インスペクションとは?意味や必要性・メリットを徹底解説

  • Update: 2023-05-04
インスペクションとは?意味や必要性・メリットを徹底解説

「インスペクション(住宅診断)」とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務です。

2018年には、インスペクションの普及を目的とした法改正(改正宅地建物取引業法)が施行され、年々重要性を増しています。

そこで今回は、インスペクションについて、意味や必要性・メリットなどを詳しく解説いたします。ぜひ参考にしてみてください。

新築一戸建て引き渡し前チェック(内覧会立会い・同行)

そもそもインスペクションとは?

欧米では取引全体の70~90%の割合で行われ、現在、日本でも広く知られるようになったインスペクションですが、名前を聞いたことはあっても、具体的な内容まで理解できていない人もまだ多くいるようです。ここではインスペクションの基本情報を解説いたします。

インスペクションはどういう意味?

インスペクションとは、英語の「inspection」であり、直訳すると「検査」や「点検」などの意味があります。よって、住宅売買におけるインスペクションとは、建物の検査や点検を行うことを意味しています。

そして、一般的に行われるインスペクションは、建物の劣化状況など、専門家が客観的な視点から検査を行い、現況を把握するというものです。

不動産取引に安心を得るため実施される

不動産売買におけるインスペクションの役割とは、不動産購入後の欠陥リスクを取り除いて安心を得ること、そして、取引の円滑化を図ることが重要な点としてあげられます。

不動産の売買では、売主と買主の双方にとって一定のリスクがともないます。例えば、引き渡し後に不具合や欠陥が見つかった場合、大きなトラブルになる可能性があります。

しかし、このような不具合や欠陥を事前に把握しておけば、トラブルに発展することは防げるでしょう。つまり、インスペクションの結果を共有することで、売主と買主の双方の安心材料となり、取引もスムーズに進みやすくなるというわけです。

インスペクションの必要性とは?

①プロの目によるチェック

一般の方でも、WEBや本などで情報収集をし、調査道具を揃え多数の検査項目について床下や天井裏に至るまで自分で調べていくことはできないわけではありません。

しかし、建物の劣化や施工不良(誤り)は見た目にわかりやすいものばかりではありません。例えば構造部材の取り付け忘れなど、そもそも標準を知らなければ、何が取り付けられていないのか気づくこともできないでしょう。また、いざ何かの異変を見つけたとき、その原因を推測したり、適切な対処法が何なのか、いくらくらいの費用がかかりそうかの検討も、専門的な知識や経験がなければ難しいと言えます。

②調査結果の活用アドバイスを受けられる

さらに大事なこととして、調査結果をどう売買に活用すればいいかというアドバイスがあります。

・何を直すべきなのか
・直すにはどのくらいの費用がかかるのか
・それは急いで直すべきなのか、いずれ直せばいいのか …etc
調査結果を知らせるだけなのか、それをもとにわかりやすくアドバイスしてくれるかどうかは、会社により異なります。

ホームインスペクションは、新築住宅も中古住宅も実施する会社やサービス内容(目的)により、調査範囲や項目、そこから得られるアドバイスに差があることを知っておきましょう。

インスペクションを実施するメリットとは?

インスペクションを実施するメリットは、売主・買主ともにあります。ここでは、どのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。

不動産を売る側(売主)のメリット

不動産を売る側(売主)のメリットは、主に以下の2つです。

  • 物件をスムーズ・高値で売却できる確率が上がる
  • 引き渡し後にトラブル発生のリスクを下げられる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

物件をスムーズ・高値で売却できる確率が上がる

インスペクションを行っておくと、物件をスムーズかつ高値で売却できる確率が上がります。インスペクションに合格していることが証明できれば買主は安心して物件の購入を決断できるため、スムーズに取引できるでしょう。また、買主が安心して購入できるため、高値で売り出しても取引してもらいやすくなります。

つまり「インスペクション付き物件」として販売することで、取引を有利に進められます。

引き渡し後にトラブル発生のリスクを下げられる

インスペクションを行うことで、引き渡し後のトラブルが軽減できます。具体的なトラブル内容を挙げるとすると、引き渡し後に雨漏りや水漏れなどの不具合が発生して修繕費を買主から請求されるなどです。

売却する前に修繕ポイントや不具合の状態などを把握しておけば、想定外の出費が発生する可能性を抑えられます。また、買主に物件の状態を説明したうえで取引するため、引き渡し後にクレームが入る心配もありません。引き渡し後に思わぬトラブルが発生しないように、事前にインスペクションを行っておくと安心です。

住宅を買う際(買主)のメリット

インスペクションを実施する買主のメリットは、おもに以下のことが挙げられます。

  • 安心して取引を進められる
  • 購入後のコスト管理がしやすい

安心して取引を進められる

買主にとって、インスペクションを実施する最大のメリットといえば、取引における安心を担保できることでしょう。なぜなら、入居後に不具合や欠陥が見つかることはリスクでしかなく、その不安を事前に解消できれば円滑に取引を進められるためです。

また、中古住宅の保証には、統一された基準がありません。そのため、契約によっては、トラブルが発生しても十分な保証が得られない可能性があります。しかし、契約前にインスペクションを実施し、問題点を洗い出しておくと、欠陥のある物件を回避することも可能になります。

よって、専門家が第三者の立場から行う検査により、潜んでいるリスクを把握できることが、安心で安全な取引につながるのです。

購入後のコスト管理がしやすい

インスペクションを実施しておくと、購入後に必要な予算がある程度わかることから、コスト管理がしやすくなります。

というのも、インスペクションの実施によって建物のコンディションを把握できるようになり、機能が不足する部分や修繕が必要な部分が顕在化できるためです。また、劣化状況を知ることで、その後のメンテナンスも計画しやすくなります。

購入費だけでなく、その後に必要なコストプランを立てられることは、インスペクションを実施した物件ならではの優位性といえるでしょう。

売主・買主で共通するメリット

インスペクションを実施する、売主と買主のどちらにも共通するメリットは、おもに以下のことが挙げられます。

瑕疵保証保険の利用ができる

インスペクションを実施すると、瑕疵保険を利用することが可能となります。

瑕疵保険とは、取引後の瑕疵(重大な不具合や欠陥など)によって生じた損害について、保険金が支払われる保険制度のことです。取引後に発生する瑕疵は、売主や買主のいずれの立場にとってもリスクとなり得ます。

しかし、瑕疵保険に加入しておくことで、その補修にかかった費用を保険金で賄えるようになるのです。保険の対象となる瑕疵には一定の範囲が定められているものの、経済的なリスクに備えられることは大きな安心材料となります。

そして、この瑕疵保険へ加入するには、事前検査としてインスペクションを受け、必要とされる基準に合格しなくてはなりません。

つまり、インスペクションの実施によりコンディションを把握できるうえ、さらに瑕疵保険への加入で経済的な備えができるという、より安全な取引が可能となるわけです。

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建物取引業法改正によりインスペクションの需要は増加

2018年4月1日に「宅地建物取引業法」の改正案が施行されました。これを機に、中古住宅取引の際にホームインスペクションの説明が義務化されることになりました。 具体的には媒介契約時、売買契約前の重要事項説明時などにおいて、その建物がホームインスペクションを受けた履歴があるか?今後実施する意向はあるか?が確認されるというものです。 インスペクションの実施が義務化されたわけではありませんが、これまでホームインスペクションという言葉、サービスそのものをご存じなかった方の耳にも、手続きの中で自然と入るようになったのです。 さらに2020年4月には民法の改正があり、欠陥や不具合に気が付かないまま売買した住宅について、売主側の責任がより重くなりました。 このような背景から、インスペクションの需要は今後も右肩上がりに増加していくとされています。

インスペクションの実施内容

住宅売買において、非常にメリットの多いインスペクションですが、具体的にどのような内容で行われるのでしょうか?インスペクションのおもな実施内容について、ご紹介いたします。

インスペクションを行う検査員やタイミング、時間は?

中古住宅のホームインスペクションは不要?時期別の権利やタイミングも解説

インスペクションを行う最も適したタイミングは「申し込み後」「契約前」がベストです新築住宅であれば「2年アフターサービス保証」 、中古住宅であれば 「最低2年間の瑕疵担保責任」の併用で、売主が責任を負う形での補修を依頼することができるためです。

※実施タイミングについて、詳しく解説している記事はこちら

契約後に実施する場合は、契約内容にもよりますが、不具合が見つかれば修繕を要求することも可能です。また、調査時間は、おおよそ3~5時間程度が目安となります。なお、インスペクション当日の立ち合いは、原則必要としているケースもありますが、立ち合えない場合でも対応が可能な業者もあります。

※さくら事務所では、立ち合いのない場合「写真付き詳細報告書」オプションのお申込みいただいたうえで対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

費用相場は「物件の種類」「検査の種類」によって変わる

ホームインスペクションの費用の相場は、「物件の種類」「検査の種類」によって変わってきます。住宅の規模にもよりますが、マンションよりも一戸建ての方が検査箇所が多いため費用もかかることが一般的です。

一戸建ての場合、検査が「目視でできる調査(基本検査)」なら、5~7万円、「目視では判断できない調査(詳細検査)」なら6~12万円が相場です。

一定規模以上になると、割増料金がかかるケースがあるため、図面など床面積がわかる資料を用意して事前に見積もりを依頼するとよいでしょう。

また、補助金制度を利用して、インスペクションを実施できるケースがある点でも注目です。例えば、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、インスペクションの実施が条件のひとつとなっており、最大で300万円の補助金が受けることができます。

実施する検査項目は、一般的に40項目以上

インスペクションの実施する検査項目は、40項目以上と幅広く行われます。

検査のおもな内容について、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」で以下のように定められています。

  • 構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの
  • 雨漏り・水漏れが発生している、又は発生する可能性が高いもの
  • 設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの

以上のような建物の主要な部分の劣化の状態について、目視を中心とし、計測や触診、打診など非破壊による調査が行われます。

また、具体的な検査項目については、国土交通省の資料に以下の内容があります。

出典:国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドラインについて

※なお、【さくら事務所のホームインスペクション】の場合調査項目は100以上/廊下や水まわりを含む全居室が調査対象となります。

内容については「1分でわかる!さくら事務所の中古一戸建てホームインスペクション (住宅診断)」でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

結果が出たら取引当事者双方が確認を

インスペクションの実施後には、調査結果を報告書で受け取り、その内容を取引当事者の双方で確認することが重要です。

調査結果をそれぞれの立場で確認し、現在の状況を共有することで、取引後の不安を取り除けます。また、売主が宅建業者の場合は、「インスペクション(建物状況調査)の実施の有無」そして「実施している場合の調査結果の概要」などの説明義務が、宅地建物取引業法で定められています。

つまり、インスペクションを実施した場合の調査結果については、その内容を当事者で共有しなくてはならないのです。さらに、売買契約を締結するときには、建物の現況について双方で確認し、その内容を記載した書面を宅建業者が交付しなくてはならないことも義務となっています。

インスペクションを依頼する際のポイント

インスペクションを依頼する際のポイントは、以下のとおりです。

  • 実績のある会社かどうか
  • 対応に信頼感が持てるか
  • 調査項目を事前に確認する
  • 不動産会社からの紹介でも見極めは必要

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

実績のある会社かどうか

インスペクションを依頼する場合、実績のある会社かどうかを確認しておきましょう。インスペクションに対応している会社は現状多くありません。そのため、実績のある会社に依頼するほうが安心といえるでしょう。

また、インスペクションといっても、不動産の種類や工法によってチェックすべき箇所は異なります。資格よりも実績や経験が豊富な会社を選ぶことで、適切な診断を行ってもらえます。

対応に信頼感が持てるか

インスペクションを依頼する会社を選ぶときは、対応に信頼感があるかどうかもチェックしましょう。たとえ優秀なホームインスペクターに不動産をチェックしてもらえたとしても、売主や買主が現状を理解できなければ意味がありません。不動産に関する専門知識がない人でも、内容を把握できるように説明してくれる会社を選ぶことが大切です。

また、対応が不親切な会社であれば、安心して依頼できません。不動産の売買に影響が出ないように、安心して任せられる会社を選びましょう。

調査項目を事前に確認する

インスペクションを依頼する前に、調査項目を確認しておくことも重要です。インスペクションを実施している会社の中には調査項目を最小限に設定しており、不動産の現状を把握しきれないケースも存在します。特に大きな不具合が発生しやすい床下や小屋裏を意図的に調査項目から排除して「問題なし」と報告している会社もいるほどです。

そのため、インスペクションを行う前に「どこをチェックするのか」「すべての箇所をチェックしてもらえるか」などを確認しておくと安心です。

不動産会社からの紹介でも見極めは必要

不動産会社から紹介されたインスペクション会社であっても「本当に依頼して問題ないか」を見極めておきましょう。仲介業者から紹介されたインスペクション会社の中には仲介業者への忖度で不具合をあえて報告しなかったり、将来的にトラブルが生じやすい箇所を見逃していたりする可能性はゼロではありません。

このようなインスペクション会社に依頼しても、信頼できる調査結果は得られません。特に中古物件を購入する際は「いつ」「どの箇所に」「どれくらいの修繕が必要か」などを詳しく報告してくれる会社を選ぶと、安心して不動産の売買を行えます。

業界実績No.1「さくら事務所」のインスペクションについて

さくら事務所のホームインスペクションについて

さくら事務所は1999年、いかなる金融機関・事業会社とも資本関係を持たない「中立・公正」な立場として、国内で初めて『個人向け不動産コンサルティングサービス』をスタートし、国内におけるインスペクションのパイオニア的活動を通じ、今では年間3,000件以上、累計63,000件以上(業界No.1)を超える方々にご利用いただくまでになり、非常にたくさんの方から有難い評価をいただいております。(※Google口コミ同業比較 No.1《2022年5月時点》

さくら事務所が選ばれる理由について

① 不動産・建築あらゆる専門家がワンストップ対応
さくら事務所には、建築士であるホームインスペクター(住宅診断士)のほかに、不動産コンサルタントやマンション管理士など、専属の専門家が多数在籍。

住まい・不動産の心配ごとは、土地や建物、権利やコミュニティ形成などが複雑に絡み合うことも多いもの。そんなとき、ご利用者様が迷うことなく問題を解決できるよう、複数の専門家がワンストップでお役に立てる方法をご提案します。

 

② 徹底した第三者性・中立性

不動産取引先進国のアメリカでは、ホームインスペクターはリフォームや修繕工事の受注を禁止されていますが、それは、ホームインスペクターが工事の受注を目的に、建物の状態を正しく伝えない事案が多発したからです。

さくら事務所では、創業時からリフォームや修理、シロアリ駆除など、ホームインスペクションの次にある工事の引き受けや製品の販売などは一切行わない徹底的に第三者・中立性を保ったコンサルティングサービスを提供しております。

③ 国際規格の品質管理を継続(ISO9001)
さくら事務所では、2014年に品質マネジメントの国際規格「ISO9001」認証を取得。組織体制だけでなく、業務品質を改善し続けた結果、良質なサービスを継続的に提供する仕組みが客観的に認められました。また、個人向けインスペクションを提供している企業の中でISO取得は当社だけとなっております(2021年8月時点)。  

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