【完全網羅】中古マンションの選び方 – 失敗しない20のポイントとチェック項目をプロのインスペクターが解説

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【完全網羅】中古マンションの選び方 – 失敗しない20のポイントとチェック項目をプロのインスペクターが解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「中古マンションを購入したいけど、後悔しないか不安」
「自分の希望に合った中古マンションをずっと探しているけれど、なかなか見つからず探し疲れた」

マンションの購入は不慣れなことも多く、どのように物件選びを進めていけばいいかわからない方も多いでしょう。失敗のないマンション選びをするためには、数多くあるチェックポイントを押さえた上で自分に合った物件を見つけることが大切です。とくに中古マンションは築年数が経過しているため、管理状況や修繕履歴などのチェックポイントを把握していないと入居後に後悔する可能性が高くなるでしょう。

そこで本記事では、失敗しない中古マンションの選び方として、確認しておきたいチェックポイントを紹介します。事前準備や内見などの場面別で分けて紹介しているので、現在のステップに合わせて活用してください。

【事前準備編】中古マンションの選び方・チェックポイント

事前準備の段階での中古マンションの選び方は、以下の通りです。

  • 築年数による価格の推移を把握する
  • 季節や時期による購入のメリットを理解する
  • 目的と予算を設定する
  • 希望条件や妥協点を決めておく
  • プロの意見を参考にする
  • 購入後のランニングコストを試算する

中古マンションの種類は多岐にわたるため、事前準備の段階である程度絞っておきましょう。ここでは、あらかじめチェックしておきたいポイントを紹介します。

築年数による価格の推移を把握する

中古マンションを購入する際は、築年数による価格の推移を把握しましょう。マンションの価格は新築時をピークとして、築25年あたりまでゆるやかに低下しています。築25年を超えると価格の下落幅が広がり、築30年以降は横ばいになる傾向がみられます。中古マンションの資産価値を保有しつつ、費用を抑えながら購入したい方には、築25年頃の中古マンションがおすすめです。

季節や時期による購入のメリットを理解する

中古マンションを購入するときは、季節や時期による購入のメリットを理解しましょう。

基本的に、中古マンションを購入してはいけない時期はありません。しかし、時期によって価格の値下げが集中するため、タイミングが合うのであればその時期を狙うのもひとつの方法です。国土交通省が公表している統計データによると、2023年は2月・5月・11月に価格が下がっています。

なお、中古マンションの値下げが行われる時期は毎年異なります。これは価格変動が経済や消費の動きに深く関係しているからです。中古マンションの購入を検討している方は、一度不動産会社に物件購入価格の値下げについて問い合わせてみるのもいいでしょう。

目的と予算を設定する

中古マンションに限った話ではありませんが、住宅購入は目的と予算を明確にしておくのが重要です。たとえば、中古マンションを購入する目的は以下のような例があります。

  • 子供の校区を変えず住み替えたい
  • 子供が小さいうちに子育てしやすい地域に引越ししたい
  • 子供が大きくなり、手狭になったから今よりも広いところに引越ししたい
  • 将来的に子供が2人欲しいので間取りに余裕のあるマンションに引越ししたい

上記のように目的を明確にした上で、現在の貯蓄額や年収、賃貸住まいの方は現在の家賃、住み替えの場合にはローン残高などを参考に、無理のない資金計画・予算を立てましょう。

なお、物件購入価格の目安は、世帯年収の5~7倍ほどと言われています。たとえば世帯年収が600万円であれば、3,000~4,200万円ほどの中古マンションが目安です。また、中古マンションを購入すると、仲介手数料・ローン事務手数料、税金といった諸費用や管理費・修繕積立金などの維持費も発生します。予算オーバーを防ぐには、これらを考慮した上で資金計画を立てることが大切です。

希望条件や妥協点を決めておく

中古マンションを購入するときは、希望条件や妥協点を明らかにしましょう。中古マンション購入の目的にあった希望条件を設定しておくと物件選びをスムーズに行えます。希望条件の具体例は、以下の通りです。

  • 物件購入価格
  • 希望のエリアや沿線
  • 駅までの距離
  • 部屋数や階数
  • 入居の希望時期
  • 周辺の治安状況
  • 交通量
  • 生活環境の充実度

なお、希望条件をすべて満たした物件に出会える可能性は限りなく低いです。そのため、洗い出した希望条件の中から妥協できる点とできない点に分けておくと、自分に合った中古マンションを見つけやすくなるでしょう。

プロの意見を参考にする

中古マンションを購入する際は、プロの意見を参考にしましょう。ノウハウがない状態で中古マンションを購入すると後悔する要因ともなるため、プロの意見や考え方を参考にしながら物件選びをするのがおすすめです。

現代は書籍だけではなく、YouTubeをはじめとするSNSなどの活用も可能です。スマートフォンから手軽に情報を得られるため、中古マンション購入に欠かせないノウハウを事前に学んでおきましょう。なお、さくら事務所でもコラムを掲載しているため、参考にしながら中古マンション選びを進めてください。

購入後のランニングコストを試算する

中古マンションを購入する際は、ランニングコストも試算しておきましょう。中古マンションを購入すると固定資産税や管理費、修繕積立費などが発生するため、ランニングコストを視野に入れた上で物件選びを行う必要があります。それぞれの具体的な概要や費用相場は以下の通りです。

 

概要

費用目安

固定資産税

不動産を所有している人が毎年支払う税金

年間10~30万円

管理費

マンション共用部分の維持・管理に使われる費用

月額15,000~20,000円

修繕積立費

12~15年に1度行われる大規模修繕に充てられる費用

月額10,000~15,000円

マンション購入後に必要なランニングコストの概要と目安

さらに車がある場合は駐車場代もかかります。中古マンション購入準備を行う際は、ランニングコストも含めた上で資産計画を立てるようにしましょう。

【物件選び編】中古マンションの選び方・チェックポイント

物件選びの際にチェックしておきたいポイントは、以下の通りです。

  • 探し疲れない範囲で複数の物件を比較検討する
  • 立地と周辺環境をチェックする
  • 管理状況と修繕履歴を把握する
  • リフォームの制約がないかを確認する

それぞれのチェックポイントについて解説します。

探し疲れない範囲で複数の物件を比較検討する

物件選びを行う際は、探し疲れない範囲で複数の物件を比較検討しましょう。先ほど紹介した中古マンションの購入目的や希望条件、妥協点などに該当する物件をいくつかピックアップしておきます。そして、実際に内見を進めていき、自分に合った中古マンションを決めます。

ただし、候補物件が増えすぎると探し疲れの要因となるため、2日程度で内見できる件数に絞っておくのが理想です。また、中古マンションは条件が良いとすぐに売れてしまうため、早急な判断を下せるように5~10件程度に候補を絞っておくといいでしょう。

立地と周辺環境をチェックする

物件選びの際は、立地や周辺環境もチェックしましょう。希望条件を重視しすぎると、生活しにくい物件を選んでしまう恐れがあるからです。たとえば、交通の便が良い地域を選んだものの、車の走行音が気になって夜も寝られないと悩む方もいるはずです。反対に、静かなエリアを選んだものの、物件付近に牧場や排水処理場などがあって臭いが気になる方もいるかもしれません。

物件選びを行う際は、さまざまな視点から入念にチェックしておくと、後悔の少ないマンション購入を実現できます。

なお、立地条件や周辺環境は内見時に確認できます。しかし、スムーズに物件選びを行うためには、実際に物件を探す前に周辺環境を確認するのがおすすめです。なぜなら物件探しの前に気になっているエリアの特徴を掴んでおくと、善し悪しが明確になるためです。

管理状況と修繕履歴を把握する

中古マンション選びで、管理状況と修繕履歴の把握は欠かせないポイントです。希望条件を満たした物件であっても、適切な管理がなされていない場合は生活に悪影響をもたらします。また、修繕履歴を確認しておけば、適切な修繕や管理運営がなされているかを把握できるでしょう。

管理状況や修繕履歴はポータルサイトに記載されている情報を元に判断できるケースもありますが、不動産会社に直接聞くのが一般的です。しかし、初期段階で確認すると不動産会社から営業連絡が来る恐れがあるため、ある程度気になる物件が固まった際に質問してみるのがおすすめです。

リフォームの制約がないか確認する

物件選びを行う際は、リフォームの制約がないかを確認しましょう。中古マンションを購入する方の中には、物件購入価格を抑えられる分、リフォームやリノベーションによってより快適な空間に仕上げたいと考える方もいるでしょう。

しかし、中古マンションにおけるリフォームは管理規約で制限されていたり、構造的に工事がしにくかったりするケースもあるため、事前に確認しておかなければいけません。とくに水回りの工事は、上下階への影響が出る恐れもあるため、管理規約で制限されている場合もあります。そのため、中古マンションを購入後、リフォームやリノベーションを行う可能性がある方は事前に制約をチェックしておき、どの程度リフォームできるかを把握しておきましょう。

【内見編】中古マンションの選び方・チェックポイント

内見時に確認しておきたいポイントは、以下の通りです。

  • 共用部に破損や故障がないか確認
  • 建物周り、廊下などの清掃状況を確認
  • 掲示物の確認
  • セキュリティに死角がないかチェック
  • 間取り図と実物の比較
  • 窓の配置・窓から見える景色を確認
  • 仕上げ、建具、設備の状況を確認

それぞれのチェックポイントを解説します。

共用部に破損や故障がないか確認

内見時は、共用部に破損や故障がないかを確認しましょう。共用部の破損や故障したまま放置されているマンションは、適切な管理が行き届いていない可能性が高いです。修繕積立金に問題がある恐れもあるため、入居後に値上がりする可能性も否定できません。内見時は共用部をチェックしておき、適切な修繕が行われているかを確認してください。

建物周り、廊下などの清掃状況を確認

内見時は建物周りや廊下などの清掃状況を確認しましょう。

たとえば

  • ゴミ置き場が汚れたまま放置されている
  • 廊下にゴミが置いてある
    といった状況が見られるマンションは、治安の良い物件とは判断しにくいです。

適切な管理も行き届いていないと判断できるため、入居後の生活にも影響を及ぼす恐れがあります。

掲示物の確認

内見時は玄関ホールや廊下などに貼り付けられている掲示板も確認しましょう。掲示板には住民に知らせたい出来事を記載していることが多いです。

たとえば

  • ベランダでの喫煙苦情が届いている
  • 深夜に掃除機や洗濯機を使用しない
    といった内容が記載されていれば、臭いや騒音などのトラブルが絶えない可能性があります。

反対に、地域住民へのお知らせのような掲示物であれば、トラブルの少ないマンションである可能性が高いと考えられます。

セキュリティに死角がないかチェック

内見時はセキュリティに死角がないかもチェックしましょう。たとえば、玄関ホールに防犯カメラが設置されていても、一部に死角があれば安全が確保されているとは言いにくいです。ほかにもオートロックの玄関ドアを設置しているにもかかわらず、ドアが開けっ放しになっていたり、裏口から自由に出入りできたりすると意味がありません。駐車場や駐輪場、ゴミ置き場なども含めてセキュリティ状況を確認しておくと、入居後の生活がより安心で快適なものとなるでしょう。

間取り図と実物の比較

内見をする際は、間取り図と実物を比較して違いがないかを確認しましょう。中古マンションの場合は設計図が見つからないとき、不動産会社が間取り図を作っている場合があります。その際、実際の物件を見ずに見た目で作成しているケースがあり、実物とは異なるときがあります。そのため、内見時は「間取り図との違いはないか」「希望条件を満たしているか」などをよくチェックしておきましょう。

窓の配置・窓から見える景色を確認

内見するときは、窓の位置やそこから見える景色を確認しましょう。住宅密集地の場合、近隣との距離が近いと部屋の中が見える可能性があります。また、道路側に面した壁に窓がある場合は、車の走行音が響きやすいです。ほかにも学校や線路などが近くにある場合は騒音問題の要因ともなり得るため、あらかじめどの程度の影響があるかを確認しておくと安心です。

仕上げ、建具、設備の状況を確認

中古マンションの内見時は壁や天井などの仕上げ、窓をはじめとする建具、水回り設備の状況を確認しましょう。中古マンションは築年数が経過しているため、仕上げや建具、設備に不具合が生じている可能性があります。もし入居後に修繕やリフォームが必要であれば、その費用を確保しておかなければいけません。修繕やリフォームにかかる費用が大きくなるのであれば、物件購入を再度検討する可能性もあるでしょう。

築古の中古マンションは買うなって本当?選ぶ際の注意点

「築古マンションは買わないほうが良い」と聞いたことがある方もいるかもしれません。築年数が経過していることから、長く住めないと思っている方もいるでしょう。しかし、築古マンションは購入の仕方次第で大きなメリットを受けられる物件です。ポイントを押さえておけば、快適な暮らしが実現できます。

とはいえ、注意すべき点を見落としてしまうと、トラブルの要因になったり後悔が残る結果となったりする可能性があります。そのため、築古マンションを購入する際は、以下の注意点を覚えておくことが大切です。

  • 建物の耐震性は必ずチェックする
  • 建て替えの計画がないか確認しておく

それぞれの注意点を解説します。

建物の耐震性は必ずチェックする

築古マンションを購入するときは、建物の耐震性は必ずチェックしましょう。マンションが建てられた時期によって耐震基準が異なるため、どの基準で建設されているか、耐震改修がなされているかを確認する必要があります。

なお、耐震基準は1981年6月1日に施行された現行の新耐震基準と、それ以前に適用されていた旧耐震基準の2種類があります。具体的な内容は以下の通りです。

旧耐震基準

新耐震基準

震度5(中規模)までの地震で倒壊・損傷しないこと

震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害は免れる

旧耐震基準と新耐震基準の定義の違い

表を見るとわかるように旧耐震基準よりも新耐震基準のほうが厳しい条件で建設されているため、耐震性能が高いです。とくに近年は震度6以上を超える大きな地震が頻発しているため、耐震性能の確保は必須と言えるでしょう。

建て替えの計画がないか確認しておく

築古マンションを購入する際は、建て替えの計画がないかも確認しましょう。マンションの建て替えを実施する際は、高額な建築負担金を負うのが一般的です。さらに、仮住まいの家賃や引越し費用も発生するため、金銭的な負担は大きいと予想できるでしょう。

そのため、実際に建て替えを行うマンションはごくわずかです。しかし、入居後まもなく建て替えとなる可能性はゼロではないため、念のため確認しておくと安心です。

中古マンション選びは各チェックポイントをしっかり吟味して行おう

中古住宅の購入の際は、ホームインスペクションのご検討を!

中古マンションを購入する際は、今回紹介したポイントをよく確認しておきましょう。とくに中古マンションの購入は立地条件や周辺環境だけではなく、管理状況や劣化・不具合発生状況、耐震性などの確認が重要です。今回紹介したチェックポイントを押さえておけば、中古マンション選びの失敗や後悔のリスクが抑えられます。

とはいえ「管理状況や不具合状況をチェックするのが難しい」「自分で正しい判断を下せる自信がない」といったお悩みを抱えている方もいるはずです。そのような場合は、プロの力を借りて物件購入のリスクを軽減するのもひとつの方法です。

さくら事務所では、マンション管理インスペクション中古マンションホームインスペクションを提供しています。

マンション管理インスペクションは、中古マンションの管理状況を第三者の目でチェックしているサービスです。専門家が物件を事前にチェックすることで、管理不全マンションを購入するリスクを抑えられます。

中古マンションホームインスペクションでは、マンションに精通したホームインスペクター(住宅診断士)が第三者の立場で、物件の状態をチェックしてアドバイスを行っています。専門家が第三者の立場でアドバイスを行っているため、自分では解消できない悩みを解消しながら後悔のない物件選びを実施できるでしょう。中古マンションの購入をお考えの方は、ぜひさくら事務所のサービスをご活用ください。

ホームインスペクター 鈴木 賢
監修者

鈴木 賢

築35年の中古マンションを購入し、自身の設計でスケルトンリフォームして住んでいます。
建築物定期調査報告や屋上防水改修、管理会社変更検討などマンションの理事会活動も行っており、設計監理者としてだけでなく、生活者としての視点も持ち続けて活動しています。

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