ホームインスペクター 小西 昌太

監修者:小西 昌太

さくら事務所プロホームインスペクター/一級建築士

戸建て住宅の寿命は何年?構造別の耐用年数や長寿命化のコツを紹介

シェアする

戸建て住宅の寿命は何年?構造別の耐用年数や長寿命化のコツを紹介

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

戸建て住宅の寿命について疑問に感じている人は多いのではないでしょうか。

戸建て住宅の購入にはまとまった資金が必要です。さらに、一生暮らす家でもあるため、長く安心して住み続けたいと考えるのは当然のことでしょう。

戸建て住宅の寿命は入居者がきちんとメンテナンスを行うか否かなどで変わります。

そのため、戸建て住宅の購入を検討しているのであれば、住宅の構造と寿命の関係や、建物を長持ちさせるためのメンテナンス知識を把握しておきましょう。

そこで本記事では、戸建て住宅の寿命メンテナンスにかかる費用の目安を紹介します。併せて、戸建て住宅の寿命を延ばすコツについても詳しく解説していきます。

戸建て住宅の購入を検討している人や、戸建て住宅の寿命を延ばしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

日本の戸建て住宅の寿命は短いって本当?

「日本の戸建て住宅の寿命は短い」といった話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

戸建て住宅の購入を検討している方からすると、実際のところどうなのか気になるところです。

そこでまずは、日本の戸建て住宅の寿命について解説していきます。

一般的に言われている平均寿命は30年程度

一般的に、日本の住宅の寿命は、平均して30年程度と言われています。平均寿命がわずか30年と言われている背景には、取り壊しや自然災害などで失われた住宅(滅失住宅)の平均築後年数が約30年であることと、混同されてきたためです。

日本の滅失住宅の平均築後年数が30年であるのに対して、アメリカはおよそ55年、イギリスに至ってはおよそ77年とされています。

欧米と比べ、日本の住宅の寿命が短い理由は、地理的な要件や自然災害の発生頻度などが関係しているのです。

また、住宅に対する国民の意識の違いもあります。日本の場合、住宅購入の際、新築を希望する方がほとんどです。間取りやデザインの自由度が高く、耐震性能や耐久性、設備の面でも安心感があるためと考えられます。

そのため、メンテナンスすればまだ住める住宅でも、取り壊して新たに建てることを希望する方が多いです。

一方、欧米では、住宅を手入れして長持ちさせることが重視されています。「既存の建物を長く使う」といった意識が強いため、住宅を壊して新しく建てるケースは少数派です。

そのほか「法定耐用年数=寿命」と考え、寿命が30年程度と認識している方もいます。

法定耐用年数は、木造・合成樹脂造のものが22年、木骨モルタル造が20年、鉄骨コンクリート造が47年、と全体的に20~50年程度です。

法定耐用年数はあくまでも税法上の年数のため、住宅の寿命とは関係ありません。

こうしたさまざまな要因によって、日本の住宅の寿命は短いと言われることがあるのです。

実際の木造戸建ての平均寿命は69年程度

前項では「一般的には住宅の平均寿命は30年程度と言われている」として解説しました。しかし滅失住宅の平均築後年数の算出には、現存する建物は含まれていないため、現実的な寿命とはかけ離れているのです。

そこで参考になるのが、木造の専用住宅が半分壊されたタイミングを寿命として算出している、早稲田大学の小松先生の以下の調査結果です。

調査年

2021年

2011年

2006年

1997年

木造専用住宅の平均寿命

68.95

65.03

54.00

43.53

参照:【指針参考資料1】住宅に関する価格評価手法

参照:日本建築学会計画系論文集第90巻 第836号「2021年における建物寿命の推計 小松幸夫、堤洋樹」

2021年の最新の調査によると、木造戸建て住宅の平均寿命は「約69年」です。また1997年から2021年にかけて、平均寿命は約25年ほど伸びています。

さらに、現代は材料や技術の質の向上に加え、日本においても住宅の長寿命化に対する関心も高まり、適切な維持管理やリノベーションなどが増えています。建物の長寿命化が進んでいるのが現状です。

なお小松先生の調査では、構造種別(木造や鉄骨造など)に見ても、寿命には大差がないこともわかっています。

木造戸建ての寿命については、下記動画でも詳しく紹介しているので参考にしてください。

戸建て住宅の寿命を決める要因

戸建て住宅の寿命はさまざまな要因によって変わってきます。ここでは以下3つの要因別に住宅の寿命について掘り下げていきましょう。

・住宅の構造
・メンテナンス
・住宅性能表示制度

戸建て住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

住宅の構造

一口に「戸建て住宅」といっても、その構造は「木造」「鉄骨造(S造)」「鉄骨鉄筋造(RC造)」などが挙げられます。

基本的には前項で触れたとおり、住宅構造別で見ても寿命の長さにそこまで大きな差はありません。

構造別に寿命を考えるポイントを紹介します。

木造

耐久性の観点で見ると、木造住宅は湿気を防ぐことができれば、建物の寿命を大幅に延ばすことが可能です。劣化の要因は、主に腐朽が原因であるからです。

鉄骨造(S造)

鉄骨造の場合は、錆によって耐久性が低下する傾向にあります。しかし、基本的には耐久性が高く、極端に湿度が高いなどの問題がなければ長持ちしやすい構造です。

鉄骨鉄筋造(RC造)

RC造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた建物です。コンクリートの中性化や鉄筋の錆などで耐久性が低下する傾向にあります。しかし、物理的な耐用年数は非常に長い傾向にあります。

現代では、コンクリートや鉄筋の品質が向上していたり、防錆技術が進化したりしているうえに、施工品質も上がっています。そのため、一昔前と比べて、どの住宅構造も長寿命化していて、長く安心して住めるようになりました。

メンテナンス

木造住宅の寿命は定期的なメンテナンスをしなければ、30年程と言われています。しかし、定期的にメンテナンスを行ったり、不具合が生じた箇所をリフォームしたりすれば、80~100年ほど住み続けることも可能です。

メンテナンスは、築年数が浅いうちから定期的に行うことが大切です。何か不具合が見つかったら、早急に対処しておきましょう。早いうちから対応しておけば、修繕費を最小限に抑えられます。


修繕費が尽きると住宅をよい状態で維持できなくなり、結果的に寿命を迎えることになってしまうため、こまめにメンテナンスして費用を抑えていくことが重要です。メンテナンス費用や周期はのちほど詳しく紹介します。

住宅性能表示制度

戸建て住宅の寿命を図るには、住宅性能表示制度を活用するといいでしょう。

住宅性能表示制度とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて制定された制度のことです。新築住宅が持つ基本性質に共通の基準を設けて、第三者が明確に判断できるようにするために制定されました。

住宅性能表示制度にある項目のうち「柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)」では、住宅劣化についての対策レベルに応じて3段階の等級を設定しています。これを「劣化対策等級」と呼び、大規模改修が必要な築年数など住宅の寿命に関わる内容を把握できます。なお、各等級の目安となる築年数は以下のとおりです。

  • 劣化対策等級1:25~30年
  • 劣化対策等級2:50~60年
  • 劣化対策等級3:75~90年

最近の建売住宅は、ほぼすべてが最高等級である劣化対策等級3以上を保有しています。つまり、一般的な建売住宅の多くが寿命75~90年ほどのポテンシャルを持っているのです。

中古一戸建てを検討しており、「購入して問題ない劣化状況なのか知りたい」「将来どのようなメンテナンスが必要になるのか知りたい」場合は、さくら事務所の中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)をご活用ください。

戸建て住宅を長寿命化させるコツ

戸建て住宅を長持ちさせるためには、メンテナンスとリフォームを定期的に行わなければいけません。良い状態を少しでもキープすることで、住宅の寿命を延ばせます。つまり、住宅を資産として大切にすれば、長寿命化が期待できるでしょう。

ここでは、戸建て住宅を長寿命化させる3つのコツを紹介します。

  • およそ15年周期でメンテナンスする
  • 雨漏りや水漏れに注意する
  • 契約不適合責任(瑕疵担保責任)の期限前に点検する

順に見ていきましょう。

    およそ15年周期でメンテナンスする

    戸建て住宅の寿命を延ばすためには、適切なメンテナンスをする必要があります。一般的には、およそ15年ごとのサイクルでメンテナンス実施が必要です。つまり、建物が完成したら15年後・30年後・45年後を目安にメンテナンスしなければなりません。

    60年程度が経過したら、大規模なリフォームが必須となります。

    雨漏りや水漏れに注意する

    戸建て住宅を長持ちさせるために特に注意が必要なのが「水の問題」です。雨漏りや水漏れリスクを軽減するためのメンテナンスは必ず実施しましょう。

    雨漏りや水漏れ等が生じてしまうと家の中に湿気がたまってしまい、カビや木材の腐食や金属の錆などを招きます。

    屋根や壁などの防水処理や排水設備などをきちんと点検・修理してください。

    また、木造住宅の場合は、シロアリに気を付けなければなりません。湿った木材はシロアリの好物です。シロアリに柱や土台を食べられてしまうと、建物がもろくなってしまいます。家全体の安全に影響するため、防虫処理などのメンテナンスは重要です。

    下記動画では、短命になりやすい住宅の特徴として水の問題について解説しているため、参考にしてください。

    【2025年最新版】購入要注意のすぐダメになる中古住宅の特徴3選を解説!【さくら事務所】

    契約不適合責任(瑕疵担保責任)の期限前に点検する

    点検のタイミングで迷ったときには、まずは契約不適合責任(瑕疵担保責任)の期限が切れる前のタイミングを選びましょう。新築の際に保証される「契約不適合責任」の期間内であれば、住宅の不具合を無償で修理してもらえる可能性が高いからです。

    およそ9年目あたりで契約が切れることが多いため、1回目のメンテナンスタイミングとして選んでみてはいかがでしょうか。

    【独自統計】戸建て住宅のメンテナンス時期と費用相場

    戸建て住宅のメンテナンスを検討するにあたって、気になるのが「どれくらいの費用がかかるのか」ではないでしょうか。さくら事務所では毎年、建売住宅の購入後にいくらメンテナンス費用がかかると予想されるか、その年の単価に合わせて試算しています。

    「想定する住宅の仕様(一般的な新築建売住宅を想定)」と「築年数ごとのメンテナンス費用の目安(2025年データ)」は以下のとおりです。

    【住宅の仕様(一般的な新築建売住宅を想定)】
    ・延べ床面積:35坪
    ・構造:木造在来軸組み工法の総2階建て
    ・屋根:化粧スレート
    ・外壁:窯業系サイディング
    ・バルコニー:1か所あり
    ・外部建具:アルミ樹脂複合サッシ+Low-E複層ガラス

    【築年数ごとのメンテナンス費用の目安(2025年データ)】

    築年数・項目別の費用(万円)

    5年

    10年

    15年

    20年

    25年

    30年

    35年

    40年

    45年

    50年

    屋根

    外壁

    再塗装

    150

    150

    葺替え・張替え

    ※サッシ・外装金物含む

    640

    バルコニー

    防水

    10

    10

    10

    設備交換

    給湯器

    27

    27

    27

    便座

    12

    12

    便器

    22

    コンロ

    19

    19

    キッチン

    65

    ユニットバス

    95

    洗面台

    20

    その他

    防蟻処理

    16

    16

    16

    16

    16

    16

    16

    16

    16

    16

    築年数別の費用合計(万円)

    16

    16

    234

    16

    16

    895

    16

    16

    234

    16

    ※さくら事務所の集計データをもとに独自作成

    上記の表から算出すると、築50年までに合計1475万円のメンテナンス費用が必要になります。50年間で1475万円を用意するためには、およそ月25,000円ずつ積み立てておくと足りる計算です。

    ただし、物価高や人件費の高騰によりメンテナンス費用は値上がり傾向にあります。今後も値上がりが続く可能性もあるため、余裕をもった資金(メンテナンス)計画を立てましょう。

    下記動画では、戸建てのメンテナンス費用についてより詳しく解説しています。

    戸建て住宅の長寿命化にはホームインスペクションが有効

    「自分で劣化状況を把握するのは難しい」「適切なメンテナンスがわからない」と悩む方は、ホームインスペクションを活用することをおすすめします。ホームインスペクションとは、建物に精通した専門家が住宅を診断するサービスです。

    専門家が住宅へ訪問し、劣化状況について調べたり、不具合の有無を確認したりします。主に、雨漏りや水漏れ、設備の動作不良、シロアリ被害、劣化状況などが基本のチェックポイントです。
    不具合の早期発見としても役立ちます。

    戸建て住宅の寿命は「メンテナンス」で決まる

    日本の戸建て住宅は寿命が短いと言われていますが、定期的なメンテナンスを怠らなければ、建物の構造に問わず65年程度もちます。

    戸建て住宅をなるべく長持ちさせたい場合は、住宅性能表示を参考にしたり、メンテナンスのポイントを把握しておいたりするとよいでしょう。

    戸建て住宅の寿命を伸ばすためには「およそ15年周期でメンテナンスすること」「雨漏りや水濡れに注意すること」「契約不適合責任の期限前に点検すること」が大切です。

    適切なメンテナンスを行うためにも、プロの力を借りて計画を立てることをおすすめします。

    さくら事務所のホームインスペクションでは、現時点で発生している修繕箇所の指摘だけではなく、将来改修すべき箇所やその時期、費用などの具体的なアドバイスも提供しています。

    現状を把握しながら将来起こり得る不具合をあらかじめ理解していると、メンテナンスのタイミングを調整しやすくなり、住宅の長寿命化が実現しやすいでしょう。

    戸建て住宅に長く住み続けたい人は、ぜひさくら事務所のホームインスペクションをご活用ください。

    新築一戸建てホームインスペクション(完成検査・内覧会立会い)

    中古一戸建てホームインスペクション




     

    シェアする

    ホームインスペクター 小西 昌太

    監修者小西 昌太

    さくら事務所プロホームインスペクター/一級建築士

    さくら事務所プロホームインスペクター。一級建築士。基本スタンスでもある「第三者性、中立性、客観性」を最大限に活かしたコミュニケーションを心掛け、可能な範囲で建物の現状をより多くの人へわかりやすく伝えられる「住まいの良き翻訳者」を目指します。

    この人が監修したその他の記事

    お役立ちコラム 関連記事

    お役立ちカテゴリ