【要チェック】不動産売却のトラブル回避を事例から学ぼう!トラブルが発生した際の相談先も合わせて解説

  • Update:
【要チェック】不動産売却のトラブル回避を事例から学ぼう!トラブルが発生した際の相談先も合わせて解説

不動産の売却は大金が動くため、トラブルが起こると大きな問題になります。安心して取引を進めるためには、事前にトラブルの回避策を知ることが重要です。この記事では、不動産の売却時に実際に起きたトラブルの事例と回避策、さらにトラブルが発生した場合の相談先について解説します。これから不動産の売却を検討している方、売却の際のトラブルを避けたい方、トラブルになりやすい事例を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売却のトラブル事例

ここからは、不動産売却で実際に起こった以下6つのトラブル事例を、紹介します。不動産の売却が無事に完了するまでは、いくつかのステップがあり、それぞれでトラブルが起こる可能性があります。まずはよく読んでみてください。

  • 仲介手数料に関するトラブル
  • 媒介契約の囲い込みによるトラブル
  • 境界のトラブル
  • 金銭の支払いや引渡し遅延のトラブル
  • 契約解除に関するトラブル

仲介手数料に関するトラブル

ある売り主が不動産会社と契約を結び、物件を売却した際、仲介手数料として法定上限を超える金額を請求されるトラブルが発生しました。

日本の法律では、不動産の仲介手数料には上限が定められており、売却価格に応じて計算されます。具体的には売却価格が400万円を超える場合は、速算式で【売買価格×3%+6万円+消費税】という計算方法が適用されます。

そのため、この上限を超える手数料を請求されることは法律違反なのです。

売り主がトラブルを回避するには、契約前に必ず手数料の計算方法と金額を確認し、納得のいく形で契約を結ぶことが求められます。それでも万が一トラブルが発生した場合は、消費者センターや弁護士に相談しましょう。

媒介契約の囲い込みによるトラブル

媒介契約には、以下の3種類があります。
媒介とは、売り主と買い主、貸主と借主の間をとりもち、不動産の売買・賃貸借契約を成立させることです。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、これらはおもに、以下の要素により分類されています。

  • 売り主が見つけた購入希望者と直接取引ができるか
  • 不動産会社との契約が1社限定かまたは複数社か
  • 不動産流通機構(レインズ)への登録義務があるか
  • 売り主への業務報告の義務があるか

囲い込みとは、仲介業者が売り主と買い主の両方から手数料を得る「両手取引」を狙い、自社で抱える買い手と売買契約の成立を進めようとし、売り主の物件を市場に出さないようにする行為のことです。囲い込みをされると、物件が市場に出回らないことから適正な市場価格より低くなるため、売り主は本来得られるはずの利益を損なう可能性があります。

たとえば、物件情報がレインズと呼ばれる不動産流通標準情報システムに登録されない、または登録後すぐに削除されると、市場に情報が出回らず適正価格での売却が難しくなるのです。

また、仲介業者が積極的な販売活動を行わず、虚偽の進捗報告をおこない、売却プロセスが不必要に長引く場合があります。このような囲い込みによるトラブルを避けるためには、売却物件の条件に応じて、それぞれの媒介契約のメリット・デメリットを把握した上で選択する、レインズの登録内容をこまめにチェックする、などといった手段があります。

物件瑕疵によるトラブル

瑕疵とは、物件に潜在的な欠陥や問題があることを指します。物件瑕疵によるトラブルは、不動産売却においてたびたび発生する問題です。

たとえば雨漏りやシロアリ被害などがあることを、売り主が知っていながら告知しなかった場合、売却後に買い主から瑕疵担保責任を問われることがあります。さらに違法建築や無許可増築があった場合も、買い主に伝えなければ、のちに大きなトラブルに発展する可能性があるでしょう。

また売り主が知らなかった、いわゆる「隠れた瑕疵」があった場合でも、売却物件における瑕疵は売り主の責任となります。そのため、物件瑕疵によるトラブルを避けるには、不具合等は隠さずに不動産会社へ伝える、住宅の専門家であるホームインスペクターの住宅診断(ホームインスペクション)を受ける、などの手段が有効です。

境界のトラブル

不動産売却において、境界に関するトラブルはよくある問題です。境界が明示されていない場合や越境物があるにも関わらず告知されなかった場合、近隣住民とのあいだで揉め事が発生する可能性があるのです。

たとえば、ある売り主が境界を明示せずに土地を売却し、そのあと買い主が隣地の所有者と境界線を巡って争うことになった事例がありました。このようなトラブルは、購入後に判明することが多く、解決には時間と費用がかかります。

境界に関するトラブルを避けるためには、売り主が事前に境界を明示し、越境物がある場合にはその情報を正確に伝えることが重要です。また購入前に土地家屋調査士などの専門家に依頼して、境界の確認をおこなうことも有効です。

もし境界に関するトラブルが発生した場合は、まずは関係者と話し合いを持つことが重要です。それでも解決しない場合は、法律の専門家に相談し、適切な対処法を講じることが求められます。

金銭の支払いや引渡し遅延のトラブル

不動産売却において、物件の引渡しや売却代金の支払いに関するトラブルはよく見られることです。

ある事例では、土地の引渡しと残金の決済期日近くになって、買い主が売却代金を支払わない意思を示したケースがありました。

また所有権移転のトラブルも、登記手続きやローン審査などの遅延が原因で発生する場合があります。これを防ぐためには、事前に必要な手続きを確認し、売り主としてやるべきことはもれなくおこなうことが求められます。さもないと、トラブルの原因が売り主側の落ち度となってしまうリスクがあるためです。

不動産売却のトラブルを未然に防ぐためには、詳細な契約内容の確認と、売り主としてやるべきことの確認と実施、信頼できる不動産会社や専門家との連携が欠かせません。

契約解除に関するトラブル

不動産売却における契約解除に関するトラブルの一般的な事例は、期日までに手付金放棄が行われなかった場合や、特約についての理解が不足しているために契約解除の可否で揉めるケースです。

たとえば売り主が手付金放棄の期限を過ぎてから契約解除を申し出た場合、買い主は契約の有効性を主張できるため、トラブルになることがあります。

また自宅で業者と不動産買取の契約を結んでしまうと、クーリングオフによる申込みの撤回ができないため、とくに注意が必要です。このような状況では、契約内容を十分に理解してから署名が求められます。

ある事例では、買い主が特約事項を誤解して契約を結び、のちに契約の解除を求めたものの、売り主が特約に基づく契約解除を拒否したため、訴訟に発展しました。このようなトラブルを避けるためには、契約書に明確に記載された特約事項の正確な理解が重要です。

不動産売却でトラブルを回避するための具体的な対策

ここからは、不動産売却でトラブルを回避するための、以下3つの具体的な対策を詳しく解説します。ときに訴訟にも発展する不動産のトラブルを避けるために、ぜひ参考にしてください。

  • やり取り・約束事は書面化する
  • 建物の劣化状況を明らかにしておく
  • 信頼できる不動産会社を選ぶ

やり取り・約束事は書面化する

不動産売却でのトラブルを避けるには、契約書に記載されていない重要な事項をすべて書面化しておくことが重要です。口頭での約束だけでは、のちのトラブルの原因となる可能性が高いためです。

たとえば契約解除条項や解約条件などのリスクが大きい部分については、具体的に契約書などの書面に記載してもらう必要があります。

契約書に記載されていない事項が問題になるケースでは、あとから「聞いていない」といった誤解が生じることがあります。「言った」「言わない」といった水掛け論を防ぐために、重要なやり取りや約束事は必ず書面で確認し、双方が署名するように徹底しましょう。とくに契約解除に関する事項は曖昧な表現を避け、明確かつ具体的に記載されているかチェックを行いましょう。

契約内容をしっかりと確認し、書面化することで、不動産売却におけるトラブルを大幅に減少させられます。

建物の劣化状況を明らかにしておく

不動産を売却する際は、建物の劣化状況を明らかにしておくことが重要です。劣化状況を明らかにしておけば、以下のようなメリットが得られます。

  • トラブルの未然防止
  • 価格交渉の材料
  • 契約不適合責任の軽減
  • 安心して取引きできる

物件の劣化状況と修繕が必要な個所を把握することで、売却後に発覚するトラブルを避けられます。買い主があとから不具合を見つけた場合、大きなトラブルに発展する可能性が高いため、事前にチェックしておくことが重要です。

また建物の劣化状況をもとに適切な価格交渉が可能になります。劣化箇所が明確になれば、修繕費用を考慮した価格設定ができるため、双方にとって納得のいく取引が可能です。

さらに、契約不適合責任の軽減にもつながります。不具合の有無や補修・リフォームが必要な個所など、売り主が物件の状態を伝えることで、買い主との信頼関係が築かれ、契約不適合責任のリスクを軽減できるでしょう。

物件の詳細情報の共有は、売り主と買い主双方の安心につながります。物件の劣化状況を把握するには、ホームインスペクションが有効です。ホームインスペクションの実施により、スムーズな取引が期待できます。

信頼できる不動産会社を選ぶ

不動産売却において、信頼できる不動産会社選びは重要なポイントです。複数の不動産会社から見積もりを取り、実績や評判を比較して信頼できる会社を見極めましょう。下記ポイントのチェックが大切です。

  • 実績と評判の確認
  • 会社の規模と創業年数
  • 担当者の対応と知識

公式Webサイトや口コミサイトを利用して、不動産会社の売却実績や顧客の評判を確認しましょう。実績が豊富で評判の良い会社を選ぶことで、トラブルのリスクを減らせます。

会社の規模や創業年数も信頼性の指標となります。大手の不動産会社は全国展開しているため、幅広いエリアで対応できる一方、地域密着型の中小企業はエリア情報に強みがあり、柔軟な対応が期待できます。

担当者の対応や知識も、重要です。担当者が親切で知識が豊富であることが、安心して取引を進めるための鍵となります。

信頼できる不動産会社選びは、不動産売却の成功に直結します。事前にしっかりと調査し、信頼性の高い会社との取引によって、多くのトラブルを未然に防ぐことが可能です。

不動産売却でトラブルが発生した際の相談先

ここからは、不動産売却でトラブルが発生した場合の相談先をいくつか紹介します。トラブルの状況に応じて相談先を選ぶことで、解決に向かいやすくなります。トラブルが起きたときのためによく読んでみてください。

相談先

不動産会社の

お問い合わせ窓口

大手の不動産会社:お客様窓口や相談窓口

担当者に直接相談しにくい場合は、窓口の利用がおすすめ。慎重かつ丁寧な対応が期待できる。

管轄の宅建協会

不動産会社が所在する管轄の「宅地建物取引業協会」

基本的に無料で電話相談が可能。

不動産に関する相談や苦情の解決を目的とした相談のほか、不動産契約書及び重要事項説明書や、不動産の税金に関する相談も可能。

不動産適正取引

推進機構

電話相談は基本的に無料。

不動産取引に関する無料相談だけでなく、消費者と宅建業者間の不動産売買取引にかかわるトラブルのサポート(特定紛争処理事業)も実施。

消費生活センター、国民生活センター

地域の消費生活センター:消費者ホットライン(188)のほか、各地域の窓口でも直接相談(対面相談)可。消費生活に関する問題解決のための具体的な手順や法的な助言も提供される。

国民生活センター:電話相談のみ(消費生活センター相談窓口の受付時間外に対応)。

弁護士

法的な問題に発展した場合や、他の相談窓口の対応が不十分な場合は、弁護士に相談する。

不動産トラブルに関する経験豊富な弁護士を探すとよい。

不動産会社のお問い合わせ窓口

大手の不動産会社では、お問い合わせ窓口や相談窓口が設置されています。これはお客様を第一に考え、売却や購入のプロセスで発生する可能性のあるトラブルや疑問に、迅速かつ適切に対応するためです。

担当者に直接相談しにくいと感じる場合でも、こうしたお問い合わせ窓口を利用することで、第三者の目を通した丁寧な対応が期待できます。

たとえば物件の状態や契約内容に関するトラブルが発生した際、窓口を通じて具体的な対策や解決策を提案してもらえることがあります。また不動産取引における法的なアドバイスや手続きの進め方についても、専門知識を持つスタッフが対応してくれるため、安心して取引を進められるでしょう。

管轄の宅建協会

宅地建物取引業協会では、不動産取引に関するトラブルや苦情を受けつける相談窓口が設けられているため、トラブル発生時には基本無料で電話相談できます。

宅建協会の相談窓口は、契約前に不動産会社の対応や提示された契約内容に疑問や違和感を感じた場合にも利用できます。トラブルが発生したあとでも、協会の助言をもとに問題解決の手段を見つけられるでしょう。

不動産適正取引推進機構の電話相談

不動産適正取引推進機構の電話相談もトラブル時の相談に有効です。不動産適正取引推進機構は、不動産取引に関するトラブルや苦情を受けつける専門的な機関であり、公平かつ中立的な立場からアドバイスを提供しています。

不動産適正取引推進機構への電話相談は基本的に無料であるため、利用者は気軽に相談できるでしょう。ただし相談受付の条件は、不動産取引に関する具体的な問題や疑問がある場合に限られます。

たとえば契約内容に不明点がある場合や、売却プロセスにおける不当な対応に対して相談したい場合などが該当します。

消費生活センター、国民生活センターへ相談

不動産売却におけるトラブルは、消費生活センターや国民生活センターにも相談可能です。これらの機関は消費者の権利を守るために設立されており、不動産取引に関するさまざまな問題についてもアドバイスを提供しています。

地域の消費生活センターでは、専門の相談員が窓口で直接相談を受け付けてくれます。対面での相談が可能なため、具体的な書類や契約内容を確認しながら問題の解決策を模索できるでしょう。消費生活センターでは、問題解決のための具体的な手順や法的な助言も提供されるため、初めての不動産取引で不安を抱える方には有益といえます。

一方で国民生活センターは電話相談のみを受け付けており、全国どこからでも相談が可能です。原則、土日祝日など、消費生活センターの業務時間外に対応しています。電話相談は迅速で手軽に利用できるため、緊急のトラブルにも対応しやすいでしょう。

弁護士へ相談

不動産売却に関するトラブルが法律的な問題に発展した場合や、他の相談機関の対応では不十分な場合、弁護士に相談する方法があります。

不動産取引は複雑で高額な取引が多いため、法律的な知識が必要になることが少なくありません。こうした場合、専門の弁護士を通じて適切なアドバイスやサポートを受けることで、トラブルをよりスムーズに解決することが可能です。

弁護士へ相談する場合は、不動産トラブルに関する経験豊富な弁護士を探すことが重要です。不動産に特化した弁護士は、過去の事例や法律知識を活かして、効果的な解決策を提案してくれます。

まとめ

不動産売却のトラブルを未然に防ぐには、事前の対策が不可欠です。この記事では、不動産売却時に発生しやすいトラブル事例とその対処法について解説しました。

トラブルを避けるためには、売り主として物件の劣化状況を把握しておくことが重要です。床下や屋根裏など普段見えない部分まで物件の状況を把握するには、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)の利用も有効な手段です。

アメリカではホームインスペクションの実施率が高く、安心して取引が行えることから、広く普及しています。ホームインスペクションを通じて物件の状態を詳細に確認することで、売り主・買い主双方が納得のいく取引をおこなうことが可能です。さくら事務所では、経験豊富なホームインスペクターによるホームインスペクションサービスを提供しています。住宅の専門家による診断を受けることで、より安全な取引が実現します。

不動産取引は大きな金額が動くため、トラブルが発生した場合の影響も大きくなりがちです。事前にトラブル事例と対処法を理解し、適切な対策を講じることで、安全かつ円滑な取引を進められます。さくら事務所のホームインスペクションサービスを活用し、プロの視点から物件の状態をチェックしてもらうことで、安心して不動産売却を行いましょう。