ホームインスペクター 小西 昌太

監修者:小西 昌太

さくら事務所プロホームインスペクター/一級建築士

【比較表あり】建売と注文住宅どっちがいい?違いやメリットデメリットとは

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【比較表あり】建売と注文住宅どっちがいい?違いやメリットデメリットとは

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「一戸建てがほしい!」と思った時に、多くの方がまず直面するのが「建売住宅・注文住宅どちらが結局いいの?」という事ではないでしょうか?

実際は、検討しているエリア・予算・重視するポイントなどによって、自ずと選ぶ道が決まってくるものですが、初めて家を買う方にとっては悩み所となります。

また、それぞれに建築物上の特徴を考慮せずに購入した結果、後悔した…なんて声も少なくありません。

最終的に納得して家を購入できるよう、今回は数多くの住宅購入に携わってきたプロのホームインスペクター(住宅診断士)が、建売住宅・注文住宅の違いやメリットデメリット、検討の際の注意点を解説します。

建売住宅と注文住宅はどんな家?

まず建売住宅と注文住宅がどのような住宅なのか確認しておきましょう。以下でそれぞれの特徴を紹介します。

建売住宅とは

建売住宅とは、ハウスメーカーや工務店などが販売している土地付きの住宅です。建物はすでに完成しているケースが多いですが、完成前に売りに出されていることもあります。

いずれにしても、建物は規格通りに建築されるため、間取り・内装・設備などに自分の好みは反映されません。

またハウスメーカーなどが、自分たちで所有した土地を複数の区画に分けて、それぞれに家を建てて販売する「分譲宅地」も建売住宅のひとつです。

注文住宅とは

注文住宅とは、自分たちで家の仕様などを決定して建築してもらう住宅です。自分たちで細かい内容までひとつひとつ決める自由設計型と、施工会社が用意したプランから選ぶ規格型があります。

土地を所有していない場合は、まず土地を手に入れなければいけません。土地には「建築条件付き」と「建築条件なし」があります。

建築条件付きの土地の場合は、すでに家を建てる会社が決まっているため、施工会社は選べません。建築条件なしの土地、またはすでに土地を所有している場合は、自由に施工会社を決定できます。

10項目で比較!建売と注文住宅の違い

ここからは建売と注文住宅の違いについて、10の項目で比較します。建売住宅と注文住宅、どちらがよいか悩んでいる方は参考にしてください。

建売住宅

注文住宅

(1)入居までの期間

短い

長い

(2)価格

比較的安い

比較的高い

(3)資金計画

立てやすい

立てにくい

(4)立地

よい傾向がある

悪くなりやすい

(5)敷地面積

狭い傾向がある

広い傾向がある

(6)設備・間取り・仕様

自由度が低い

自由度が高い

(7)性能

比較的低い

上げられる

(8)施工品質

どちらとも言えない

住宅の形状による

(9)施工時の不具合の見つけやすさ

発見しにくい

発見しやすい

(10)住宅の寿命

メンテナンスによる

メンテナンスによる

以下で項目ごとに詳しく紹介します。

(1)入居までの期間

入居までの期間が短いのは建売住宅です。建売住宅は、気に入る物件が見つかったあと、住宅ローンの手続きをして売買契約を締結します。

すでに完成している建売住宅の場合は、売買契約から1ヵ月程度、未完成物件でも3、4ヵ月で入居できるのが一般的です。

一方、注文住宅は土地を探して、設計や施工を依頼する会社を決定するところから始まります。

さらにどのような家を建てるのか仕様を検討する工程も必要です。何度も打ち合わせを重ねることになるため、早くても9ヵ月、1年以上かかることも少なくありません。

(2)価格

価格は建売住宅よりも注文住宅の方が高額な傾向です。

住宅支援機構の調査では土地付き注文住宅と建売住宅では以下のような価格の違いがありました。

・土地付き注文住宅:建設費3,512万円、土地取得費1,495.1万円
・建売住宅:3826.1万円

出典:住宅支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」

建売住宅は、同じ仕様の住宅を数多く建てています。建材や設備を大量に購入したり、同じ工法を採用することで作業の効率化を図れたりするため、材料費や人件費を削減できるのです。

(3)資金計画

価格を抑えやすい建売住宅は、資金計画も立てやすいです。建売住宅でもオプションにより追加費用が発生するケースもありますが、基本的には仕様が決まっているため大幅な増額にはなりません。

また建売住宅は土地と建物で販売されているため、トータルコストを考えやすいです。

注文住宅の場合、土地も建物もこだわるほど金額は上がりやすくなります。自由度が高いことから、当初の予算をオーバーするケースもめずらしくありません。

さらに土地の購入にも融資を活用したい場合には、土地購入のためのローンと住宅ローン、場合によってはつなぎ融資も必要となるため、建売住宅の購入時よりも複雑化します。

【つなぎ融資ってなに?】
土地の取得費・工事の着工金など、住宅ローンの実行前に必要となる費用の支払いに使う融資です。住宅ローンは住宅の引き渡し時に実行されるため、その前に必要な土地の取得費などには間に合いません。

そこで、手持ちの資金を持ち出したくない場合に、つなぎ融資が役立ちます。つなぎ融資は、住宅ローンで完済する一時的な融資のため、住宅ローンとの二重返済にはなりません。

(4)立地

立地に関しても建売住宅のほうが優勢です。建売住宅は仕入れのプロが独自のネットワークで、市場に出る前の土地を見つけてまとめて購入するため、好立地な住宅が多くなります。

注文住宅で土地探しから始める場合は、市場に残っているなかから選ばざるを得ないため、よい条件の土地が見つかりにくいです。

とはいえ、「どのような暮らしをしたいのか」によってよい立地の条件は異なります。万人受けする立地が必ずしもよい立地とは言えないため、注文住宅だからといって立地を諦める必要はないでしょう。

(5)面積

住宅や敷地の面積は注文住宅のほうが広いケースが多くなっています。以下は住宅支援機構の調査結果です。

・土地付き注文住宅:住宅面積の平均値111.1㎡、敷地面積の中央値206.9㎡
・建売住宅:住宅面積の平均値100.7㎡、敷地面積の中央値133.8㎡

出典:住宅支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」

建売住宅は、住空間を広くとるために玄関や収納スペースが狭くなりがちです。広いシューズクロークやパントリーなどを希望する場合は注文住宅のほうが向いています。

また、建売住宅は敷地面積も注文住宅よりも狭い傾向があるため、隣接する住宅との距離感が気になる方もいるでしょう。

(6)設備・間取り・デザイン

自由に設計できる注文住宅は、設備・間取り・デザインなどを希望通りに実現しやすいです。自分たちだけのこだわりを詰め込んだ住宅にできるのは大きなポイントと言えるでしょう。

建売住宅の場合は、決められた間取り・設備・デザインなどを変えるのは難しいです。ただし、住宅が未完成であれば、内装の色や追加のオプションなどを選べるケースもあります。

(7)性能

耐震性や断熱性など住宅性能は注文住宅のほうがよい傾向があります。建売住宅は建築価格を抑えるほど利益がでることから、最低限の性能になりやすいためです。

たとえば、地震への強さを示している耐震等級は、注文住宅の大半が等級3(最高レベル)であるのに対し、建売住宅は等級1も多くあります。

【耐震等級】
・等級1~震度6強から7相当の地震で倒壊・崩壊しない、震度5強相当の地震で損傷を生じない程度※新耐震基準
・等級2~耐震等級1の1.25倍の耐震強度、長期優良住宅の条件でもある
・等級3~耐震等級1の1.5倍の耐震強度でもっとも高水準

また断熱性能に関しては、注文住宅は断熱等級5(ZEH水準)が最低水準ですが、建売住宅は断熱等級4が一般的です。断熱等級は全7等級あり、2025年4月に等級4が義務化され、2030年までには基準が等級5まで引き上げられます。

(8)施工品質

施工品質は、現場監督の腕次第です。

ただし、オリジナリティのある注文住宅は、形状や作りが複雑で施工が難しかったりイレギュラーが多かったりするため、施工品質が落ちやすくなります。

一方シンプルな形状かつ作り慣れている建売住宅は、施工のミスが起きにくいです。

施工品質は住宅性能にも大きく関わってきます。たとえば、断熱材の施工に不備があると本来の断熱性能を発揮できません。

施工上の注意点をよく理解し、しっかり工事してもらえる会社(現場監督)に依頼することが、高品質な施工に繋がります。

(9)施工時の不具合の見つけやすさ

建売住宅も注文住宅も人の手で作られているため、必ずと言ってよいほど何かしらの不具合は起きてしまいます。

実際にさくら事務所の統計結果では、上記のグラフを見てわかるとおり、新築工事のうち約6~8割で施工時の不具合が発見されているのです。ただ、施工時の不具合を「見つけやすい」のは、建売住宅よりも注文住宅といえます。

注文住宅はプロセスを共有できる部分が大きな特徴です。

工事中に、できるだけ定期的に設計監理者からの報告を受けたり、第三者のインスペクションを細かく入れたりすることで、完成後には確認できない構造や基礎の部分を工事途中に改善できます。

一方で、建売住宅はプロセスが見えにくく完成後に確認できる範囲が限定的です。最低限、引渡し前に床下や屋根裏の進入も含めたフルスペックの第三者のインスペクションを実施することをおすすめします。

(10)住宅の寿命

住宅の寿命は建売住宅と注文住宅で、大きく変わりません。どちらも適切にメンテナンスしていれば60年以上もつでしょう。

建売住宅も注文住宅も、建築基準法が順守されており、一定の品質が担保されています。また、品確法においても、柱や梁などの構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分に不具合や欠陥が見つかった場合、10年間に限り無償で修理や損害請求を行えます。

価格を抑えられる建売住宅のほうが寿命は短いと考える方もいるかもしれませんが、そうとは言えません。

建売と注文住宅はどっちがいい?

建売住宅と注文住宅、どちらにするか決める際には、両者のメリットとデメリットを比較し検討しましょう。

以下で建売住宅と注文住宅のメリットとデメリットをまとめました。なお、下記表は東京や大阪などのおもに人口が集中しやすい首都圏エリアを想定しています。

メリット

デメリット

建売住宅

・価格が安い

・立地がよい

・入居までの期間が短い

・資金計画を立てやすい

・敷地面積が狭い傾向がある

・間取りや仕様などの自由度が低い

・性能が比較的低い

・工事途中の不具合を発見しにくい

注文住宅

・敷地が広い傾向がある

・間取りや仕様などの自由度が高い

・性能を上げられる

・工事途中の不具合を発見しやすい

・価格が高い

・立地が悪くなりやすい

・入居までの期間が長い

・資金計画を立てにくい

メリットとデメリットを踏まえたうえで、どのような人が向いているか紹介します。

建売住宅が向いている人

以下に該当する方は建売住宅が向いています。

・経済合理性を求める(売却も視野に入れている)人
・間取りなどの仕様にこだわりがない人
・手間や時間をかけたくない人

経年劣化により建物の価値がなくなっても土地は資産として残ります。比較的低価格で立地がよい土地を購入できる建売住宅は、経済合理性が高いため、売却を視野に入れている人が向いています。

建売住宅なら現物を見られるため、間取りなどのこだわりが強くない方も生活をイメージしやすいです。プロがデザインした、使いやすく万人受けする住宅を、手間暇かけずに手に入れたい人にも向いています。

注文住宅が向いている人

注文住宅は以下のような人が向いています。

・土地を所有している人
・土地よりも家にこだわりたい人
・住宅で過ごす時間(QOL)に重きをおきたい人
・終の棲家として長く居住したい人

注文住宅は土地の利便性よりも、家での過ごしやすさを重視したい方に向いています。

住宅の性能や施工時の不具合を発見しやすい点からも、妥協しない家づくりが可能です。

自分のこだわりを詰め込んだ住宅で上質な暮らしを実現できるのは、注文住宅ならではのメリットでしょう。

地域の建売と注文住宅の割合も判断基準になる

一戸建てにおける建売住宅と注文住宅の比率は、首都圏と地方で大きく異なります。

首都圏で販売している一戸建ての70%~80%(平成30年住宅支援機構調べ)が建売住宅なのに対して、例えば長野では92%、島根に至っては100%が注文住宅となっています。

また、地方の中核都市である宮城・広島・静岡・京都・福岡における建売住宅と注文住宅の比率は50:50程度です。

注文住宅が主流の地域で建売住宅を購入するのは難しいため、その地域の特性も把握しておきましょう。

下記動画では、建売住宅と注文住宅を選ぶ際の注意点を解説しています。

 

建売と注文住宅のメリットデメリットを理解して後悔のない選択を

建売住宅は価格が安い、立地がよい・入居までの期間が短いなどのメリットがあります。一方注文住宅は、自由度が高く、間取りや性能にこだわれるのがメリットです。

予算やこだわり、ライフスタイルによって、建売住宅と注文住宅どちらが向いているのか変わってきます。何のためにどのような住宅がほしいのか、今一度明確にして、後悔のない選択をしてください。

建売住宅と注文住宅、どちらを選ぶにしてもホームインスペクションの活用は重要です。新築工事の施工時不具合を可能な限り、施工時の不具合を解消しておくことで、長く安心して暮らせる住宅を手に入れられます。

自分にとってどのような住まいが向いているのか、客観的な意見を聞きたい場合は、不動産コンサルタントやホームインスペクターなど住宅の専門家に相談するのがおすすめです。

さくら事務所ではホームインスペクションのほか、住まいの専門家相談も受け付けているため、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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ホームインスペクター 小西 昌太

監修者小西 昌太

さくら事務所プロホームインスペクター/一級建築士

さくら事務所プロホームインスペクター。一級建築士。基本スタンスでもある「第三者性、中立性、客観性」を最大限に活かしたコミュニケーションを心掛け、可能な範囲で建物の現状をより多くの人へわかりやすく伝えられる「住まいの良き翻訳者」を目指します。

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