デザイン住宅とは?意外な子どもへの危険性まで徹底解説

  • Update: 2022-08-09
デザイン住宅とは?意外な子どもへの危険性まで徹底解説

デザイン住宅は、外観や間取りなどを一から設計することが可能です。デザイン性が高いため、おしゃれで見た目にこだわりたい人に人気があります。しかし、デザイン住宅を建てる場合はメリットだけではなく、デメリットも把握しておかなければいけません。

そこで今回は、デザイン住宅の概要やメリット、デメリットを紹介します。デザイン住宅を購入するまでの流れや注意点も解説するので、併せて参考にしてみてください。

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デザイン住宅とは

デザイン住宅とは外観や間取りなど、住まいの全体をひとつのコンセプトに沿って設計したデザイン性の高い注文住宅のことです。すべてにおいて自分たちのイメージを叶えられるため、一軒一軒異なる住宅が完成します。

例えば、自分の好きなデザインを反映したり、住みやすい間取りにしたりとオリジナル性の高い住宅を設計することも可能です。また近年ではデザイン性だけではなく、暮らしやすさや心地よさまでを含めて、トータル的にデザインされた住宅も設計されています。

デザイン住宅のメリット・デメリット

【メリット①】理想の住まいが手に入る

デザイン住宅を設計すれば、理想の住まいを作れるのがメリットのひとつです。内装や設備、間取りなど、すべてを自分の好みに合わせて設計できます。例えば、「現代風のおしゃれな家を作りたい」「日本家屋の良さを取り入れた和風の家に住みたい」といった理想を叶えられるでしょう。

一から住宅を設計できるため、建売住宅では見かけないようなインパクトのあるデザインや間取りの住宅を作ることも可能です。

【メリット②】居住快適性が上がる

デザイン住宅を建てれば、より快適な暮らしを手に入れられます。デザイン住宅は建てる人のライフスタイルに合わせて住宅を設計できるので、生活しやすい空間を作れるでしょう。例えば、家事のしやすい間取りを採用したり、収納スペースを多く確保したりすることも可能です。

建売住宅のように、あらかじめ決まった間取りの中で生活すると不便に感じることも多いかもしれません。しかし、デザイン住宅であれば暮らしやすい住まいを設計できるため、快適性もアップします。

【メリット③】土地条件に合わせられる

デザイン住宅を選ぶと、土地の条件に合わせた設計ができます。建売住宅の場合、限られた土地の中にたくさんの住宅を建てようとするため、通風性が悪かったり、日当たりが良いところに窓がなかったりすることも珍しくありません。

しかし、デザイン住宅であれば土地の条件を活かした住宅を設計できるため、プライバシーや採光、通風性などを考慮した住まいを作れます。狭い土地や変わった形の土地に住宅を建てたいのであれば、デザイン住宅を採用するといいでしょう。

【デメリット①】高額になる

デザイン住宅は自由度が高く理想を叶えられる反面、費用が高くなることがあります。建売住宅であれば、あらかじめ間取りや設備が決まっていたり、内装に制限があったりするため、人件費や材料費を抑えられます。

一方デザイン住宅は一から間取りや設備、内装を決めたり、高額な材料を使ったりすることも可能になるため、建売住宅よりも高額になるケースもあるでしょうそのため、建売住宅よりも多くの予算を準備する必要があります。

【デメリット②】時間がかかる

デザイン住宅は一から設計を行うため、完成までに時間や手間がかかります。建売住宅であれば、完成した住宅に引っ越しするだけなので、すぐに入居することも可能です。

しかし、デザイン住宅は間取りや設備、内装などのすべてを話し合いで決めていく必要があるため、通常の注文住宅よりも時間がかかります。そのため、時間に余裕のある人や、時間をかけてでも理想の住まいを手に入れたい人におすすめといえるでしょう。

【デメリット③】売買しづらくなる

デザイン住宅は自分の理想を詰め込んだ住宅を建てられる一方、将来的に売買しづらい傾向です。 特殊なデザインや外観であれば、売買するときに値段が付きづらいこともあるでしょう。特に、見た目にこだわりすぎて機能性が伴っていなければ、より買い手を見つけるのが難しくなります。

そのため、将来的に売却を視野に入れているのであれば、売買しづらい点も考慮しておかなければいけません。

【子供への危険性】デザイン住宅の注意点

デザイン住宅はおしゃれで快適な生活を送れる反面、子どもへの危険性もあります。特に夏休みなどの長期休暇期間や新型コロナウイルスによって家にいる時間が増えると、家で遊ぶ時間が長くなり、今まではやらなかった遊びや動き方をするお子さんが出てくることも。

特に、親戚やご友人のお子さんが遊びに来たりすると、お子さん同士で盛り上がって思いがけない事態が起きることがないとは言えません。ここでは、デザイン住宅で起きがちな子供の事故の注意点を解説します。

子供の転落事故が多発

デザイン住宅を建てる場合は、子どもの転落に気をつけましょう。デザイン住宅はオトナが好む見た目を重視している住宅も多く、お子さんにとっては転落事故が起きやすい場合があります

なお、子どもの転落事故は夏が一番多いというデータも発表されています。

厚生労働省「人口動態調査」における平成 26 年から平成 30 年までの9歳以下の子どもの建物からの転落による死亡事故のうち、発生時期不明の1件を除く 36 件中、「7~8月」の 13 件が最も多く、次に「5~6月」の9件で、夏に多く発生していることが分かりました(図1)。

参考:消費者庁|窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!

 

これはデザイン住宅に限定した話ではなく、夏休みにより在宅時間が長くなることで、建物からの転落事故が増えるのかもしれません。

住まいの子供の事故というと、窓から外に転落するというイメージが大きいかもしれませんが、住宅内で起きる子供の事故は、それだけではないのです。

バルコニーにつながる壁一面の窓

外側にバルコニーがある大きな窓でたまにある事故が、窓が開いていると思ったお子さんがバルコニーに出ようと思ってガラスに激突するという事故。

大きな窓を設ける住宅の場合、できるだけ見た目にスッキリするよう、色や太さが目立ちづらいサッシ(フレーム)を選ぶケースもありますが、目立たない解放感がお子さんにとってはデメリットになってしまうということもあります。出入口となる部分のガラスには、お子さんの目線の高さに、あとあと剥がせるシールなどを貼っておくだけでも、窓が閉まっていることに気づきやすくなるのでお勧めです。

階段の手すり

2000年以降、建築基準法により、住宅内の階段は、両側に壁または手すりを設置することが義務付けられています。

両側が壁になっている階段の場合は、昇降時の転落に注意する必要がありますが、デザイン住宅で見られがちな片側に壁が無い階段の場合、階段の脇から転落することにも注意が必要です。

こういった階段は「片持ち階段」と呼ばれ、壁の反対側には手すりの設置が必要です。ただ、この手すりについては、支える支柱の間隔などの細かい決まりがなく、隙間から子供が身を乗り出せるような大きなスペースが空いている支柱間隔の階段がたまにあります。

いつもは上り下りするだけなのに、暇を持て余したり友達と遊んでいるうちに、ちょっと大胆な動きをして階段脇から下に転落することがないとは言えません。

転落リスクを防ぐためには、支柱や手すりの間隔が、子供の頭が挟まりづらい110ミリ(11センチ)以下になっている手すりや、全面を覆うパネルの手すりなどを設置すると安心です。

なお、階段の両側に壁または手すりが必要という法律に変わったのは2000年。

そのため、それ以前に建設されたデザイン住宅の中には、片持ち階段の壁の反対側に全く手すりがついていない住宅があるかもしれません。

見た目にはスッキリしているのですが、大人であっても体調不良の際にバランスを崩して落下する恐れがないとは言えませんので、もし片側に壁も手すりもない階段があるデザイン住宅を中古で購入する際は、リフォーム・リノベーションタイミングで転落しづらい手すりの取り付けをすることをお勧めします。

また、意外と盲点なのが「段の角」に頭をぶつけてしまうリスクです。手すりがないと特にぶつかりやすいので、これには角を防護するプロテクターなどの設置をすると有効です。

階段の蹴上

デザイン住宅の階段でたまに見かけるのが、蹴上が覆われていない階段です。蹴上とは、階段の正面部分のこと。

圧迫感が少なくリビングの一部に階段を設ける場合などに多いデザインですが、階段の蹴上の高さは、法律上23以下と定められており、上りやすい高さとして18センチ前後で設計される住宅が多いようです。

子供の頭の直径は、個人差がありますが、2・3歳時では15センチ程度、小学校高学年で18センチ程度(※)です。子供の体格だと、頭が通過できるところが体も通過できてしまうことが多いため、ひとたびお子さんが遊びでこのスペースに頭を突っ込んだりすると、下手をするとそこから落ちかねません。

※頭囲50センチと56センチを3.14で除して直径を計算

日常的に起きることではないため、階段で遊ばないよう注意するといった対策が考えられますが、つくりからリスクを減らしたい場合は、蹴上を覆う仕様にしておくと安心でしょう。

出窓

置物や写真立てを置いたり、カーテンなどのウィンドウトリートメントで飾りやすいため、出窓も人気があります。出窓付近にソファやダイニングテーブル、棚などを置くことが多いため、高さは60センチから1メートルくらいまでさまざまですが、通常が出窓の窓を開けていても人が転落することがないため、手すりを取り付けている住宅は多くありません。

ところが、もし、お子さんが出窓の台に乗って遊んでしまうと、足元から窓が全部空いてしまうというリスクがあるのです。

1階の出窓であれば転落しても少しのケガで済むかもしれませんが、2階以上にある出窓だと命の危険が生じます。リスクを下げたい場合は、これから設計に入る方は窓の開き幅を制限できるサッシを選ぶなどするといいでしょう。これだと、インテリアにも影響が出ずにリスク軽減ができます。

すでに建設が進んでいたり建っている住宅の場合は、窓の形状により取り付け可否が変わるのと、見た目が少し変わってしまいますが、取り外し可能な室内用転落防止柵を設置されるといいでしょう。

吹き抜け

上下に階が分かれても家族で会話しやすいように、吹き抜けを設け、上階居室や廊下に手すりや窓を設ける間取りは多くみられます。これも、日常で生活している限りでは転落するリスクは少ないものの、お友達が遊びに来たときなど、子供達同士で盛り上がってしまったときや、珍しい形のおうちに遊びに来れて楽しくなったお子さんが身を乗り出してしまうなどの危険が無いとはいえません。

また、上階から物を落としてしまったり、反対にうっかり大人が上階から落としてしまったモノが下階にいる子どもにぶつかって怪我を負わせてしまうというリスクもあります。

下階に転落する恐れがある吹き抜けの間取りがある場合、小さなお子さんだけで上階に遊びに行かせないなど、注意を払っておくといいでしょう。

なお、これらのデザイン住宅で多くみられるもの以外でも、通常の大きさの腰高窓(成人の腰くらいの高さに設置された窓)に足場になるような物を置けば、子どもでも簡単に登ることができてしまいます。バルコニーの手すりについても同様です。

デザインでリスクを減らせるものがあれば工夫するようにしますが、お子さんの住宅内の事故については、基本は常に転落やケガの可能性をお子さんにも知らせて、注意する癖をつけておくことです。子供だけで遊ぶ時間が長くなりがちな夏は、特に注意を促しておきましょう。

なぜ事故が起きる作りになってしまうのか

■過去の事例を生かしづらい

デザイン住宅の良さは、施主の希望をデザイナー・設計者が実際の建物に叶えてくれて、世界に唯一の住まいが出来上がることでしょう。ただ、同じ間取りや建材で作られた家が過去にないことで、どういったトラブルや事故が起きがちか、過去の経験を生かしづらいといったことが考えられます。

■法規制が無い部分は属人的になる

また、住まいの設計はなんでも建築基準法で制限されているわけではなく、設計者の配慮・注意に委ねられる部分が多数あるため、依頼するデザイナーや設計者により、リスクを想定する・しないの差が出がちです。

ハウスメーカーや設計事務所によっては、法律で義務付けられていないものでも、社内基準として、過去の事故例などをもとに各種寸法や使用建材について設計時のチェックリストを設けているところもありますが、これも会社によってさまざま。

個人の設計事務所の場合、そういったチェックリストなどは持たず、設計者個人の属人的な経験や考えに基づく設計になることも少なくありません。非常に住宅のリスクや配慮に詳しい人もいれば、そうではない人もいると考えておきましょう。

事故を未然に防ぐための対策

事故を未然に防ぐためには、専門家にチェックしてもらうことが大切です。先述したとおり、デザイン住宅のような特殊な造りにすると、事故が発生する危険性は高まります。華奢でおしゃれな設計は、耐久性が低く劣化しやすい場合もあるでしょう。

これから設計を依頼する場合は、住宅内の危険や、建材などの傷みなどを軽減させるための設計基準やチェックリストがあるかどうか、設計者や会社に質問してみることをおすすめします。

ただし、これらは社内資料として見せてもらえないということも少なくありません。その場合は、すべてをチェックしきれるわけではありませんが、第三者の専門家に依頼し、明らかに心配な部分がないかをチェックしてもらうのもいいでしょう。

専門家にチェックしてもらえばプロの目線でアドバイスをもらえるため、素人では気付けない問題点も浮き彫りになります。窓にストッパーや補助錠を設置したり、手すり・落下防止柵を設置するなど、建築後でもできる対策は色々あります。住宅に関する知識が豊富な専門家に見てもらえば、事故を未然に防げる可能性が高まるでしょう。

デザイン住宅購入までの流れ

デザイン住宅を購入するまでの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. デザイン事務所を決める
  2. 打ち合わせ
  3. 内覧会を経て完成

購入までの流れをチェックしてみましょう。

デザイン事務所を決める

デザイン住宅を建てる場合、デザイン事務所を決めるところから始めましょう。デザイン事務所によって得意なデザインやコンセプトが異なるため、慎重に選ぶことが大切です。

デザイン事務所を選ぶ際に参考となるのが、モデルハウスです。モデルハウスを見れば、デザイン事務所の特徴を把握できるため、事務所選びの参考になります。

ただし、モデルハウスを見る前に、デザイン事務所の下調べをしておくことが重要です。事前に資料請求をしたり、自分の求める希望を叶えてくれそうなデザイン事務所を調べたりすることでスムーズに見学できます。

優先順位を決めてからモデルハウスを見ることで、理想の住宅を建ててくれるデザイン事務所を見つけやすくなるでしょう。

打ち合わせ

デザイン事務所が決まれば、打ち合わせを行います。まず、どのような住宅を建てたいのかといった要望や希望を伝えましょう。建築家は依頼主の要望や希望を何よりも優先して設計してくれます。

デザイン事務所によって打ち合わせの流れは異なるものの、一般的には依頼主のニーズに基づいて最初のプランを立て、その後定期的な打ち合わせでプランをブラッシュアップしていきます。

そして、基本設計で大枠のプランが決まれば、細部のプランを打ち合わせしていく流れです。細部までこだわっていきたい人は、建築家と一緒にプランを練っていきましょう。

内覧会を経て完成

建物が完成したら、内覧会を行います。内覧会とは、完成した住宅を引き渡す前に実施するもので、施主の立ち会いの下で建物をチェックするのが目的です。

例えば、以下のようなポイントをチェックしましょう。

  • 契約内容に沿った住宅になっているか
  • 不具合や不備はないか

自分の理想を詰め込んだ住宅が完成したことで、つい嬉しい気持ちが溢れてしまう人も少なくありません。しかし、内覧会で不具合を見つけないと後で直してもらえない可能性もあるため、しっかりとチェックしておくことが大切です。

内覧会が終わって不備を修理してもらえば、正式な引き渡しとなります。

ホームインスペクションを活用しましょう

デザイン住宅でより快適な暮らしを実現したい場合は、ホームインスペクション(住宅診断)を利用しましょう。ホームインスペクションとは、住宅に関する知識が豊富なホームインスペクター(住宅診断士)がアドバイスを行う専門業務のことです。

さくら事務所の新築戸建ての内覧会同行サービスでは、規定のチェック項目はもちろんプロの目線から見た住宅のアドバイスもできます。精鋭のホームインスペクターが客観的なアドバイスを行っていますので、ぜひご利用ください。