖房機器の使用や洗濯物の室内干しを控えることなど、できるだけ湿度を高めないようにすることも必要になるでしょう。
カビが好むのは湿度70%以上の環境です。温湿度計で部屋の湿度を定期的にチェックするのもよいでしょう。
【夏の換気は要注意!】
夏場の換気はタイミングに気を付けてください。気温が高い夏の空気は水蒸気を多く含むため湿度が上がりやすくなっています。換気により湿った空気を室内に取り込んでしまうと、かえって結露やカビが発生しやすい状況を作ってしまうのです。夏場は、夜や明け方など気温の低いタイミングを見計らいましょう。また、空調換気設備を活用し除湿機能や温度設定を工夫することも有効です。
窓などの断熱強化
窓の断熱強化は、結露が起こる要素「建物内外の温度差が大きい」状況を排除することを目的とする方法です。
建物の内外で熱の移動を抑えることで、室内の空気温度の低下を防げます。
窓は建物で最も熱の移動がある場所です。
窓を断熱強化することが最も結露対策として効果が期待できます。
窓の断熱強化に効果的なのは、インナーサッシ(内窓)の設置や複層ガラス窓との入れ替え、アルミではなく樹脂性のサッシを利用するなどです。
窓の断熱補強工事は、リフォーム範囲に応じて国や自治体の補助金やサポートを受けられることも多いため、結露に悩んでいるのであれば検討してください。
また窓以外にも断熱欠損や施工不良など温熱環境のウィークポイントがあれば、断熱補強することをおすすめします。本来あるべき断熱材が入っていない箇所は、窓と同じくらい温度差があり、結露の原因になっている可能性があるためです。
ホームインスペクションで断熱欠損などの施工不良を発見されるケースも多いため、ぜひ活用しましょう。
結露やカビを防ぐための生活上の注意点

結露やカビを防ぐための生活上の注意点は以下のとおりです。
・お風呂はドアを閉めて換気扇をまわす
・24時間換気を定期的に掃除する
・エアコンは除湿機能を有効活用する
・家具は壁から少し離して配置する
意外に多いのが24時間換気のフィルターの目詰まりです。目詰まりを起こしていると正常に稼働しないため、定期的に掃除してください。
エアコンの除湿機能を使えば温度設定を低くしすぎなくても快適にすごせます。状況に合わせて使い分けましょう。
家具を置くときに壁から少し離すと空気の通り道ができてカビが発生しにくいです。背の高い家具は転倒防止対策も忘れないようにしてください。
下記動画でも手軽にできるカビ対策を紹介しています。
カビの掃除方法

カビの発生は、結露対策をすることで一定の効果を発揮します。
では発生してしまったカビはどのように対処すればよいのでしょうか?
ここからは、カビが発生した場合の部位ごとの掃除方法についてご紹介したいと思います。
- 窓のカビ掃除
- カーテンのカビ掃除
- 壁紙のカビ掃除
- フローリングのカビ掃除
順に見ていきましょう。
窓のカビ掃除
カビがまだ初期段階であれば中性洗剤を水で薄めてふき取ることで落とせます。
ふき取りが完了したら、アルコールを吹き付けて殺菌し再び繁殖するのを防止しましょう。
ゴムの部分など落ちにくい場合は、専用のカビ取り剤か漂白剤を使います。
その場合は、換気をすること、マスクやゴム手袋の着用をすることなど、安全への配慮も重要です。
カーテンのカビ掃除
結露は窓付近で起こりやすいため、カーテンにもカビが発生することがあります。
カーテンにカビが発生した場合は、漂白剤を使ってぬるま湯で洗濯を行います。
しっかり乾燥させたら、アルコールを吹き付けて殺菌し再び繁殖するのを防止しましょう。
また日常からこまめにアルコールを吹き付けて除菌しておくと、カビ対策として効果的です。
壁紙のカビ掃除
壁紙のカビは、初期段階であればアルコールを吹き付けてふき取ることで落とせますが、それでも落ちない場合は中性洗剤を水で薄めて軽くこすります。
激しくこすると壁紙の損傷につながるため、力加減には注意して行いましょう。
ただし壁紙のカビで症状が著しい場合は、発生原因を究明する必要があります。
というのも雨漏りや内部結露が原因であれば、カビだけでなく構造を傷める可能性もあるためです。
場合によっては、専門家による調査を検討することが必要かもしれません。
フローリングのカビ掃除
フローリングの場合は一般的にワックスを塗っているため、剥がさないよう中性洗剤を水で薄めてふき取るようにしましょう。
それで落ちない場合はワックスを剥がしてカビを除去する必要があります。
その場合、色落ちなどフローリングを傷める可能性もあるため、プロの業者に依頼するほうが賢明かもしれません。
またワックスを塗りなおす場合は、一旦既存のワックスを全部剥離する、あるいはピースに限定して剥離したうえで実施することがポイントです。
中途半端に剥がれた状態で塗りなおすと、ムラになって目立つためしっかりと事前準備を行いましょう。
湿気対策で結露やカビに悩まない快適な住環境を手に入れよう
カビが発生する原因はいくつかありますが、そのなかで唯一コントロールできるのが 「水分(結露)」です。湿気対策をして結露を起こさないようにすることが非常に重要になります。
高断熱・高気密な住宅が増えたことで、夏でも屋根裏や床下など見えない場所で結露が生じている事例も少なくありません。とくに内部結露は、断熱材や構造材を腐朽させるなど住宅そのものの耐震性に大きな影響を与えます。
早期発見して対処できるように、日常的に換気や掃除に加え、定期的に点検口から屋根裏や床下を覗いてチェックすることを心がけましょう。
さくら事務所では、住まいの専門家として日々の住まいと暮らしのお悩み相談を受け付けています。「ぽたぽた音がしている」「床下がかび臭い」など、違和感があればお気軽にご相談ください。
また、建物に精通した専門家が住宅のコンディションを総合的にチェックする自宅一戸建てホームインスペクションも行っています。客観的に住宅の状態を確認でき、適切な修繕やリフォーム計画を立てるためにも役立つため、ぜひご活用ください。

























