中古住宅(築30年)は後悔する?プロの住宅診断士がメリット・デメリットを解説

  • Update: 2022-11-21
中古住宅(築30年)は後悔する?プロの住宅診断士がメリット・デメリットを解説

築30年の中古住宅は新築住宅よりも物件価格が安く購入できるのが大きなメリットです。とはいえ新築にはないデメリットやリスクが存在する点は否定できません。

ただ中古住宅のデメリットやリスクはポイントを抑えておけば解消できます。

そこで今回はプロの住宅診断士が築30年の中古住宅を購入する際のメリット・デメリットを解説します。

ぜひ最後までお読みください。

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築30年の中古住宅を購入するメリット

築30年の中古住宅を購入する際に得られるメリットは以下の3点です。

  • 物件価格が安く、新築より費用を抑えられる
  • 事前に建物を見て購入検討できる
  • 人気エリアの物件を見つけやすい

それぞれ詳しく見てみましょう。

物件価格が安く、新築より費用を抑えられる

一般的に中古住宅の価値は時間と共に下がって行きます。 国土交通省のレポートによると中古住宅市場では全ての住宅の価値が一定の割合で下がって行き、おおむね20~25年で価値がゼロになるとされています。

引用)国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に係る指針(案)のポイント

そのため築30年の中古住宅は、ほぼ土地の価格のみの状態で販売されているケースがほとんどです。新築と比較しても築30年の中古住宅の方がお値打ちに購入できることは明白です。

中には「築年数が古いとリフォーム費用が高額になるのでは」と感じている方がいるかもしれません。ですが実際はリフォーム費用を含めても新築よりお値打ちな価格で購入が可能です。

リフォーム費用の推計は中古住宅の場合、30年間におよそ1,000万円かかると言われています。

引用)日本建築学会論文集「戸建住宅のライフサイクルコストの推計

もちろん建物が適切に維持、管理されていれば上記費用は下がっていきます。

リフォーム工事を前提に購入したとしても、新築と比較すると大幅に費用を抑えられるでしょう。

また計画資金に余裕があれば、物件の修繕以外のリフォーム工事も行えるので、自分好みの家に作り替えることも十分可能です。

事前に建物を見て購入検討できる

中古住宅に共通して言えることですが、実物を見て購入ができる点は新築住宅にはない大きなメリットです。

たとえば中古住宅の場合、日当たりや風通しをあなたの肌や目で体感できます。もちろん設計段階でこれらを計算することも可能ですが、自身で体感した方が、より具体的に住んだ際のイメージがしやすいでしょう。

人気エリアの物件を見つけやすい

新築住宅の場合、はじめに土地を見つけなければ話が進みません。建物を建てる土地が決まらなければ見積もりや間取りの提案ができないためです。

内閣府の調査によると新築住宅を購入する方のおよそ65%が土地を新たに購入して建築しています。このように多くの方が家を建てようと土地を探しているため、イメージしている土地が見つからず悩んでいる方も少なからずいるのではないでしょうか。

土地が見つからない主な原因は、利便性の高いエリアには既に建物が建っているためです。

それに対して築30年の中古住宅の場合は、開発が完了している住宅街などに立地している場合があります。そのため利便性が高い、人気なエリアの物件が見つかる可能性は新築住宅の土地を探す場合より高くなります。

築30年の中古住宅を購入するデメリット

中古住宅購入を成功させるためには、デメリットについても把握しておく必要があります。ここからは、築30年の中古住宅を購入する際のデメリットについて見てみましょう。

具体的なデメリットは以下の3点です。

  • 想定外の修繕が発生する可能性がある
  • 住宅ローンの審査が厳しくなる可能性がある
  • 設備が古く現在の生活と合わない

それぞれ詳細を解説します。

想定外の修繕が発生する可能性がある

築古物件では、見た目からは分からない問題が建物に潜んでいる可能性が高くなります。

なぜならば、適切に建物を維持修繕していないケースがあるためです。

建物は30年の間に屋根・外壁メンテナンス、シロアリ対策などを実施する必要があります。

これらを実施していなければ、建物内への雨水の侵入やシロアリ被害が進行している恐れがあります。被害の進行により床や柱などの構造体が腐朽し、建物が傾いてしまうケースもあるでしょう。構造体が腐朽してしまうと耐震性も著しく低下するため、早急な対応が求められます。

千葉大学大学院小林秀樹研究室の草処章一郎氏とさくら事務所の共同研究では、築30年の中古住宅ではなんと「約半数」もの建物が傾いていることがわかりました。

参考コラム:築30年中古戸建の約半数で傾きが!新築でも20軒に1軒【千葉大共同研究】

このように多くの築古物件では目に見えないリスクが隠れている可能性が高いので、購入の際は建物の劣化状況をしっかり把握しておくことが重要です。

住宅ローンの審査が厳しくなる可能性がある

住宅ローンを借り入れる際は返済不能となった際に弁済できる「担保」が必要です。

新築住宅の場合は建物を担保として借り入れるのですが、先にも述べたように築30年の中古住宅は資産価値がゼロに近い状態です。

建物を担保として利用できないことで、借入額が低くなったり、借り入れを断られたりと、審査が厳しくなる可能性は十分考えられるでしょう。

設備が古く現在の生活と合わない

築30年も経っていると設備が古い点は避けられません。

たとえばお風呂はユニットバスではなくタイル貼りの在来浴室、キッチンは対面でなく壁付けタイプなどが多くみられます。

また開口部の断熱性能も現在の住宅と比べて低いため、暑さ・寒さが気になることもあるでしょう。

築30年の中古住宅で快適に住みたいのであれば、ある程度のリフォームは必要でしょう。

築30年の中古住宅を購入するときの注意点やポイント

築30年の中古住宅を購入する際には、メリット・デメリットだけではなく注意すべきポイントも存在します。特に注意が必要なポイントは以下の4点です。

  • ホームインスペクションの利用
  • 契約不適合責任の有無や期間の確認
  • 設備の状態を確認
  • 耐震リフォームを視野に入れる

それぞれ詳しく解説します。

ホームインスペクション利用は必須

築古物件を購入する際はホームインスペクションを受けて建物の状況を細部まで把握することが重要です。

ホームインスペクションとは、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどの劣化状況や、新築時の施工不良などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが診断するサービスです。

中古住宅の取引が活発に行われているアメリカでは買主の約8割がホームインスペクションを依頼しているというデータがあります。

過去に、さくら事務所と千葉大学で行った住宅欠陥における研究では、新築時の段階でおよそ30~40%補修検討すべき箇所が存在(築10年以上の物件は約60%)していたことがわかっています。

参考コラム:【中古住宅】契約後の注意点とは?これをやらなきゃ自己責任!

築古物件は外観を見ただけでは分からないような劣化が存在する可能性もあり、ホームインスペクションの実施は購入時のリスクヘッジにつながります。

さくら事務所は以下の3点が特徴の住宅診断専門業者です。

  • 業界歴20年以上のプロが在籍
  • 年間3,000件、累計58,000件の圧倒的な依頼実績
  • 顧客満足度98%

ホームインスペクションは物件価格の0.2%で受けられる診断です。

ご興味のある方は、以下よりお問合せください。

契約不適合責任の有無や期間を確認する

住宅の売却には、売却する住宅が契約の内容に適合しないときに売り主が買い主に対して責任を負う「契約不適合責任」が備わっています。しかし、築30年以上になる住宅の売買ではこの契約不適合責任を免責にするケースがあるため注意しなくてはいけません。

購入してから「契約不適合責任が免責されている物件だった…」となってしまわないためにも、事前に契約不適合責任の有無と期間を確認しておく必要があります。

設備の状態を内覧時にしっかり確認する

内覧した建物を購入する際、リフォームが必要な設備は何かを事前に確認しておくと、住んだ後に「こんなはずではなかった」と後悔するリスクは減るでしょう。

特に確認すべきポイントは以下の点です。

  • 電気設備
  • ガス設備
  • 水回り設備

電気設備とガス設備は劣化したものを使用し続けると、人命に関わる重大な事故を引き起こす可能性があります。

  • 使用できないコンセント・ガスコック
  • 製造日の古い分電盤や給湯器

などが設置されている場合は、交換を視野に入れましょう。

また古い水回り設備は、水漏れがないかの確認が大切です。

たとえば以下のようなポイントを見ておくと良いでしょう。

  • 浴室壁タイルのひび割れ
  • キッチン収納内にシミがあるかどうか
  • トイレの便器と床の境目にシミがあるかどうか

これらのポイントに該当する場合は水回り設備の不具合だけでなく、壁や床の中が劣化している可能性も考えられます。先にご紹介したホームインスペクションの利用を検討すると良いでしょう。

耐震リフォームを視野に入れる

これまで大震災を経て建物の耐震基準は幾度も改正されてきました。

耐震基準の具体的な変遷は以下の表の通りです。

基準名 内容 施行年
旧耐震基準 震度5でほとんど損傷しない 新耐震基準以前
新耐震基準 震度6強から7の地震でも倒壊しない 1981年
2000年基準 木造建築を対象とした新基準 2000年

参考)政府広報オンライン 「自宅や周辺にある建物は大丈夫?住宅・建築物の耐震化のススメ」、林野庁「木造住宅の耐震性について」それぞれを元に筆者作成

つまり2022年現在、築30年の中古住宅は新耐震基準に該当しているのです。きちんと施工され、建物であれば耐震等級1相当の性能を備えていると言われています。ですが経年劣化などにより、耐震性能が衰えてしまっている場合も十分考えられるでしょう。

また木造住宅は2000年基準以降、倒壊率の大幅な減少が平成28年に発生した熊本地震における被害データから読み取れます。

引用)林野庁「木造住宅の耐震性について

以上のことから築30年の中古住宅は耐震リフォームを視野に入れた購入をオススメします。

ちなみに耐震費用は建物の状況次第ですが150~500万円が相場です。耐震診断の結果でおおよその耐震リフォーム費は把握できます。ただし自治体によっては耐震リフォームに関する助成金制度などがあるため、事前にチェックしましょう。

リフォームは優先順位をつけて行う

冒頭でも紹介した通り、一般的な住宅は新築から30年の間におよそ1,000万円もの修繕費が必要とされています。建物の維持管理状況にもよりますが、築30年の中古住宅を購入して快適に住むためには修繕を前提で考えておきましょう。

修繕費を確保しつつあなたのやりたい事の順位を決めておけば、きっと理想の住まいが実現できるはずです。

築30年の中古住宅はRC造やS造がおすすめ

住宅の構造は大きく分けて以下の3種類が存在します。

  • 木造
  • 鉄骨造(S造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)

総務省のデータによると住宅における構造別の耐用年数は以下の通りです。

構造 耐用年数
木造 22年
鉄骨造 34年
鉄筋コンクリート造 47年

参考)総務省「建物の耐用年数表」を元に筆者作成

耐用年数とは対象資産を使用できる期間のことです。もちろん維持管理の状況によって上記年数から増減するケースがありますのであくまで目安となります。

ただし、木造に関しては築30年の場合、耐用年数を大幅にオーバーしていることになります。他の2種類と比べても劣化が進んでいる可能性が高いです。

購入後、長い期間住むことを想定しているならばS造やRC造の建物を選ぶと良いでしょう。

まとめ

築30年の中古住宅は新築住宅よりもお値打ちに購入ができ、人気のエリアの物件が見つかりやすいなどのメリットがあります。一方、見た目では分からない劣化など、デメリットも見逃せません。

築30年の中古住宅で快適な暮らしを実現するためには以下の3点が重要です。

  • 長く住める構造を選ぶ
  • ホームインスペクションでプロに建物の劣化状況を診断してもらう
  • 診断結果を元に修繕費用を想定し、優先順位を決めてリフォームを行う

今回ご紹介したポイントを参考に理想の住まいを見つけてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。